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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第108回「印象」

takeaway 印象

After listening to the speech, what is your takeaway?

スピーチを聞いてみて、印象はいかがですか?

 今回ご紹介するのはtakeawayという単語です。単体で聞くと、一瞬「食べ物の持ち帰り」という意味が浮かびます。アメリカ英語ではtakeout、イギリス英語はtakeawayと言います。一方、上記の例文では「印象」という意味になります。

 私が愛用しているのは大修館書店「ジーニアス英和辞典第5版」(紙版)です。そちらでtakeawayを引くとtakeoutを参照するようにとあります。そこでtakeoutに目をやると、文字通り「持ち帰り」の意味のみがつづられています。しかし、さらに手間をかけてインターネットの英英辞典を調べてみると"conclusions, impressions, or action points resulting from a meeting, discussion, roundtable, or the like"とあります。つまり、話し合いなどの末に抱く「印象」という意味であることが分かります。

 ところでインターネット上にはたくさんの辞書があります。利用者が意味を投稿する、いわばWikipedia辞書版ともいえるアルクの「英辞郎」は多くの学習者にとっておなじみでしょう。一方、英英辞典ではOxfordやCambridge、Merriam-Websterなどの老舗辞書会社も無料で辞書を公開しています。世界では英米のみならず、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど英語が普及している国がたくさんあります。そうした国々の英英辞典を見てみるのも楽しいものです。


第107回「詳しく説明する」

spell out 詳しく説明する、明確に説明する

Could you please spell out why that team is making a huge success?

あのチームがなぜ大きな成功を収めているのか、詳しく説明していただけますか?

 spell outは英語学習でよく出てくる句動詞です。単語の綴りがわからないときなど「スペルアウトする」と言いますよね。一字一字言う様子を表します。と同時に、今回ご紹介するような「詳しく説明する」という意味もあります。

 spellは辞書を引くとほかにもいくつか意味があります。たとえば「呪文、まじない」もspellですし、sunny spellsのように天候などの「ひと続き」を表すときにも使われます。ただ、綴りは同じでも語源はそれぞれ異なります。単語の「スペル」の場合、古フランス語から来たようです。

 ところで最近はコンピュータの文書作成ソフトにスペルチェック機能が搭載されています。間違えても自動的に直してくれますので、急いでいるときなどは実に便利です。けれども最終的にはやはり人間の「目」が一番確実だと私は思います。と言いますのも、以前、授業の課題を添削していた際、farとすべきところがfurとなっていたり、fanがfunのままだったりしたことがあったのです。こうなるとスペルチェッカーも賢いのか否か怪しくなってしまいます。私たちが「空耳」ならぬ、「空目」状態になるのかもしれません。


第106回「ひどく緊張させるもの」

white-knuckle ひどく緊張させるもの、ハラハラさせるもの

The next election is going to be a white-knuckle race since we have a rising star.

次の選挙は期待の星が台頭しているので、ハラハラする戦いになりそうですね。

 アメリカの人気歌手Pinkの曲の中にwhite knucklesという言葉が出てきます。初めて聞いたときは「白い指関節とは何?」と疑問に思いました。そのときは特に調べずにいたのですが、のちにニュース番組でwhite-knuckle raceという言葉に遭遇したのです。辞書を引くと「ハラハラする戦い」と出ていました。体の一部をこうしてフレーズにするのは興味深いですよね。

 white-knuckleは名詞で「ひどく緊張させるもの、ハラハラさせるもの」という意味です。こぶしを握り締めると指の関節の皮膚が白くなりますよね。そこから「緊張」というニュアンスを伴うようになりました。上記の例文では形容詞として用いられています。

 遊園地には絶叫マシンがありますが、ジェットコースターのような乗り物を英語ではwhite-knuckle rideと言います。また、不安でびくびくしている人のことをwhite-knucklerとも表現します。なお、英語でwhiteは日本同様、「潔白さ」を表しますが、それと同時に「病気や恐怖で青ざめた」という意味も持ちます。日本語では「青」ですが英語では「白」です。こうした色の持つニュアンスも調べてみると奥が深いことがわかります。


第105回 「大きな評判となる」

make a splash 大きな評判となる

Her first novel made a splash in Japanese literary circles.

彼女の最初の小説は、日本の文学界で大きな評判となりました

 私が初めてmake a splashというフレーズに出会ったのは、アメリカのラジオ局NPRのニュース番組においてでした。ヒラリー・クリントン元国務長官が大統領選挙に出馬するという報道です。いつ出馬宣言をするか多くの人々が注目していましたが、今回は満を持しての表明でしたね。
 make a splashのsplashは名詞で「しぶき」「水などがはねること」という意味です。ザブンと音を立てて水の中に入ればそれだけでも目立ちます。そのような様子からこのフレーズは「注目を集める」「大きな評判となる」という意味になりました。
 ところで日本語と英語を比べてみると、擬音語も異なるのがわかります。「ザブン」はsplash、「ドスン」はthump、「ガツン」のwhangなどはその一例です。日本で発行されている英字新聞には海外のマンガが掲載されていますが、そうしたマンガにも擬音語がたくさん出てきます。日本語の擬音に慣れている分、英語の活字で見ても私などはピンときません。英語の世界の奥深さに魅了されるばかりです。


第104回 「簡単なこと」

slam dunk 簡単なこと、朝飯前

Since he has a lot of experience, that assignment should be a slam dunk for him.

彼にはたくさんの経験があるので、あの課題は朝飯前でしょう。

 CNNの放送通訳ではスポーツニュースもあります。最近でこそ私はサッカー・日本代表の試合のおかげで何とかサッカーには親しみを抱いていますが、放送通訳者デビューをしたころはとにかくスポーツニュースが苦手でした。クリケットやアメリカンフットボール、バスケットボールなど、私にとってはルールが複雑に思えてしまうのですね。しかもこうした種目は頻繁にニュースでも取り上げられます。この仕事を始めてずいぶん年月が経ちますが、今でもチーム名や選手の名前など、正確に訳す際には緊張感が伴います。
 さて、バスケと言えばやはりアメリカですよね。アメリカ英語にはバスケ関連のフレーズがいろいろとあるようです。今回ご紹介するのはslam dunkで「簡単なこと、朝飯前」という意味です。日本語では「朝飯前」や「お茶の子さいさい」と言いますが、英語ではslam dunk以外にa piece of cakeというフレーズがあります。ケーキをあっという間に平らげてしまうことから来ています。
 それにしてもなぜ「朝飯前」や「お茶の子さいさい」と言うのでしょうか?こちらも気になりますよね。このようなときにはやはりインターネットが便利です。「朝飯前 語源」「お茶の子さいさい 語源」と検索サイトで入力するとヒットします。ぜひ皆さんもご自分で調べてみてくださいね。「自力で調べる」ことが次につながります。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。