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知ってトクするシゴトの韓国語

ハイ・キャリアに韓国語関連コラムが初登場! 大学卒業後に韓国語の学習を始め、韓国留学。海運会社勤務後、2004年に韓国語スクールを設立した幡野さん。2010年には中国語講座も開始し、自身も中国語の学習を始め、現在上級レベルを目指し奮闘中なのだとか。そんな幡野さんから、韓国語の話、語学学習の話、そしてスクール運営をする中での様々な風景について語っていただきます。

第11回 通訳訓練を始める前に、しておくべきこと

 韓国語「通訳翻訳プログラム 」を3クラス開講している当校で、このたび「準備クラス」を新設することになりました。既存の3クラスは「実践クラス」となり、これまでと同様、様々な韓国、日本の旬の話題を取り入れ、通訳の実践を積んでいく予定です。

 「準備クラス」を新設することにした背景にはいろんな要素があります。通訳クラスに興味があって来校される受講生の皆さんの様子を見ていると、いくら上級者であるとはいっても通訳の経験のない方は特に、文章を聞いて即時に訳出しをするということに戸惑う方が少なくありませんでした。また、普段ニュースや新聞をあまり読まない、という方も多く、その場合、韓国語の実力以前の問題として、社会事情に精通しないことによる、文章読解力の欠如が問題としてありました。

 そして、講師側からこれまで寄せられていた意見としては以下のようなものがありました。「通訳の訓練を始める前に」、

1. もっと語彙力をつけてほしい
2. もっと発音を良くしてほしい
3. 様々な話題の文章を読むことに慣れていてほしい

というものです。1の語彙力に関しては言うまでもありません。2の発音に関しては、第2回のコラム「「ご案内可能だが、努力要」の訳(わけ)」 で書かせていただいたように、上級者なら身に着けておいてほしい韓国語の音変化が実現できていない方が割と多いのです。しかし、韓国語の実力は、わかりやすいこの発音部分で計られてしまいがちなのが現実です。

 3に関してですが、通訳の訓練においては様々な分野の語彙力を増やし、知識を深め、現在・過去問わずあらゆる事情に精通するため、資料を読み込んでいきますが、自由に興味のあるものだけ読んでいた頃とは違い、中には自身にとって興味のない、苦手な分野の資料を読むときもあります。そしてここからが大変なのですが、読んで、「へぇ~」となるだけでなく、人に説明できるくらいまで深く理解しないといけません。それでないと通訳や翻訳ができないためです。

 余談ですが、通訳をしていて、「はぁ?」という顔をされたことのある方もいらっしゃるかもしれません。それは字面(じづら)だけを訳し、文脈を捉えた通訳をしていないためということもあるでしょう。

 また、日韓通訳は日英通訳などに比べるとニーズが少ないので、専門分野はなかなか作れないのが現実です。ありとあらゆる分野の通訳、翻訳ができるようにならないといけません。

 もう一つ個人的に付け加えると、KBS(韓国放送公社)ニュースのアナウンサーくらいのスピードで韓国語の文章を読めるようになるといいと思います。そうしないと、そのようなスピードの文章を聞いたり、即時に理解したりすることが難しいためです。

 以上のような条件がクリアになって、はじめて通訳の訓練ができるようになります。これまでは「通訳翻訳プログラム」の授業の中で、ご自身で努力を重ねながらこれらの課題をクリアしてほしいと思っていましたが、やはり、「訳を出す」という特殊な技術を学ぶにあたっては、その周囲の必須項目は一つでもクリアしておくと良いのでしょうし、それをクリアするためのお手伝いもする必要があるように感じました。「準備クラス」を新設した背景には、そんな理由があります。

 当該クラスは、「通訳者になるという目標はないけれど、韓国語上級者としてさらにレベルアップしたい」という方にもおすすめしたいです。これからも引き続き、韓国語学習者の皆さんの実力アップを応援させていただきたいと思っています。


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プロフィール

幡野泉

幡野泉さん
早稲田大学第一文学部卒業。1998年、韓国・延世大学校韓国語学堂修了。韓国大手商船会社の日本総代理店に勤務後、有限会社アイ・ ケー・ブリッジ設立。04年には「シゴトの韓国語講座(現・アイケーブリッジ外語学院)」を開設し、ビジネス韓国語を中心とした講座運営を開始。同年、延世大学校韓国語教師研 修所、第20期研修過程修了。現在、「アイケーブリッジ外語学院」代表および「All About 韓国語」ガイド。著書に『明日から使えるシゴトの韓国語』(アルク)、『シゴトの韓国語 基礎編応用編』(三修社)、『リアルな表現が話せる!韓国語フレーズブック』(新星出版社)などがある。2010年の中国語講座開講をきっかけに中国語の学習を開始し、2012年にはHSK(新漢語水平考試験)の5級を取得。