HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第99回 「大損する」

take a bath 大損する

Since the company wasn't careful enough, it took a bath investing in their new project.

その会社は十分注意を払わなかったため、新規プロジェクトへの投資で大損しました

 私は「記念日」と名の付くものが好きで、カレンダーなどに書かれている「○○の日」という記述に注目しています。国民の祝日や業界団体が設定する記念日など、その内容も多岐にわたりますよね。ちなみに毎月26日は「ふろの日」なのだそうです。そこで今回は「お風呂」に関連した英語表現を見てみましょう。
 take a bathは文字通りであれば「お風呂に入る」という意味です。一方、略式表現では「大損する」という意味にもなります。ビジネスや投資などで巨額の損失を出す様子を表します。このフレーズが誕生したのは1900年代の始めだそうです。
 ところで日本語では「お風呂に入る」という具合に動詞の「入る」が使われます。英語で「お風呂に入る」はtake/have/get a bathです。「浴槽そのものに入る」のであれば、get into a bathとなります。同じ行為でも動詞が日本語と英語で異なるのは興味深いですよね。
 私はこの原稿を書くに当たり、紙版の辞書「オーレックス英和辞典」(旺文社)を今回は活用していますが、bathを使った表現がもう一つありました。take/have an early bathです。これはイギリスの口語表現で「(サッカーなどで)退場させられる」という意味だそうです。ちなみにan early exit from the World Cupは「ワールドカップからの早期敗退」となります。これを機にスポーツ用語を学ぶのも楽しそうですね。


第98回 「有能な人を選ぶ」

separate the sheep from the goats 有能な人を選ぶ

The management has decided to separate the sheep from the goats in order to go ahead with the new project.

経営者側は新規プロジェクトを進めるために有能な人を選ぶことを決めました。

 今年の干支は未。ということで今回ご紹介するのは「ヒツジ」を用いた表現です。separate the sheep from the goatsは主にイギリスで使われる表現で「有能な人を選ぶ」という意味です。「有能なものとそうでないものを区別する」というのがより具体的な意味となります。 

 もともとこのエピソードは新約聖書のマタイ25章31から46節に出てくるものです。その当時、放牧はヤギもヒツジも一緒でした。しかし夕方には両者を分けて小屋に入れたのだそうです。聖書の世界ではヤギが悪人を、ヒツジが神の民を表すとされています。そのことから今回ご紹介するフレーズが誕生したようです。

 さて、昨年末に大修館書店の「ジーニアス英和辞典第5版」が出版されました。第4版から数年たっており、ファンにとっては待ちに待ったお目見えです。私は第4版から愛用しており、今回も発売直後に入手しました。まだページがパリッとしており、これからどんどん単語を調べては下線を引いたり余白に書き込んだりしていくのが楽しみです。

 そんな紙辞書でsheepを引くとヒツジの鳴き声や関連語などが一気に目に入ってきます。デジタル辞書も便利ですが、紙の場合はページを開くだけでざっと情報が入るのが助かります。みなさんもぜひ紙辞書の魅力を改めて感じてみてくださいね。今年も本コラムのご愛読、よろしくお願いいたします。


第97回 「決定的証拠」

smoking gun 決定的証拠

This e-mail can be the smoking gun for the prosecutors to indict him.

