INTERPRETATION

第7回 Youth Culture (2)

木内 裕也

American Culture and Globalization

今週は先週に続き、Youth Cultureがテーマです。先週はChip Walkerという人の視点から、Youth Cultureにどのような変化が訪れているか考えました。

今週はDon Tapscottという人の視点を紹介します。

▶ 第7回のレクチャーはこちらにアクセスしてください。

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lecture7_2.jpgDon Tapscott氏はベストセラーを多く出す著者であり、トロント大学でも教鞭をとっています。Growing Up Digitalという書籍で、若者の文化を紹介し、その後Grown Up Digitalという本を出版しました。今回のレクチャーは、その本から多くを抜粋しています。しかしそれ以外にも、WikinomicsやMicrowikinomicsなどという本をここ数年で出版し、非常に有名になりました。難しい専門書ではなく、一般向けに書かれた本ですから、もしも機会があれば皆さんにもお勧めです。

さてTapscott氏のYouth Cultureに対する考えは、ややWalker氏よりもPessimisticです。全部で10のアイテムがありますが、どちらかというとAssessmentやEvaluationというより、Criticismというイメージが強いかもしれません。

lecture7_3.jpgまずは、今の年代は賢くない、というもの。例えば皆さんが15歳だったときと、今の15歳を比べて、そう感じますか? もしそうだとしたら、その理由は何でしょうか? 2つ目は、スクリーン上でコミュニケーション取るのが上手でも、顔を突き合わせてのコミュニケーションが苦手、というもの。確かに、メールやチャットばかりの世代を考えると、顔を見合わせたコミュニケーションがそれほど得意ではないのかな、と思うことがあるかもしれません。

何をしても恥ずかしいと思わない、というのが3つ目。4つ目は、親に甘やかされてきたので、何をしたらいいかわからない、というもの。親に叱られることも無かった為に、何をしてもいい、という誤解を子供たちは持っているのでしょうか?

lecture7_4.jpg5つ目は音楽の違法ダウンロードなどに見られるように、平気で物を盗む、という考え。一般店舗で窃盗をすることは無くても、オンライン上ではなぜか平気、という若者は多いようです。6つ目はオンライン上で友達をいじめる、というもの。7つ目の内容と共通点もありそうですね。オンラインでのいじめは、1人が不特定多数によっていじめられると言う危険性があり、様々な人の関心を集めています。

8つ目は、若者が倫理観に欠け、仕事をきちんとしない、というもの。新卒の雇用をする機会のある人の意見が、気になるところです。日本の若者も同じような評価を受けているのでしょうか? 9つ目は若者が自分中心であるというもの。FacebookやTwitterは主に自分の行動や意見を中心としています。もちろん、これらのメディアを使ったボランティア活動などもありますが、自己中心的だという評価は依然としてあります。最後は、若者が無関心である、というもの。

Walker氏とTapscott氏の間には、意見の相違があります。皆さんの考えはどうでしょうか? もちろん一般化のできない部分もありますが、一般論としてそうだ、同調する部分もありますか?

lecture7_5.jpg来週はブランドの話をします。ブランドを確立することが、ビジネスの成功には不可欠とされています。若者にアピールできるブランドを確立するには、若者の文化を知らなければなりませんね。その点からも、先週と今週のレクチャーの内容をじっくりと考えてみてください。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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