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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第131回 「よそよそしい態度」

give the cold shoulder to ...  ~によそよそしい態度を見せる

Have I done something wrong? I don't know why he gave the cold shoulder to me.

(何か悪いことしたのかしら?なぜ彼がよそよそしい態度をとるのかわからないわ。)

今回ご紹介するのはgive the cold shoulder to ... (~によそよそしい態度を見せる)です。giveはturnやshowで置き換えることもできます。cold shoulder 自体は話し言葉で「冷たい態度、冷遇、無視」という意味です。語源は19世紀の文学作品とされていますが、具体的にどの作品が最初にこのフレーズを用いたかは定かでありません。日本語では「冷や飯を食う」と言いますので、「冷たい」という意味では共通点がありますよね。なお、「~から冷遇される」はget the cold shoulder from ... となります。

ところで英語圏では「わからない」という意味を示すボディランゲージとしてshrug one's shouldersという表現があります。これは両肩をあげ、手のひらを上に向けて両手を広げる動作です。日本語では「肩をすくめる」と訳します。ほかにもshoulderを用いたフレーズではrub shoulders with ...(有名人などと交わる)、a shoulder to cry on (悩みを聞いてくれる人)、put one's shoulder to the wheel(本腰を入れて仕事などをする)などがあります。

最近私は肩甲骨の痛みによる肩こりがあり、整体院のお世話になっています。「肩がこる」はhave stiff shoulders、「肩甲骨」はshoulder bladeです。「肩甲骨」は医学用語ですとscapulaまたはomoplateと言います。漢字なら部位がわかりますが、英語は難しいですね。その都度暗記です。


第130回 「停滞期間」

the doldrums 停滞期間、スランプ

Finally the team escaped the doldrums by scoring three goals against their biggest rival

(最大のライバルを相手に3得点を決めることで、チームはスランプからようやく脱することができました。)

doldrumsは「停滞期、スランプ」という意味ですが、海事用語では「無風帯」という語義もあります。これは赤道付近の海域で風が吹かない地帯のことです。オックスフォード現代英英辞典で調べると、赤道でこのような状況に見舞われた帆船は航海を続けることができず、風不足で立ち往生するとの説明がありました。

doldrumsの語源は定かではありませんが、リーダーズ英和辞典にはdullとtantrumがつながった語なのではと出ています。dullは「鈍い」、tantrumは「癇癪」ですよね。

doldrumsの用法として覚えておくべき点は、定冠詞のtheを必ず付けるということです。ほかにもたとえばShe is in the doldrums.(彼女は気がふさいでいる)、The economy remains in the doldrums.(経済は停滞期にある)といった用法もあります。

ところで私は最初doldrumsという語を耳で聞いたとき、何かdrums(ドラム)から来た単語だと思っていました。そこで電子辞書でdrumが付く語を調べたところ、色々あることがわかりました。珍しい語ではhumdrum(平凡な)、panjandrum(大将、御大)がありましたし、その一方でニュースでは時々conundrum(難問)という単語も出てきます。一つの語をきっかけに、ぜひ皆さんも楽しみながら単語調べをしてみて下さいね。


第129回 「激しくなる」

hot up 激しくなる

The debate between the presidential candidates are really hotting up .

(大統領選候補者たちの討論はどんどん激しくなっています。)

hot upは「激しくなる」という意味で、主にイギリスで使われる略式表現です。heat upと同じ意味で用いられます。辞書でhotを引くと「暑い、激しい、熱心な」という形容詞が冒頭に出てきますが、じっくりと辞書を読み進めると、動詞としてこの表現が紹介されているのです。なお、「激しくなる」以外には「火の勢いを強める、~を温める」という意味もあります。

今回私がこの表現に出会ったのはCNNのスポーツニュースでした。hotのような基礎単語にも動詞としての用法があったことに、改めて言葉の奥深さを感じます。一方、こうなると今度は反対語のcoldにも動詞用法があるのか気になるのですね。早速調べてみたところ、coldは「冷たい」などの形容詞、「寒さ」などの名詞、そして「完全に」という副詞のみが出ており、動詞としての用法はありませんでした。ちなみに「完全に」という意味でのcoldは主にアメリカで使われており、She learned her lines cold.(彼女はセリフを完全に覚えた)という例文が出ています。

ところでhotを調べた際、辞書のページをめくっているとhot-housing(幼児英才教育)、hothead(せっかちな人)、hot potato(難局)、hotair(でまかせ)などもありました。こうした新たな発見があるがゆえに、紙辞書遊びについつい興じてしまいます。


第128回 「使命」

calling 使命感、強い衝動

After visiting the refugee camp, he felt a strong calling to work at the United Nations.

(難民キャンプを訪れた後、彼は国連で働きたいという強い衝動を感じました。)

今回ご紹介するcallingは「使命感、強い衝動、強い希望」という意味です。ほかにも「天職」「神のお召し」などの語義もあります。英英辞典を引いてみると"a strong desire or feeling of duty to do a particular job, especially one in which you help other people"(オックスフォード現代英英辞典)、"a strong desire or feeling of duty to do a particular kind of work, especially religious work"(ロングマン現代英英辞典)と出ていました。callingは人を助けることや宗教関連的な意味のようです。

では同じ「使命」でもmissionとはどう異なるのでしょうか?こちらも英英辞典で調べてみました。オックスフォードの方は"particular work that you feel it is your duty to do"となっており、ロングマンには"something that you feel you must do because it is your duty"でした。いずれもdutyという言葉が使われています。となると次に気になるのはdutyで、その語義を英英辞典で見たところmoral やlegalという言葉で説明されていました。

このように、一つの単語をきっかけに英英辞典をどんどん読み進めてみると、日本語の辞書だけではなかなか説明しきれないニュアンスまで伝わってきます。学習者向けの英英辞典は例文も豊富で使いやすいですので、ぜひ皆さんも辞書の世界を楽しんでくださいね。


第127回 「人を助ける」

give ... a leg up 人を助けて困難を乗り切らせる

Since I work as a financial analyst, maybe I can give you a leg upon your bank account.

(金融アナリストとして働いているので、あなたの銀行口座について助けてあげることができるかもしれないですね。)

give ... a leg upは略式表現で、「人を助ける、支援する、助けて困難を乗り切らせる」という意味です。語源は、「馬に乗る際、誰かの手のひらの上に足を乗せて持ち上げてもらう」という様子から来ています。もちろん、実際に馬の乗るときにもこの表現を使いますし、馬以外の高いものに乗せてもらうときでも用いることができます。

私は新しい単語やフレーズに出会うと、その語源が気になり調べてみるのですが、今回はleg自体も辞書で引いてみました。もとはインド・ヨーロッパ語族に属する「古ノルド語」から生まれたそうです。legを辞書で引くと色々な意味があり、特に学習者向け英和辞典には違いも説明されていました。たとえばpawであれば「(犬などの)爪のある足」意味しますし、flipperなら「(カメなどの)ひれ状の足」と書かれています。

ちなみに日本語の場合、「脚」と「足」の二つがありますよね。「脚」は「足の付け根から足先まで」を表しますが、「足」は「くるぶしの下から足の裏側全体」を指すのだそうです。英語のlegは「太ももの付け根から足先または足首まで」となります。こうした違いを調べてみるのも楽しいですよね。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。