HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第129回 「激しくなる」

hot up 激しくなる

The debate between the presidential candidates are really hotting up .

(大統領選候補者たちの討論はどんどん激しくなっています。)

hot upは「激しくなる」という意味で、主にイギリスで使われる略式表現です。heat upと同じ意味で用いられます。辞書でhotを引くと「暑い、激しい、熱心な」という形容詞が冒頭に出てきますが、じっくりと辞書を読み進めると、動詞としてこの表現が紹介されているのです。なお、「激しくなる」以外には「火の勢いを強める、~を温める」という意味もあります。

今回私がこの表現に出会ったのはCNNのスポーツニュースでした。hotのような基礎単語にも動詞としての用法があったことに、改めて言葉の奥深さを感じます。一方、こうなると今度は反対語のcoldにも動詞用法があるのか気になるのですね。早速調べてみたところ、coldは「冷たい」などの形容詞、「寒さ」などの名詞、そして「完全に」という副詞のみが出ており、動詞としての用法はありませんでした。ちなみに「完全に」という意味でのcoldは主にアメリカで使われており、She learned her lines cold.(彼女はセリフを完全に覚えた)という例文が出ています。

ところでhotを調べた際、辞書のページをめくっているとhot-housing(幼児英才教育)、hothead(せっかちな人)、hot potato(難局)、hotair(でまかせ)などもありました。こうした新たな発見があるがゆえに、紙辞書遊びについつい興じてしまいます。


第128回 「使命」

calling 使命感、強い衝動

After visiting the refugee camp, he felt a strong calling to work at the United Nations.

(難民キャンプを訪れた後、彼は国連で働きたいという強い衝動を感じました。)

今回ご紹介するcallingは「使命感、強い衝動、強い希望」という意味です。ほかにも「天職」「神のお召し」などの語義もあります。英英辞典を引いてみると"a strong desire or feeling of duty to do a particular job, especially one in which you help other people"(オックスフォード現代英英辞典)、"a strong desire or feeling of duty to do a particular kind of work, especially religious work"(ロングマン現代英英辞典)と出ていました。callingは人を助けることや宗教関連的な意味のようです。

では同じ「使命」でもmissionとはどう異なるのでしょうか?こちらも英英辞典で調べてみました。オックスフォードの方は"particular work that you feel it is your duty to do"となっており、ロングマンには"something that you feel you must do because it is your duty"でした。いずれもdutyという言葉が使われています。となると次に気になるのはdutyで、その語義を英英辞典で見たところmoral やlegalという言葉で説明されていました。

このように、一つの単語をきっかけに英英辞典をどんどん読み進めてみると、日本語の辞書だけではなかなか説明しきれないニュアンスまで伝わってきます。学習者向けの英英辞典は例文も豊富で使いやすいですので、ぜひ皆さんも辞書の世界を楽しんでくださいね。


第127回 「人を助ける」

give ... a leg up 人を助けて困難を乗り切らせる

Since I work as a financial analyst, maybe I can give you a leg upon your bank account.

(金融アナリストとして働いているので、あなたの銀行口座について助けてあげることができるかもしれないですね。)

give ... a leg upは略式表現で、「人を助ける、支援する、助けて困難を乗り切らせる」という意味です。語源は、「馬に乗る際、誰かの手のひらの上に足を乗せて持ち上げてもらう」という様子から来ています。もちろん、実際に馬の乗るときにもこの表現を使いますし、馬以外の高いものに乗せてもらうときでも用いることができます。

私は新しい単語やフレーズに出会うと、その語源が気になり調べてみるのですが、今回はleg自体も辞書で引いてみました。もとはインド・ヨーロッパ語族に属する「古ノルド語」から生まれたそうです。legを辞書で引くと色々な意味があり、特に学習者向け英和辞典には違いも説明されていました。たとえばpawであれば「(犬などの)爪のある足」意味しますし、flipperなら「(カメなどの)ひれ状の足」と書かれています。

ちなみに日本語の場合、「脚」と「足」の二つがありますよね。「脚」は「足の付け根から足先まで」を表しますが、「足」は「くるぶしの下から足の裏側全体」を指すのだそうです。英語のlegは「太ももの付け根から足先または足首まで」となります。こうした違いを調べてみるのも楽しいですよね。


第126回 「最初から」

from the get-go 最初から

Sorry, it was my mistake. You were right from the get-go.

(ごめんなさい、私のミスです。最初からあなたが正しかったです。)

from the get-goは「最初から」という意味で、主にアメリカで使われる口語表現です。初めて用いられたのは1966年だそうで、アメリカの著作家で公民権運動活動家のToni Cade Bambara(トニ・ケイド・バンバーラ)が小説の中で使ったとありました。その後このフレーズは主にスポーツニュースでよく登場するようになっています。一説によれば、get up and goを縮めたものだそうです。

ところでgetは中学で習う基本単語ですが、辞書を引くとたくさんの意味がありますよね。get in, get through, get offなど、組み合わせた前置詞によってgetそのものの意味からは想像できないような語義になります。こうした「句動詞」は口語表現でよく使われます。学習者向け英和辞典には例文が出ていますので、私自身、早く身につけるためにも英文と訳文をしっかりと「音読」するようにしています。

ちなみに「位置について、用意ドン!」は英語で"On your mark, get set, go!"と言います。また、陸上競技の「フライング」(和製英語)はfalse start、スタートの際に鳴らす「スターターピストル」はstarting pistolです。日本では「400メートルリレー走」と言いますが、英語では4 X 100 metres relay(読み方はfour by one hundred metres relay)となります。一つの語を機に関連用語を調べるとボキャブラリーの構築につながります。ぜひ皆さんも試してみて下さいね。


第125回 「引き留める」

buttonhole 引き留める

I was in a rush but he buttonholed me about his new plans.

(私は急いでいたのですが、彼は新しい計画について私を引き留めました。)

buttonholeは「ボタン穴」のことですが、動詞では「引き留める」という意味があります。もともとはbuttonholdが正しく、それがなまってbuttonholeになったと「リーダーズ英和辞典」には書かれています。なぜ「引き留める」という意味になったかと言いますと、「その人の注目を集めるために、その人物が着用している洋服のボタン穴をつかむ」という状況があったからだそうです。「引き留める」という意味になったのは19世紀後半でした。

ところで「ボタン」という日本語の語源に関しては諸説ありますが、ポルトガル語のbotaoが一番有力のようです。また、「花のつぼみ」を表すフランス語から来たという説もあります。一方、自動車レースのF1界ではJenson Buttonさんが有名ですが、新聞表記は「ジェンソン・バトン」さんです。そういえばマイクロソフトのBill Gates氏は「ビル・ゲイツ」氏ですが、アメリカの元国防長官Robert Gates氏は「ロバート・ゲーツ」氏です。同じスペルでも日本語の書き方が異なるのは興味深いですよね。

「シャツのボタンをかける」は英語でbutton a shirtとなり、buttonは動詞になります。「シャツのボタンを外す」はunbutton a shirtです。「ちょっとした誤解」という意味で用いられる「ボタンの掛け違い」は英語でa slight misunderstandingと意訳すると良いでしょう。



《 前 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者、獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。「放送通訳者・柴原早苗のブログ」を更新中。