INTERPRETATION

Vol.18 「自分の言葉で伝える喜び」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
小谷みゆきさん Miyuki Kotani
幼少時代をドイツにて過ごす。高校卒業後ベルギー、フランスに滞在。帰国後、上智大学外国語学部比較文化学科入学。在学中より、英会話講師、通訳のアルバイトを経験。卒業後、英会話講師、フリーランス通訳翻訳業を経て、現在はボーダフォン株式会社国際市場営業部所属のバイリンガルスタッフ(スーパーバイザー)としてボーダフォンショップ八重洲北口店に勤務。
バイリンガルサービスを提供する傍ら、スタッフ教育も担当しており、後輩からの信頼も厚い。

Q. 海外での生活が長いようですが、小さい頃から語学に対する関心は強かったのでしょうか?

そうかもしれません。ドイツ語が母国語のようなところもありますし、家ではドイツ語と日本語の両方で会話していました。私にとっての外国語とは、教科書で勉強するものではなく、直接耳で聞いて覚えるものでした。今は英語が一番得意な外国語ではありますが、ドイツ語もフランス語も「勉強して習得した」という自覚はそれほどありません。

Q. 学生時代から、通訳翻訳や英会話のお仕事を?

大使館などからご依頼を頂き、本当にいろいろと勉強させて頂きました。通訳翻訳には昔から興味がありましたし、もともと話すことが好きなので、毎回楽しかったという印象しかありません。英会話も教えており、卒業後も継続して働くことになったので、何となく就職活動のタイミングを逃してしまったような感じでしたが(笑)。

Q. 現在のお仕事は、未経験分野へのチャレンジだったと伺いましたが。

エージェントの方からこのお仕事を紹介して頂いたときは、正直驚きました。接客の経験もありませんし、自分にできるのかと不安でしたが、実際始めてみたら、もしかしたら向いているかもしれないと思いました。

Q. 具体的なお仕事内容を教えて頂けますか。

携帯購入サポートから、品質管理、外国人を含むお客様への応対、資料の翻訳、新人スタッフのフォロー、他支店でのスタッフ教育などです。イベントを行うこともあり、先日はインターナショナルスクールを訪問しました。スタッフ教育も担当することになったので、店頭に出る時間も少なくなりましたが、デスクワーク、メールのやりとり、翻訳などやる事が山積みです(笑)。仕事の枠を超えて、いろんな形で動けるのが楽しいですね。

Q. やりがいを感じる瞬間は?

「ここへ来れば、英語でも分かってもらえる!」とおっしゃって頂くことがあり、そういう時はこの仕事をやっていて本当によかったと思います。お客様からの反応が直接返ってくる仕事だけに、やりがいもあります。何度も通って下さる方も増えてきました。通訳は人の言葉や意思を伝える仕事ですが、今は自分の言葉、自分のサービスによって、お客様に感謝して頂けることに喜びを見出せました。そのことを嬉しく思っています。

Q. 他支店で教育指導もされていると伺いました。

バイリンガルスタッフ導入は、八重洲北口店が初めての試みでした。パイオニアとおだてられながら入ったのですが、その後は横浜、名古屋、渋谷店でもバイリンガルサービスをスタートし、だんだんと人数も増えてきました。各店舗での情報共有が必要になり、たまたま私が選ばれました。面接段階から同席させて頂いておりますが、一番重要視するのは接客に向いているかどうかです。海外経験やTOEICの点数も考慮に入れますが、英語だけではなく、仕事に対する姿勢、一緒に働きたいと感じる雰囲気も大切なことです。

Q. 気をつけていることは?

直営店ということで、他支店で解決できないトラブルがあると、最終的にこちらで対応することになります。何か聞かれた時に、自分で100%確信が持てないときは、必ず周りに確認してからお客様に答えるようにしています。直営店の意見=ボーダフォンを代表することになりますので。
サービスも日々新しくなっています。社名変更もあり、いろんな変化を常にアップデートしていかないといけません。毎日覚えることばかりですが、お客様に聞かれたときに、きちんとお答えできるようベストを尽くしています。

Q. 皆さんとても仲がいいようですね。

誰かがミスした時は皆でフォローし、お互いに助け合いながらやっています。雰囲気もとてもいいですし、こういうところで働けること自体、大変嬉しく思っています。他のスタッフには、ママと呼ばれており、よくお昼休みには晩御飯の相談をされます(笑)。英語に興味がある方が多いので、Today’s Englishと題して、時間がある時にミニレッスンを行っています。例えば、外国人のお客様がいらっしゃった時に、いきなりバイリンガルスタッフにバトンタッチではなく、「これから英語を話すスタッフを呼んで来ます」と言えるよう、フレーズを覚えてもらったり。皆さんできることはやりたいという気持ちがあります。電話がかかってきた時には、’Hold on, please’と言えるようにしておくなど。無言で他の人に変わるのとは、随分印象も違いますよね。その他場面ごと対話集も作ってあるので、時間のあるときに皆で練習しています。英語を覚えていこう! という雰囲気がある店なので、私もいろんな意味で触発されます。

Q. もともと携帯には詳しかったんですか? 

機械音痴ではありませんが、携帯に関しては、話せればいいかなぐらいの気持ちでした。電波基準や技術的なことに関しての知識は皆無でしたので、最初は覚えることばかりで本当に大変でした。今も新製品が出る度、説明会に必ず参加します。

Q. ご趣味は?

サッカー観戦が好きです。スタジアムに行けないときは、欠かさずテレビを見ます。ワールドカップの時は海外まで応援に行きます! オリンピック日本代表が決まったときも見に行ったんですよ。お客様ともサッカーの話題で盛り上がることもありますし、私にとってはサッカー観戦がストレス解消になっているのかもしれません。

Q. 語学を生かした仕事に就きたいと考えている方へのアドバイスをお願いします。

何が自分に合っているのかを、見つけてください。私自身は海外経験が役に立って、英会話講師、通訳翻訳を経て現在の仕事に巡り会いました。まだまだ自由に英語を操れる人は、それほど多くないので、いくらでも需要はあると思います。ただ「話せる」だけではダメなので、人間としての勉強もして頂きたいですね。

Q. 今後の目標は?

仕事面では、今後全国どこでもバイリンガルサービスが受けられるようになったらいいなと思います。プライベートでは、最近海外に行く時間がないので、ゆっくり旅行に行きたいです。再来年はドイツワールドカップですし!

<編集後記>
近未来的な制服が、とっても素敵でした。私の携帯を見て、「これは古すぎます! 2タイプ以上前の型ですよ」と小谷さん。お勧めのものがありますから、とご案内頂きましたので、近々八重洲店にお邪魔しようと思っております。

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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