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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第140回 「成果を手にする」

reap the harvest of ... (~の成果を手にする)

He has reaped the harvest of his internship at a major manufacturing company.

(彼は大手メーカーでのインターンシップの成果を手にしました。)

reap the harvest of ... は「~の成果を手にする」という意味です。努力の末に有意義なことを得たというニュアンスで使われます。一方、このフレーズには「報いを受ける」という負の意味もあります。文脈に応じて訳し分けることが必要な表現です。

harvestとは「収穫」です。この語が誕生したのは10世紀ごろとされ、古期英語から来ています。ちなみにドイツ語の「秋」はHerbstですが、こちらも同じ語源です。英語の「秋」autumnはラテン語のautumnusから来ており、autumnはイギリスの場合、9月と10月を、アメリカでは9月から11月を指すそうです。学習者向け英和辞典にはこうした細かい違いが書かれており、読み物としても楽しめます。私も自宅ではもっぱら紙辞書と「遊んで」います。

ところで辞書でharvestを引いていたところ、harvestmanという語に遭遇しました。収穫をする人なのかと思いきや、「ザトウムシ」という昆虫なのだそうです。漢字で書くと「座頭虫」です。このharvestmanという虫はアメリカでDaddy Longlegs(あしながおじさん)というニックネームが付けられています。足がとても長いのが特長なのですね。


第139回 「包括的な」

overarching (包括的な)

In order to solve the issue, we need to have an overarching plan.

(その問題の解決には包括的な計画が必要ですね。)

overarchingは「包括的な、何よりも大切な」という意味で、overarching planは「包括的な計画」のことです。overarchingは堅い表現で、通常単数形で用いられます。ほかにも文字通り、「上部でアーチ状になっている」という様子を表すこともあります。

私がこの表現に初めて出会ったのは米軍放送のAFNにおいてでした。AFNではニュースのほか、軍関係者がインタビューに応じることなどもあり、そこでは句動詞もあれば堅い表現も出てきます。まさに「生きた英語」の宝庫なのですよね。

ところで上記例文に出てくるissueですが、私の愛用する紙版辞書「ジーニアス英和辞典第5版」(大修館書店)にはproblemとの違いを記しています。issueは「議論・討論するべき社会的・政治的な問題」とある一方、problemは「対処・理解することが難しい問題を指し、否定的なニュアンスが強い」と説明があります。

類語を増やすことで、アウトプットの際にも微妙な使い分けができるようになります。ぜひおなじみの単語でもその類語まで調べて語彙力・表現力の増強を図っていきましょう!


第138回「収拾を図る」

pick up the pieces (収拾を図る)

After that terrible incident, I had to have some time to pick up the pieces and carry on with my life.

(あのひどい事件の後、私には事態の収拾を図り、人生を歩んでいくための時間が必要でした。)

pieceは「破片、部品、1点、1つ」などいくつかの意味があります。辞書を調べてみるとpieceを用いた句動詞や熟語も多く、今回ご紹介するpick up the pieces(収拾を図る)もその一つです。

pick up the piecesは「破片を一つ一つ取り上げる」という文字通りの意味もあります。よって、I picked up the pieces of the broken plate.(お皿の破片を拾った)という用法も可能です。ちなみに「チョーク1本」はa piece of chalk、「紙1枚」はa piece of paperです。日本語の「数え方」は多岐に渡りますが、英語の場合、pieceやsheet、sliceなど日本語に比べれば少ないと言えるでしょう。

pieceを用いた他のイディオムではsay one's piece(言いたいことを率直に言う)、take a piece out of ...(~をひどく叱責する)、by the piece(出来高によって)などがあり、「出来高払いの仕事をする人」はpieceworkerです。なお、日本語の「女性向けワンピース」は英語でone-piece dressまたは単にdressと言います。そういえば最近日本では女性のファッションで「スカンツ」「スカーチョ」などの新語が出ていますよね。


第137回 「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」

a laundry list (詳細なリスト、長々と書き並べたリスト)

The manager described a laundry list of projects which need to be tackled.

(部長は取り組むべきプロジェクトの詳細なリストを説明しました。)

a laundry listは「洗濯物リスト」という意味もありますが、抽象的な語義として「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」という意味も有します。Merriam-Websterのオンライン辞書によると、最初に使われたのは1958年だそうで、主にアメリカで使われるフレーズです。

ところでlaundryは英語の発音だと「ローンドリー」ですが、なぜか日本では「コイン・ランドリー」と言いますよね。イギリスに暮らしていたころ私はよくコイン・ランドリーを使ったのですが、お店の表示はlaundretteでした。一方、アメリカに出張した際よく見かけたのがDuds n Sudsという看板でしたね。

laundryの語源はlaunderで、「洗濯する」という意味です。launderの語源をさらに調べると、lave(洗う)から来ているとリーダーズ英和辞典には出ています。そういえばフランス語の「洗う」もlaverです。こうしてみるとヨーロッパの言語同士が近いことを感じます。


第136回 「ようやく意味が分かった」

the penny (has) dropped  ようやく意味が分かった

After a specific explanation from her, the penny dropped. Now, I can respond to her idea.

(彼女の具体的な説明でようやく意味が分かりました。これで彼女のアイデアに私からも反応できます。)

the penny (has) droppedは「ようやく意味が分かった」という意味です。主にイギリスで使われる略式表現です。hasは入れても省いても構いません。

イギリスの通貨はポンド(pound)とペンス(pence)からなっています。pennyの複数形がpenceです。ただし、「ペニー硬貨」の複数形はpenniesとなります。少々ややこしいですよね。たとえばThis notebook costs 70 pence. とは言いますが、70 penniesとは言いません。一方、細かい小銭に両替するときなどは、Please give me 10 pennies for 10 pence. (10ペンス硬貨をペニー貨10個に換えて下さい)となります。

私が過ごした1970年代のイギリスでは「シリング(Shilling)」という硬貨もありました。シリング自体は1960年代で鋳造が打ち切られたのですが、それでも流通しており、たとえば2シリング硬貨は10ペンスに相当しました。当時のイギリス硬貨は種類が多い、分厚い、重いという特徴があり、お財布があっという間に型崩れを起こしていましたね。

pennyを使ったフレーズは他にもあります。Every penny counts.(どんなに小額でも大切にせよ)、to the penny(正確に計算して)、turn up like a bad penny(歓迎されないのにしょっちゅう顔を出す)などです。ちなみにアメリカ・カナダの「1セント硬貨」もpennyです!



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。