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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第175回 「元気いっぱいである」

be bouncing off the walls (元気いっぱいである)

In the kindergarten, the kids were bouncing off the walls.

(その幼稚園で児童たちは、元気いっぱいでした。)

「元気いっぱいである」は口語表現でbe bouncing off the wallsと言います。文字通り訳せば「壁から跳ね返る」です。つまり、壁にぶつかって跳ね返ってしまうぐらいテンションが高い状況から、このような表現が生まれました。「元気いっぱいである」を形容詞一語で表すならば、energeticやlivelyなどが使えます。

wallは「壁」ですが、様々な熟語がある単語です。たとえばgo to the wallは「負ける」、off the wallは「常軌を逸した」、go up the wallは「腹を立てる」です。辞書にたくさん出ていますので、ぜひ確認してみましょう。

ところでwallで思い出したのがニューヨークの金融街Wall Street。由来を調べたところ、17世紀に入植したオランダ人が自分たちを守るために丸太を使い、防壁を築いたのだそうです。ちなみに東京証券取引所がある兜町の由来は、平将門の兜を埋めたという言い伝えからだそうです。地名というのも奥が深いですよね。


第174回 「それは別問題だ」

That's another cup of tea それは別問題だ

I know what you are trying to say but that's another cup of tea.

(あなたの言いたいことはわかりますが、それは別問題です。)

「それは別問題だ」は英語でthat's another cup of teaと言います。that's another matter やthat's another storyと言い換えることも可能です。cup of tea自体は「好物、好み」という意味で、Tennis is not my cup of tea.(テニスは私の趣味に合わない)というように否定形で通常は使われます。

teaは中国語の「茶(te)」を語源とする単語です。「一杯の紅茶」はa cup of teaあるいはa cuppaなどと言います。ちなみにイギリス人の一人当たりの年間紅茶消費量は3キロ弱だそうです。ある歴史家によれば、イギリスが第二次世界大戦に勝つ上で「紅茶が秘密兵器だった」とのこと。それぐらいイギリス人には愛されているのですね。

ただ、最近の統計によればカフェチェーン店がイギリスでも普及したことにより、今ではコーヒー消費量が紅茶と比べて2.5倍になったそうです。コーヒーは肝臓疾患を予防できるとの研究結果もこれに拍車をかけていると2016年4月14日付Daily Mail紙は報道しています。

ところで先日、ロンドンを旅行した際、抹茶がずいぶん人気であることを感じました。Matcha Latteがメニューに並んでいるカフェも多かったですよ。 


第173回 「エビで鯛を釣る」

a sprat to catch a mackerel エビで鯛を釣る

The store is offering a huge discount. This is a sprat to catch a mackerel.

(お店は大幅な割引をしています。これはエビで鯛を釣るためなのですね。)

「エビで鯛を釣る」は英語でa sprat to catch a mackerelと言います。日本語ではエビと鯛が出てきますが、英語ではmackerel(サバ)とsprat(スプラットイワシ)を使います。スプラットイワシはニシンの一種です。日本語も英語も魚介類が出てくるのが興味深いですよね。大きなリターンを期待するというニュアンスがいずれの言語でも表れています。

さて、放送通訳の現場では、こうした熟語が頻繁に出てきます。先日もロシアゲート関連のニュースでred herring(おとり、気をそらすもの)という表現がヘッドホンから聞こえてきました。以前このコラムでもご紹介したフレーズです。ところが肝心の私自身が訳を度忘れしてしまったので、内心焦りました!同時通訳では文脈に応じて訳すしかありません。沈黙してしまえば放送事故になってしまうからです。とりあえずその日は無難な表現で切り抜けましたが、まだまだ勉強不足を痛感します。

ところでサバは漢字で「鯖」。つくりの部分は「靑」という旧字を本来は使います。「鯖を読む」はfudge the figuresと英語で言います。fudgeはキャンディーの一種だけでなく、「ごまかす、ずるをする」という意味もあるのですね。


第172回 「~づくめの、過度の~」

a plethora of ... ~づくめの、過度の~

My junior high school had a plethora of school rules.

(私の中学校は校則づくめでした。)

plethoraは医学用語で、「多血症、赤血球過多症」のことです。ギリシャ語が語源であり、plethoraは「満ちていること」という意味です。16世紀半ばに生まれた単語です。そこから転じてa plethora of ... は「~づくめの、過度の~」という意味で使われるようになりました。たとえば「過度の制限」はa plethora of restrictions、「過剰なサービス」はa plethora of servicesと言います。

ところでplethoraのthはいわゆるth発音ですが、asthma(喘息)のthはzの発音です。他にも「発音しないth」にはdiscothequeやposthumous(死後の)があります。もっともposthumousはpostとhumusというラテン語が組み合わさった単語です。一方、clothesの発音記号を辞書で見ると、thではなくzの発音記号が出ています。

考えてみればテムズ川のThamesや人名のThomasもthを使っていますが、そう発音しませんよね。発音の世界の奥深さを改めて感じています。


第171回 「驚くべき事実がある」

have a sting in the tail 驚くべき事実がある

Although I didn't like that author before, I have found out that her stories have a sting in the tail. Now I am a great fan of her novels.

(昔はあの作家が好きではなかったのですが、ストーリーに驚くべき事実があることを知りました。今は彼女の作品の大ファンですね。)

a sting in the tail(驚くべき事実、辛辣な結末)はイギリスの略式表現です。「驚くべき事実」とは言え、どちらかと言えばあまり愉快でない結末が示唆されています。上記例文は「そうした辛辣さがあるからこそ、その作家のファンになった」という様子を描いています。

stingはハチなどの針や植物のとげを意味する名詞です。また、動詞としての用法もあり、ハチやサソリなどが「刺す」という意味になります。ただし、蚊やヘビの場合はbiteを使います。こうした違いも学習者向け英和辞典に詳しく出ていますので、ぜひ身近な単語ほど調べ直すことをお勧めします。

ところで1973年に公開された映画The Sting(ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンが主演)は邦題も「スティング」ですが、このstingは俗語で「高値をふっかける」という意味です。スコット・ジョプリンの曲The Entertainerで有名になった作品です。一方、イギリスのロックバンドThe Policeのボーカルを務めたStingの本名はGordon Matthew Thomas Sumner。若いころ、ハチを連想させる黒と黄色の上着を着ていたことからStingという名前が付いたのだそうです。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。 「放送通訳者・柴原早苗のブログ」 http://sanaeshibahara.blog.
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