HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第141回 「成功に甘んじて何もしない」

rest on your laurels (成功に甘んじて何もしない)

Just because you've got a job offer does not mean you can rest on your laurels.

(仕事を得たからと言って、それに甘んじて何もしないわけにはいかないでしょう。)

rest on your laurelsは「成功に甘んじて何もしない」という意味です。laurelは月桂樹のことで、bayとも言います。料理レシピにもbay leafやlaurelという名前はよく出てきます。ちなみにbayは「枯れると不幸が訪れる」と言われています。laurel自体は古代ローマやギリシャ時代、競技の勝者に与えられたもので、勝利の象徴でもありました。laurel wreathは勝者の頭にのせる「月桂樹の冠」です。

今回ご紹介した表現は、文字通り訳せば「月桂樹の上に乗る」という感じです。要は「成功に胡坐をかく」というニュアンスでしょう。laurelを使った他の表現にはlook to one's laurels「(それまでに得た地位や名声を失うまいと)邁進する」があります。一方、派生表現にはlaureate(受賞者)があり、こちらはNobel laureate(ノーベル賞受賞者)などでもおなじみです。

ところで月桂樹を県の木や花に指定しているところがあるか探したのですが、見当たりませんでした。一方、アメリカではコネチカット州とペンシルバニア州がMountain laurel(アメリカシャクナゲ)を州の花に指定しています。また、ケンタッキー州には「ローレル郡」という場所もあります。一つの単語をきっかけに、世界に目を向けてみるのも楽しいですよね。


第140回 「成果を手にする」

reap the harvest of ... (~の成果を手にする)

He has reaped the harvest of his internship at a major manufacturing company.

(彼は大手メーカーでのインターンシップの成果を手にしました。)

reap the harvest of ... は「~の成果を手にする」という意味です。努力の末に有意義なことを得たというニュアンスで使われます。一方、このフレーズには「報いを受ける」という負の意味もあります。文脈に応じて訳し分けることが必要な表現です。

harvestとは「収穫」です。この語が誕生したのは10世紀ごろとされ、古期英語から来ています。ちなみにドイツ語の「秋」はHerbstですが、こちらも同じ語源です。英語の「秋」autumnはラテン語のautumnusから来ており、autumnはイギリスの場合、9月と10月を、アメリカでは9月から11月を指すそうです。学習者向け英和辞典にはこうした細かい違いが書かれており、読み物としても楽しめます。私も自宅ではもっぱら紙辞書と「遊んで」います。

ところで辞書でharvestを引いていたところ、harvestmanという語に遭遇しました。収穫をする人なのかと思いきや、「ザトウムシ」という昆虫なのだそうです。漢字で書くと「座頭虫」です。このharvestmanという虫はアメリカでDaddy Longlegs(あしながおじさん)というニックネームが付けられています。足がとても長いのが特長なのですね。


第139回 「包括的な」

overarching (包括的な)

In order to solve the issue, we need to have an overarching plan.

(その問題の解決には包括的な計画が必要ですね。)

overarchingは「包括的な、何よりも大切な」という意味で、overarching planは「包括的な計画」のことです。overarchingは堅い表現で、通常単数形で用いられます。ほかにも文字通り、「上部でアーチ状になっている」という様子を表すこともあります。

私がこの表現に初めて出会ったのは米軍放送のAFNにおいてでした。AFNではニュースのほか、軍関係者がインタビューに応じることなどもあり、そこでは句動詞もあれば堅い表現も出てきます。まさに「生きた英語」の宝庫なのですよね。

ところで上記例文に出てくるissueですが、私の愛用する紙版辞書「ジーニアス英和辞典第5版」(大修館書店)にはproblemとの違いを記しています。issueは「議論・討論するべき社会的・政治的な問題」とある一方、problemは「対処・理解することが難しい問題を指し、否定的なニュアンスが強い」と説明があります。

類語を増やすことで、アウトプットの際にも微妙な使い分けができるようになります。ぜひおなじみの単語でもその類語まで調べて語彙力・表現力の増強を図っていきましょう!


第138回「収拾を図る」

pick up the pieces (収拾を図る)

After that terrible incident, I had to have some time to pick up the pieces and carry on with my life.

(あのひどい事件の後、私には事態の収拾を図り、人生を歩んでいくための時間が必要でした。)

pieceは「破片、部品、1点、1つ」などいくつかの意味があります。辞書を調べてみるとpieceを用いた句動詞や熟語も多く、今回ご紹介するpick up the pieces(収拾を図る)もその一つです。

pick up the piecesは「破片を一つ一つ取り上げる」という文字通りの意味もあります。よって、I picked up the pieces of the broken plate.(お皿の破片を拾った)という用法も可能です。ちなみに「チョーク1本」はa piece of chalk、「紙1枚」はa piece of paperです。日本語の「数え方」は多岐に渡りますが、英語の場合、pieceやsheet、sliceなど日本語に比べれば少ないと言えるでしょう。

pieceを用いた他のイディオムではsay one's piece(言いたいことを率直に言う)、take a piece out of ...(~をひどく叱責する)、by the piece(出来高によって)などがあり、「出来高払いの仕事をする人」はpieceworkerです。なお、日本語の「女性向けワンピース」は英語でone-piece dressまたは単にdressと言います。そういえば最近日本では女性のファッションで「スカンツ」「スカーチョ」などの新語が出ていますよね。


第137回 「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」

a laundry list (詳細なリスト、長々と書き並べたリスト)

The manager described a laundry list of projects which need to be tackled.

(部長は取り組むべきプロジェクトの詳細なリストを説明しました。)

a laundry listは「洗濯物リスト」という意味もありますが、抽象的な語義として「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」という意味も有します。Merriam-Websterのオンライン辞書によると、最初に使われたのは1958年だそうで、主にアメリカで使われるフレーズです。

ところでlaundryは英語の発音だと「ローンドリー」ですが、なぜか日本では「コイン・ランドリー」と言いますよね。イギリスに暮らしていたころ私はよくコイン・ランドリーを使ったのですが、お店の表示はlaundretteでした。一方、アメリカに出張した際よく見かけたのがDuds n Sudsという看板でしたね。

laundryの語源はlaunderで、「洗濯する」という意味です。launderの語源をさらに調べると、lave(洗う)から来ているとリーダーズ英和辞典には出ています。そういえばフランス語の「洗う」もlaverです。こうしてみるとヨーロッパの言語同士が近いことを感じます。



《 前 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。