HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第177回 「わずかな額」

chicken feed (わずかな額)

The sum might sound like chicken feed to you, but I have spent some time saving the amount!

わずかな額に聞こえるかもしれませんが、その金額を貯金するのに結構かかったんですよ!)

chicken feedは文字通り訳せば「家禽の飼料」ですが、口語表現では「わずかな額」という意味もあります。小銭、はした金のことです。この表現に私が初めて出会ったにはイギリスの週刊誌The Spectatorの読者投稿欄でした。投書欄は世情を表すトピックであふれています。しかも珍しいフレーズにお目にかかることも少なくありません。英語学習にも大いに役立つことから、私は毎回楽しく読んでいます。

chicken feedは上記のようにsound like chicken feed to ... といった表現の他、for chicken feed(はした金で、ただ同然で)、pay chicken feed(小銭を払う)などの用法もあります。また、お金関連以外にも「つまらないもの(人)」という意味もあります。初めてこの単語が登場したのは1836年だそうです。

さらに辞書を読み進めたところ、「偽情報」との語義もありました。具体的には「政府が自分の使っている二重スパイや他の政府からのスパイにわざと流す誤った情報」を指すそうです。「偽情報」で思い出すのが、最近よく聞かれるfake news(偽ニュース)。ちなみにfakeはジャズ用語で「即興演奏をする」という意味もあるそうです。


第176回 go head to head (直接対決する)

go head to head (直接対決する)

The candidates went head to head on the TV debate.

(候補者たちはテレビ討論会で、直接対決しました。)

「直接対決する」は英語でgo head to headと言います。head-to-headのように間にハイフンを入れる表記もあり、意味としては他にも「直談判して」「一騎打ちの」といったものもあります。head-to-head raceはスポーツ用語の場合、「大接戦」を指します。

私はデジタル全盛の時代となった今でも紙辞書が好きで、自宅では大修館書店の「ジーニアス英和辞典第5版」を愛用しています。そのジーニアスでheadを引くと、数ページにわたり語義や例文、慣用句などが列記されているのがわかります。ざっと眺めてみると、have a head for (得意である)、come to a head(危機に陥る)、make head(立ち向かう)など実にたくさんのフレーズが出ているのですね。

なお、head単体の語義で面白かったのは「(蒸気・水などの)圧力」「(炭鉱の)地下通路」「(河川・渓谷などの)源」でした。簡単な単語でも、じっくりとすべての語義を読み直してみると、その都度大きな発見があります。


第175回 「元気いっぱいである」

be bouncing off the walls (元気いっぱいである)

In the kindergarten, the kids were bouncing off the walls.

(その幼稚園で児童たちは、元気いっぱいでした。)

「元気いっぱいである」は口語表現でbe bouncing off the wallsと言います。文字通り訳せば「壁から跳ね返る」です。つまり、壁にぶつかって跳ね返ってしまうぐらいテンションが高い状況から、このような表現が生まれました。「元気いっぱいである」を形容詞一語で表すならば、energeticやlivelyなどが使えます。

wallは「壁」ですが、様々な熟語がある単語です。たとえばgo to the wallは「負ける」、off the wallは「常軌を逸した」、go up the wallは「腹を立てる」です。辞書にたくさん出ていますので、ぜひ確認してみましょう。

ところでwallで思い出したのがニューヨークの金融街Wall Street。由来を調べたところ、17世紀に入植したオランダ人が自分たちを守るために丸太を使い、防壁を築いたのだそうです。ちなみに東京証券取引所がある兜町の由来は、平将門の兜を埋めたという言い伝えからだそうです。地名というのも奥が深いですよね。


第174回 「それは別問題だ」

That's another cup of tea それは別問題だ

I know what you are trying to say but that's another cup of tea.

(あなたの言いたいことはわかりますが、それは別問題です。)

「それは別問題だ」は英語でthat's another cup of teaと言います。that's another matter やthat's another storyと言い換えることも可能です。cup of tea自体は「好物、好み」という意味で、Tennis is not my cup of tea.(テニスは私の趣味に合わない)というように否定形で通常は使われます。

teaは中国語の「茶(te)」を語源とする単語です。「一杯の紅茶」はa cup of teaあるいはa cuppaなどと言います。ちなみにイギリス人の一人当たりの年間紅茶消費量は3キロ弱だそうです。ある歴史家によれば、イギリスが第二次世界大戦に勝つ上で「紅茶が秘密兵器だった」とのこと。それぐらいイギリス人には愛されているのですね。

ただ、最近の統計によればカフェチェーン店がイギリスでも普及したことにより、今ではコーヒー消費量が紅茶と比べて2.5倍になったそうです。コーヒーは肝臓疾患を予防できるとの研究結果もこれに拍車をかけていると2016年4月14日付Daily Mail紙は報道しています。

ところで先日、ロンドンを旅行した際、抹茶がずいぶん人気であることを感じました。Matcha Latteがメニューに並んでいるカフェも多かったですよ。 


第173回 「エビで鯛を釣る」

a sprat to catch a mackerel エビで鯛を釣る

The store is offering a huge discount. This is a sprat to catch a mackerel.

(お店は大幅な割引をしています。これはエビで鯛を釣るためなのですね。)

「エビで鯛を釣る」は英語でa sprat to catch a mackerelと言います。日本語ではエビと鯛が出てきますが、英語ではmackerel(サバ)とsprat(スプラットイワシ)を使います。スプラットイワシはニシンの一種です。日本語も英語も魚介類が出てくるのが興味深いですよね。大きなリターンを期待するというニュアンスがいずれの言語でも表れています。

さて、放送通訳の現場では、こうした熟語が頻繁に出てきます。先日もロシアゲート関連のニュースでred herring(おとり、気をそらすもの)という表現がヘッドホンから聞こえてきました。以前このコラムでもご紹介したフレーズです。ところが肝心の私自身が訳を度忘れしてしまったので、内心焦りました!同時通訳では文脈に応じて訳すしかありません。沈黙してしまえば放送事故になってしまうからです。とりあえずその日は無難な表現で切り抜けましたが、まだまだ勉強不足を痛感します。

ところでサバは漢字で「鯖」。つくりの部分は「靑」という旧字を本来は使います。「鯖を読む」はfudge the figuresと英語で言います。fudgeはキャンディーの一種だけでなく、「ごまかす、ずるをする」という意味もあるのですね。



2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。 「放送通訳者・柴原早苗のブログ」 http://sanaeshibahara.blog.
so-net.ne.jp/