このメールは検察側が彼を起訴する上で決定的証拠になるかもしれません。

 今年最後のこのコラムではsmoking gun(決定的証拠)という表現をご紹介しましょう。
 smoking gunは文字通り訳すと「煙が出ている銃」のことで、発砲直後に煙が上がっている様子を表します。そこから派生して「決定的証拠」という意味を持つようになりました。「私は撃っていない」と言っても銃口を見れば煙が残っていますので、それが証拠というわけです。
 この意味はどこから生まれたのでしょうか?グーグルでsmoking gun originとワンスペースを入れながら語源を調べてみるといくつかヒットしました。読んでみると出典はシャーロック・ホームズの「グロリア・スコット号事件」という1893年の作品なのだそうです。そこではsmoking pistolという単語が用いられています。シャーロック・ホームズと言えば、「ギリシャ語通訳」という作品も有名です。
 ちなみに通訳者が出てくる小説や映画というのは探してみるといくつかあります。新潮文庫から出ているジュンパ・ラヒリの短編集「停電の夜に」の中には「病気の通訳」という作品が収められています。他にも「ザ・インタープリター」という映画が数年前にヒットしましたね。10年ほど前にはNHKのドラマ「結婚のカタチ」で女優の藤原紀香さんが通訳者の主人公を演じています。
今年も残すところあとわずか。本コラムをお読みの皆様にとって、来年も幸せな一年となりますよう。


第96回 「注目を浴びる」

hold court 注目を浴びる、(ファンなどに囲まれて)ちやほやされる

Because of her new fashion, she is holding court at the other side of the room.

新しいファッションのおかげで、彼女は部屋の反対側で注目を浴びています。

 courtは「法廷、裁判所」という意味で、hold courtは「法廷を開く」です。一方、会話表現では「注目を浴びる、(ファンなどに囲まれて)ちやほやされる」という意味にもなります。もともとは顧問が国王や女王を取り囲み、助言をしていたというのが語源です。
 私がこのフレーズに出会ったのはCNNのスポーツニュースの場においてでした。ある大会で選手が優勝し、多くの注目を集めているという話題です。hold courtというとどうしても裁判を思い描いてしまい、とっさにそのような訳語を口にしたくなったのですが、このようなときこそ全体像をとらえて意味をきちんと訳す必要があります。放送通訳現場はいつも発見の連続です。
 ところでcourtの語源はフランス語のcourから来ています。英語のcourtは他にも「中庭」という意味がありますよね。一方、「テニスコート」という意味が初めて出てきたのは16世紀初めだそうです。be on courtは「試合をしている」という意味です。
 さて、日本におけるテニス発祥の地はどこでしょう?正解は横浜の山下公園です。横浜が開港したのは1859年。その後、居留地に暮らす英国人などがテニスを始めました。日本で初めてローンテニスのプレーがおこなわれたのが山下公園で、1876年のことです。
 courtという単語ひとつから歴史を振り返るのも楽しいですよね。


第95回 「解決する」

iron out 解決する

Although the team won the match, the captain says there are some issues to iron out.

チームは試合に勝ったものの、解決するべきいくつかの課題があるとキャプテンは述べています。

 ironは「アイロン」という名詞のほかに、「アイロンをかける」という動詞としても用います。今回ご紹介するiron outは「アイロンでしわを伸ばす」という句動詞ですが、ほかにも「(問題などを)解決する」という意味があります。ぐちゃぐちゃの状態からしわを伸ばしてきれいにするかのようなイメージが思い浮かびますよね。過日行われたサッカー日本代表対オーストラリアの試合では日本が2対1で勝ち、その様子は英字新聞The Japan Newsでも大きく取り上げられていました。その中でSean Carroll記者は"Maya Yoshida said there are still creases to be ironed out."と吉田麻也選手について記しています。creaseは「しわ」ですので、「課題はまだある」という状況を表しているのがわかります。
 さて、ironは「鉄」という意味もありますが、なぜ化学記号ではFeなのでしょうか?これも語源を調べるとすぐにわかります。Feというのはラテン語のferrumから来ているのです。ちなみに「ナトリウム(Na)」は英語でsodiumで、Naはドイツ語のNatriumに由来します。一方、「銅(Cu)」はcopperで、ラテン語のcuprumから化学記号は来ています。
 本稿執筆の際に元素記号表を改めて眺めているのですが、色々な記号があり実に興味深いですね。原子番号95は「アメリシウム(Am)」、102は「ノーベリウム(No)」、99は「アインスタイニウム(Es)」、111は「レントゲニウム(Rg)」とあります。人名や国名が付いているのを見ると、化学の進歩を感じます。



《 前 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。