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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第138回「収拾を図る」

pick up the pieces (収拾を図る)

After that terrible incident, I had to have some time to pick up the pieces and carry on with my life.

(あのひどい事件の後、私には事態の収拾を図り、人生を歩んでいくための時間が必要でした。)

pieceは「破片、部品、1点、1つ」などいくつかの意味があります。辞書を調べてみるとpieceを用いた句動詞や熟語も多く、今回ご紹介するpick up the pieces(収拾を図る)もその一つです。

pick up the piecesは「破片を一つ一つ取り上げる」という文字通りの意味もあります。よって、I picked up the pieces of the broken plate.(お皿の破片を拾った)という用法も可能です。ちなみに「チョーク1本」はa piece of chalk、「紙1枚」はa piece of paperです。日本語の「数え方」は多岐に渡りますが、英語の場合、pieceやsheet、sliceなど日本語に比べれば少ないと言えるでしょう。

pieceを用いた他のイディオムではsay one's piece(言いたいことを率直に言う)、take a piece out of ...(~をひどく叱責する)、by the piece(出来高によって)などがあり、「出来高払いの仕事をする人」はpieceworkerです。なお、日本語の「女性向けワンピース」は英語でone-piece dressまたは単にdressと言います。そういえば最近日本では女性のファッションで「スカンツ」「スカーチョ」などの新語が出ていますよね。


第137回 「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」

a laundry list (詳細なリスト、長々と書き並べたリスト)

The manager described a laundry list of projects which need to be tackled.

(部長は取り組むべきプロジェクトの詳細なリストを説明しました。)

a laundry listは「洗濯物リスト」という意味もありますが、抽象的な語義として「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」という意味も有します。Merriam-Websterのオンライン辞書によると、最初に使われたのは1958年だそうで、主にアメリカで使われるフレーズです。

ところでlaundryは英語の発音だと「ローンドリー」ですが、なぜか日本では「コイン・ランドリー」と言いますよね。イギリスに暮らしていたころ私はよくコイン・ランドリーを使ったのですが、お店の表示はlaundretteでした。一方、アメリカに出張した際よく見かけたのがDuds n Sudsという看板でしたね。

laundryの語源はlaunderで、「洗濯する」という意味です。launderの語源をさらに調べると、lave(洗う)から来ているとリーダーズ英和辞典には出ています。そういえばフランス語の「洗う」もlaverです。こうしてみるとヨーロッパの言語同士が近いことを感じます。


第136回 「ようやく意味が分かった」

the penny (has) dropped  ようやく意味が分かった

After a specific explanation from her, the penny dropped. Now, I can respond to her idea.

(彼女の具体的な説明でようやく意味が分かりました。これで彼女のアイデアに私からも反応できます。)

the penny (has) droppedは「ようやく意味が分かった」という意味です。主にイギリスで使われる略式表現です。hasは入れても省いても構いません。

イギリスの通貨はポンド(pound)とペンス(pence)からなっています。pennyの複数形がpenceです。ただし、「ペニー硬貨」の複数形はpenniesとなります。少々ややこしいですよね。たとえばThis notebook costs 70 pence. とは言いますが、70 penniesとは言いません。一方、細かい小銭に両替するときなどは、Please give me 10 pennies for 10 pence. (10ペンス硬貨をペニー貨10個に換えて下さい)となります。

私が過ごした1970年代のイギリスでは「シリング(Shilling)」という硬貨もありました。シリング自体は1960年代で鋳造が打ち切られたのですが、それでも流通しており、たとえば2シリング硬貨は10ペンスに相当しました。当時のイギリス硬貨は種類が多い、分厚い、重いという特徴があり、お財布があっという間に型崩れを起こしていましたね。

pennyを使ったフレーズは他にもあります。Every penny counts.(どんなに小額でも大切にせよ)、to the penny(正確に計算して)、turn up like a bad penny(歓迎されないのにしょっちゅう顔を出す)などです。ちなみにアメリカ・カナダの「1セント硬貨」もpennyです!


第135回 「多くの人を激怒させる」

stir a hornet's nest 多くの人を激怒させる

The new tax which is now under consideration may stir a hornet's nest.

(現在検討されている新しい税は、多くの人を激怒させるかもしれません。)

a hornet's nestは「大きな騒動、(大勢が怒っていて)面倒な状況」という意味です。hornetとは「スズメバチ」のこと。「スズメバチ」はその姿からyellow jacketとも言います。stir a hornet's nestは「多くの人を激怒させる」という意味です。

ところで「ハチ」にも色々な英語がありますよね。waspも「スズメバチ、ジガバチ」のことですが、一方のbeeは広い意味での「ハチ」、狭義であれば「ミツバチ」を指します。beeは「勤勉の象徴」ですが、waspは「怒りっぽい人」というニュアンスがあります。なお、bumble beeは「マルハナバチ」のことです。

hornet's nestが初めてお目見えしたのは18世紀中ごろと言われています。「ハチの巣をつついたような騒ぎを引き起こす」という状況が、この表現の語源となりました。ところでアメリカのユタ州の俗称はthe Beehive Stateです。beehiveは「ミツバチの巣箱」のことで、ユタ州の旗のデザインにもそれが描かれています。beehiveが進歩と勤勉を象徴するため、この柄が採用されたそうです。


第134回 「完全に負かす」

shipwreck 完全に負かす

Our local team shipwrecked the rival in front of sold-out crowd.

(満員の観衆の前で我が地元チームはライバルを完全に負かしました。)

今回ご紹介するshipwreckは名詞の場合「難破、沈没、難破船」といった意味を持ちます。ここでは動詞として用いられており、通常であれば「難破させる」です。ただ、この例文では「完全に負かす」ということで、試合などで相手を徹底的に負かす様子を表しています。

私がこの表現に出会ったのは、米軍放送AFNにおいてでした。AFNでは定時になるとAP Network Newsという2分間の英語ニュースが流れ、そのあと続けてFox Sports Newsが放送されます。こちらも短い番組なのですが、アメリカを始め世界の主要大会などの結果を速報しています。このshipwreckというフレーズが出てきたのも、メジャーリーグ関連のニュースでした。

ところでshipという単語の原義は「くり抜いた木の幹」です。shipを使った熟語はたくさんあります。たとえばjump ship(今の仕事を辞める)、run a tight ship(効率重視で経営する)、when one's ship comes in (出世でもしたならば)という具合です。そういえばイギリスに暮らしていたころ、BBC Radio 4で早朝にShipping Forecastという気象番組を聞いたことがあります。船舶向けの気象情報なのですが、地名とデータを淡々と読み上げるのが印象的でしたね。ちなみに日本でもラジオ第2放送で毎日夕方に「気象通報」が流れます。こちらも同様の放送です。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 通訳学校で後進の指導にあたるほか、大学の英語学習サポートルームにて英語学習アドバイザーも務める。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。