HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第146回 「ジレンマ」

Catch-22 (ジレンマ)

It's a Catch-22 situation. If you do it, there are some risks. If you don't do it, you'll regret it.

(それは八方ふさがりの状況ですよ。やればリスクがあります。やらなかったら後悔しますから。)

本年最初にご紹介するのはCatch-22。「ジレンマ」という意味で、a Catch-22 situationは「八方ふさがりの状況」と訳します。アメリカの作家Joseph Hellerの同名小説より生まれた表現です。1961年に出た作品ですので、比較的新しいと言えるでしょう。Catchは小文字で表すこともあり、Catch-23と数字が異なる場合もあります。

ところで数字を用いた表現は他にもいくつかあります。たとえば24/7(twenty-four seven)は「いつも、休まないで」という意味で、「年中無休」を表します。five-and-ten(二流の)、nine days' wonder(すぐに忘れ去られるもの)なども口語で出てきます。ちなみにnine days' wonderは日本語で言うところの「人のうわさも75日」。「75」や「9」という違いも面白いですよね。

さあ、2017年が始まりました。先の例文にある通り、「トライせねば後悔あり」と考えるならば、今年も貪欲に色々と立ち向かいたいですよね。お互いがんばりましょう!


第145回 「脱線する」

go off on a tangent (脱線する、脇道に突然それる)

In order to make a good presentation, it is better not to go off on a tangent from the main topic.

(良いプレゼンをするためには、主題から脱線しないほうが良いですよ。)

上記例文に出てくるgo off on a tangentは「脱線する、突然脇道にそれる」という意味です。tangentは「(一点で)接する」という形容詞ですが、「本来の目的から外れた」という意味もあります。ちなみに数学では「サイン・コサイン・タンジェント」という用語がありましたよね。この場合のタンジェントは「接線、正接」のことです。

tangentの語源はラテン語のtact-から来ており、tactは「触る」という意味です。go off on a tangentは1700年代後半に出現したとされています。なお、「本題から大きく脇道にそれる」を和英辞典で引くとdigress far from the main topicとあります。新しい英語表現に出会った際には、こうして和英で引きなおしてみると、さらに表現力を磨くことができます。

ところでタンジェントは音楽用語にもあります。クラヴィコードの鍵の先の先端の打弦棒だそうです。グーグルの画像検索で調べてみると、詳しい図や写真が出てきます。数学用語が音楽や英語の慣用句でも使われているということ自体、とても興味深く感じます。

さて、今年分の本コラムも今日が最後となりました。来年は1月第2週目にアップいたします。みなさまどうぞよいお年をお迎えくださいね。Happy Holidays!


第144回 「重い罪」

cardinal sin (重い罪)

Revealing the company secret on SNS is a cardinal sin.

(企業秘密をSNSで暴露するのは重い罪ですよ。)

今回ご紹介するにはcardinal sinということばです。キリスト教関連の用語が日常の英語表現として使われることはよくあるのですが、このことばも同様です。キリスト教におけるseven deadly sins(七つの大罪)とは、pride(傲慢), covetousness(強欲), lust(色欲), anger(憤怒), gluttony(暴食), envy(嫉妬), sloth(怠惰)のことで、cardinal sinはこの七つのうちのいずれかを指します。

日常生活の中でcardinal sinと言った場合、「許すことのできないミス」や「誤った判断」を意味します。cardinal自体は「基本的な、主要な」という形容詞のほかに、名詞では「(カトリックの)枢機卿」「深紅」という意味もあります。枢機卿とはローマ法王の次に位する聖職者です。

ところでアメリカの野球チームに「セントルイス・カージナルス」があります。名前の由来は、かつて選手たちが朱色のユニフォームを着ていたこと、また、ミズーリ州の州鳥がショウジョウコウカンチョウ(cardinal)であることから名づけられたそうです。ショウジョウコウカンチョウのオスは全身が赤色の美しい鳥で、北アメリカに分布しています。気になる方はぜひインターネットで画像検索してみてくださいね。ちなみにショウジョウコウカンチョウは漢字で書くと「猩々紅冠鳥」です。「猩々」とは中国における想像上の動物で、猿に似た赤い体毛の生き物です。「大酒飲み」という意味もあるそうです。


第143回 「結果として~をもたらす」

bring ... in one's train (結果として~をもたらす)

The election brought interest rate hike in its train.

(選挙が結果として金利引き上げをもたらしました。)

今回ご紹介するにはbring ... in one's train(結果として~をもたらす)という表現です。どちらかと言うと堅いフレーズで、ニュースなどでよく使われます。hikeは略式表現で、値段などの「引き上げ」という意味です。なお、放送通訳では各国の中央銀行名がよく出てきます。日本であれば「日本銀行(日銀)」、イギリスなら「イングランド銀行」、アメリカは「FRB(連邦準備制度理事会)」、中国は「中国人民銀行」です。総裁の名前と合わせて覚えておくと良いですね。

さて、trainは元々「引きずって行くもの」という原義があり、「列車」という意味になりました。ジーニアス英和辞典を引くと「列車、(2車両以上の)電車」とあります。個々の車両である「客車」はcoachやcar, carriageと言い、「貨車」はwagonです。ちなみに先日、都内の駅でアナウンスに耳を傾けていると、「列車」と「電車」両方の単語が聞こえてきました。

trainは他にも「連続、つながり」「長い列、隊」といった意味もあります。また、in train(順調に進んで)、set ... in train(~を開始する)というフレーズもありますので、ぜひこれを機に辞書でチェックしてみて下さい。


第142回 「不動の地位にいる」

be in an impregnable position (不動の地位にいる)

The team had a fantastic year. They are now in an impregnable position.

(チームにとっては素晴らしい年でした。今や不動の地位にいますね。)

be in an impregnable positionは「不動の地位にいる」という意味です。上記例文ではスポーツチームが素晴らしい成績を収めたことから、トップの座を占めているという状況を表しています。

impregnableは辞書で語源を調べるとinとprehendoという古フランス語から来ていることがわかります。prehendoはto takeという意味、inはnotを指します。impregnable自体は「難攻不落の」という、建物や砦が堅固である様子を示すほか、上記例文のように「(チームや人、地位などが)強力な」という意味も持ちます。ちなみに反対語はpregnable(征服できる)です。

ところで皆さんは電子辞書を普段から活用なさっていますか?私は新しい単語を電子辞書で引く際にはまず英和辞典で語義を調べます。そのあと英英辞典で微妙なニュアンスも把握するようにしています。英和辞典と英英辞典では語義の表示される順番が異なることもあり、ネイティブがどの語義をまずは重視しているか、そこで把握できるからです。さらに時間に余裕があるときは、英和辞典で出てきた日本語を今度は和英辞典で引いてみます。たとえば今回の「難攻不落」を和英辞典で調べると、impregnableのほかにinvincibleが出ているのですね。こうして一つの単語をきっかけに多方面から調べることで、語彙力のアップが期待できます。皆さんもぜひコツコツと楽しんでいってくださいね。



《 前 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。