INTERPRETATION

第10回 I asked you first.

木内 裕也

Bazinga!

 今週のフレーズはI asked you first. 意味はそのまま、「私が最初に質問した」です。とても単純で、中学校1年生で学ぶ英語の文章ですが、良く耳にします。というのも、例えば「今日の夕食は何を作ろう?」と考えている時に、家族に「何を食べたい?(What do you want to have for dinner?)」と聞いたとします。すると、I don’t know. What do you want to eat?(そうだねえ。何か食べたいものある?)と逆に質問されます。それに対する答えとして、I asked you first!と言います。これは親と子供であったり、友人の間であったり、色々な局面で「先に質問した人が、最終決定を別の人に委ねる権利がある」という考えの表れです。つまり、聞かれた人は自分の意見を述べることが求められ、「自分はわからない。あなたはどう思う?」と聞き返すことができないのです。「今日の午後、何したい?」と聞かれたら、まずは自分の意見を言わなければいけません。日本だと、「そうだなあ。何かアイデアない?」と聞き返したりします。周りの意見に自分の考えを合わせることの多い文化の現れです。しかしアメリカでは、まずは自分の意見を述べなければなりません。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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