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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第149回 「難しい選択」

tough call (難しい選択)

It was a tough call, but in the end, I chose what I wanted to do.

難しい選択でしたが、最終的にはやりたいことを選びました。)

今回ご紹介するtough callは「難しい選択、困難な決定」という意味です。callは中学校で学ぶ基本単語ですが、辞書を引いてみると実にたくさんの語義があることがわかります。手元にある「ジーニアス英和辞典」(紙版)でcallを引き、読み進めてみると、名詞のかなり下の方に略式表現として「決心、決定」という意味が出ていました。make a call(決定する)、It's your call(それは君が決めることだよ)、It's anybody's call(はっきりしたことを言うのは難しいね)などといった表現があるのですね。tough call自体は主にアメリカでよく使われるようです。

ところでtoughの原義は「折れにくい」という意味です。toughには「難しい」「厳しい」「(肉体的に)頑丈な」などのほかに、「(肉などが)固い」という意味もあります。This steak is too tough(このステーキは固すぎる)という具合です。一方、tough-loveは「愛のむち」、a tough part of town(街の物騒な地区)など、多様な意味があることもわかります。

こうして既知の単語も改めて辞書を引くと色々と発見がありますよね。


第148回 「大げさな行動をとる」

ham it up (大げさな行動をとる)

The therapy dog has her own website with photos of her hamming it up.

(そのセラピー犬は自分のウェブサイトもあり、大げさな仕草の写真も掲載されています。)

 ham it upは「大げさな行動をとる」という熟語で、私が初めてこのフレーズに遭遇したのは放送通訳のニュースでした。元のニュースの舞台はサンフランシスコ。「セラピー犬」ならぬ「セラピー豚」が空港で大人気という話題だったのです。クリスマスの時期、空港はどこも混みますよね。そのような中、セラピー・ピッグが登場したことで、大行列をなす人々も少しホッとした様子がそのニュースでは描かれていました。

 hamは食べ物の「ハム」ですが、略式表現では「(演技過剰の)大根役者」という意味も有します。こちらはThe Hamfat Manというミュージカルから来たもので、主人公は不器用な男性です。Hamfatがhamfatterに転じ、「ham=大根役者」と変化したようです。ちなみに「アマチュア無線家」を「ハム」と言い、やはりスペルはhamです。こちらはamateurのamがhamと発音が似ていることから生まれた言葉です。

 この原稿を書くにあたり、紙辞書をいつものごとく眺めていると、hamの下の語義にham-and-egger(並みの人間)という言葉がありました。他にもham-handed(手先が不器用な)、hammy(演技が大げさな)なども出ています。食べ物にも色々な意味があるのですね。


第147回 「結論、印象」

takeaways (印象、結論)

Having looked at the situation, we should make a clearer goal. That's one of my takeaways from the meeting.

(状況を見たところ、もっとはっきりしたゴールを設定すべきでしょう。それが会議から私が抱いた印象です。)

今回お届けするのはtakeawaysという単語で、意味は「印象、結論」です。会議や話し合いなどを経て抱いた結論や印象、あるいは行動指標などを指します。口語ではよく使われるフレーズで、CNNニュースでも頻繁に耳にします。通常、takeawayにsを付けた複数形です。

ちなみにイギリス英語の場合、takeawayはアメリカ英語のtakeout、つまり「持ち帰り」を指します。Chinese takeawayであれば「持ち帰りのできる中華料理店」を意味しますし、I got Indian takeaway yesterday.は「昨日はインド料理のテイクアウトを入手した。」です。

ところで手持ちのジーニアス英和辞典(紙版)でtakeを引くと、語義や関連表現だけで4ページ半にも及びます。それだけtake一つを取ってみてもたくさんの意味があり、句動詞が存在しているのがわかります。先ほどご紹介したのはtakeawayと一語でしたが、take awayの句動詞を読んでみると、「(子供)を(学校に)いかせないようにする」という意味もありました。こうして「ついでに」調べてみると、意外な発見があります。


第146回 「ジレンマ」

Catch-22 (ジレンマ)

It's a Catch-22 situation. If you do it, there are some risks. If you don't do it, you'll regret it.

(それは八方ふさがりの状況ですよ。やればリスクがあります。やらなかったら後悔しますから。)

本年最初にご紹介するのはCatch-22。「ジレンマ」という意味で、a Catch-22 situationは「八方ふさがりの状況」と訳します。アメリカの作家Joseph Hellerの同名小説より生まれた表現です。1961年に出た作品ですので、比較的新しいと言えるでしょう。Catchは小文字で表すこともあり、Catch-23と数字が異なる場合もあります。

ところで数字を用いた表現は他にもいくつかあります。たとえば24/7(twenty-four seven)は「いつも、休まないで」という意味で、「年中無休」を表します。five-and-ten(二流の)、nine days' wonder(すぐに忘れ去られるもの)なども口語で出てきます。ちなみにnine days' wonderは日本語で言うところの「人のうわさも75日」。「75」や「9」という違いも面白いですよね。

さあ、2017年が始まりました。先の例文にある通り、「トライせねば後悔あり」と考えるならば、今年も貪欲に色々と立ち向かいたいですよね。お互いがんばりましょう!


第145回 「脱線する」

go off on a tangent (脱線する、脇道に突然それる)

In order to make a good presentation, it is better not to go off on a tangent from the main topic.

(良いプレゼンをするためには、主題から脱線しないほうが良いですよ。)

上記例文に出てくるgo off on a tangentは「脱線する、突然脇道にそれる」という意味です。tangentは「(一点で)接する」という形容詞ですが、「本来の目的から外れた」という意味もあります。ちなみに数学では「サイン・コサイン・タンジェント」という用語がありましたよね。この場合のタンジェントは「接線、正接」のことです。

tangentの語源はラテン語のtact-から来ており、tactは「触る」という意味です。go off on a tangentは1700年代後半に出現したとされています。なお、「本題から大きく脇道にそれる」を和英辞典で引くとdigress far from the main topicとあります。新しい英語表現に出会った際には、こうして和英で引きなおしてみると、さらに表現力を磨くことができます。

ところでタンジェントは音楽用語にもあります。クラヴィコードの鍵の先の先端の打弦棒だそうです。グーグルの画像検索で調べてみると、詳しい図や写真が出てきます。数学用語が音楽や英語の慣用句でも使われているということ自体、とても興味深く感じます。

さて、今年分の本コラムも今日が最後となりました。来年は1月第2週目にアップいたします。みなさまどうぞよいお年をお迎えくださいね。Happy Holidays!



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。