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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第144回 「重い罪」

cardinal sin (重い罪)

Revealing the company secret on SNS is a cardinal sin.

(企業秘密をSNSで暴露するのは重い罪ですよ。)

今回ご紹介するにはcardinal sinということばです。キリスト教関連の用語が日常の英語表現として使われることはよくあるのですが、このことばも同様です。キリスト教におけるseven deadly sins(七つの大罪)とは、pride(傲慢), covetousness(強欲), lust(色欲), anger(憤怒), gluttony(暴食), envy(嫉妬), sloth(怠惰)のことで、cardinal sinはこの七つのうちのいずれかを指します。

日常生活の中でcardinal sinと言った場合、「許すことのできないミス」や「誤った判断」を意味します。cardinal自体は「基本的な、主要な」という形容詞のほかに、名詞では「(カトリックの)枢機卿」「深紅」という意味もあります。枢機卿とはローマ法王の次に位する聖職者です。

ところでアメリカの野球チームに「セントルイス・カージナルス」があります。名前の由来は、かつて選手たちが朱色のユニフォームを着ていたこと、また、ミズーリ州の州鳥がショウジョウコウカンチョウ(cardinal)であることから名づけられたそうです。ショウジョウコウカンチョウのオスは全身が赤色の美しい鳥で、北アメリカに分布しています。気になる方はぜひインターネットで画像検索してみてくださいね。ちなみにショウジョウコウカンチョウは漢字で書くと「猩々紅冠鳥」です。「猩々」とは中国における想像上の動物で、猿に似た赤い体毛の生き物です。「大酒飲み」という意味もあるそうです。


第143回 「結果として~をもたらす」

bring ... in one's train (結果として~をもたらす)

The election brought interest rate hike in its train.

(選挙が結果として金利引き上げをもたらしました。)

今回ご紹介するにはbring ... in one's train(結果として~をもたらす)という表現です。どちらかと言うと堅いフレーズで、ニュースなどでよく使われます。hikeは略式表現で、値段などの「引き上げ」という意味です。なお、放送通訳では各国の中央銀行名がよく出てきます。日本であれば「日本銀行(日銀)」、イギリスなら「イングランド銀行」、アメリカは「FRB(連邦準備制度理事会)」、中国は「中国人民銀行」です。総裁の名前と合わせて覚えておくと良いですね。

さて、trainは元々「引きずって行くもの」という原義があり、「列車」という意味になりました。ジーニアス英和辞典を引くと「列車、(2車両以上の)電車」とあります。個々の車両である「客車」はcoachやcar, carriageと言い、「貨車」はwagonです。ちなみに先日、都内の駅でアナウンスに耳を傾けていると、「列車」と「電車」両方の単語が聞こえてきました。

trainは他にも「連続、つながり」「長い列、隊」といった意味もあります。また、in train(順調に進んで)、set ... in train(~を開始する)というフレーズもありますので、ぜひこれを機に辞書でチェックしてみて下さい。


第142回 「不動の地位にいる」

be in an impregnable position (不動の地位にいる)

The team had a fantastic year. They are now in an impregnable position.

(チームにとっては素晴らしい年でした。今や不動の地位にいますね。)

be in an impregnable positionは「不動の地位にいる」という意味です。上記例文ではスポーツチームが素晴らしい成績を収めたことから、トップの座を占めているという状況を表しています。

impregnableは辞書で語源を調べるとinとprehendoという古フランス語から来ていることがわかります。prehendoはto takeという意味、inはnotを指します。impregnable自体は「難攻不落の」という、建物や砦が堅固である様子を示すほか、上記例文のように「(チームや人、地位などが)強力な」という意味も持ちます。ちなみに反対語はpregnable(征服できる)です。

ところで皆さんは電子辞書を普段から活用なさっていますか?私は新しい単語を電子辞書で引く際にはまず英和辞典で語義を調べます。そのあと英英辞典で微妙なニュアンスも把握するようにしています。英和辞典と英英辞典では語義の表示される順番が異なることもあり、ネイティブがどの語義をまずは重視しているか、そこで把握できるからです。さらに時間に余裕があるときは、英和辞典で出てきた日本語を今度は和英辞典で引いてみます。たとえば今回の「難攻不落」を和英辞典で調べると、impregnableのほかにinvincibleが出ているのですね。こうして一つの単語をきっかけに多方面から調べることで、語彙力のアップが期待できます。皆さんもぜひコツコツと楽しんでいってくださいね。


第141回 「成功に甘んじて何もしない」

rest on your laurels (成功に甘んじて何もしない)

Just because you've got a job offer does not mean you can rest on your laurels.

(仕事を得たからと言って、それに甘んじて何もしないわけにはいかないでしょう。)

rest on your laurelsは「成功に甘んじて何もしない」という意味です。laurelは月桂樹のことで、bayとも言います。料理レシピにもbay leafやlaurelという名前はよく出てきます。ちなみにbayは「枯れると不幸が訪れる」と言われています。laurel自体は古代ローマやギリシャ時代、競技の勝者に与えられたもので、勝利の象徴でもありました。laurel wreathは勝者の頭にのせる「月桂樹の冠」です。

今回ご紹介した表現は、文字通り訳せば「月桂樹の上に乗る」という感じです。要は「成功に胡坐をかく」というニュアンスでしょう。laurelを使った他の表現にはlook to one's laurels「(それまでに得た地位や名声を失うまいと)邁進する」があります。一方、派生表現にはlaureate(受賞者)があり、こちらはNobel laureate(ノーベル賞受賞者)などでもおなじみです。

ところで月桂樹を県の木や花に指定しているところがあるか探したのですが、見当たりませんでした。一方、アメリカではコネチカット州とペンシルバニア州がMountain laurel(アメリカシャクナゲ)を州の花に指定しています。また、ケンタッキー州には「ローレル郡」という場所もあります。一つの単語をきっかけに、世界に目を向けてみるのも楽しいですよね。


第140回 「成果を手にする」

reap the harvest of ... (~の成果を手にする)

He has reaped the harvest of his internship at a major manufacturing company.

(彼は大手メーカーでのインターンシップの成果を手にしました。)

reap the harvest of ... は「~の成果を手にする」という意味です。努力の末に有意義なことを得たというニュアンスで使われます。一方、このフレーズには「報いを受ける」という負の意味もあります。文脈に応じて訳し分けることが必要な表現です。

harvestとは「収穫」です。この語が誕生したのは10世紀ごろとされ、古期英語から来ています。ちなみにドイツ語の「秋」はHerbstですが、こちらも同じ語源です。英語の「秋」autumnはラテン語のautumnusから来ており、autumnはイギリスの場合、9月と10月を、アメリカでは9月から11月を指すそうです。学習者向け英和辞典にはこうした細かい違いが書かれており、読み物としても楽しめます。私も自宅ではもっぱら紙辞書と「遊んで」います。

ところで辞書でharvestを引いていたところ、harvestmanという語に遭遇しました。収穫をする人なのかと思いきや、「ザトウムシ」という昆虫なのだそうです。漢字で書くと「座頭虫」です。このharvestmanという虫はアメリカでDaddy Longlegs(あしながおじさん)というニックネームが付けられています。足がとても長いのが特長なのですね。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。