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第15回 自分の英語に自信を持つために

 明けましておめでとうございます。2013年が始まり1週間が経ちましたが、皆さんの年末年始はいかがでしたか?今年もやり直し英語について考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 年末に2012年の成果の振り返りを行ってくださいというお話をしました。その振り返りをベースに2013年の目標を立てて、すでに学習を始められた方も多いと思います。まだ始めていない方も焦る必要はありません。去年お話ししたSMARTゴールに従って、目標を立ててみてください。あまり細かく決める必要はありませんが、いつまでにどういうことができるようになりたいのか、そのための方法はどうするのか、見直しのタイミングをどのあたりにするのか位を決めれば十分だと思います。実際に進めながら、進捗を確認し、柔軟に微調整していってください。

 さて今回のトピックですが、「どうやって自分の英語に自信をつけるか」について考えてみたいと思います。英語を勉強する中で自信が付いたと思えるのはどういう場面でしょうか?例えばTOEICのスコアが上がったとか、英語でのプレゼンがうまく行ったとか、自分の英語が褒められた時でしょうか?プレゼンや英語を褒められるような機会は、多くの人にとってそんなにたくさんあるわけでもありませんし、TOEICスコアが上がる前までには通常はある程度の時間がかかります。自分だけで比較的短時間で、自信をつけることはできないのでしょうか?

 実はとても簡単な方法があります。これは英語だけに限ったことではありませんが、自分がこれまでできるとは考えてもみなかったことに挑戦して、それを達成することです。特に英語の場合、ある瞬間に"あれ?できるようになったかも"とbreakthroughを感じる瞬間があります。

 私も何度か経験しました。アメリカに渡って3か月ほどして、これまでアメリカ人の友達同士が話している話はほとんどわからず、途中で理解することに疲れてしまい、わかった振りをする生活でした。ある夜、またいつものようにアメリカ人の友達と3人で近所のピザ屋でピザを食べていた時のことです。いつもは耳を何かで覆っているような籠った音だった、彼らの会話が突然クリアに聞こえてきました。

 内容も全く問題なくわかるので、一瞬、日本語で話しているのではないかと思ったほどでした。残念ながら、これで全ての英語が聞き取れるようになるわけもなく、またわからない期間に突入していきました。このbreakthroughを経験できたのは、渡米後、できるだけアメリカ人とつるむようにして、わからないながらも必死で理解しようとした結果だったと思います。

 アメリカに行く前は、市販の音声を聞いて勉強はしてみましたが、1日聞けても1~2時間程度で、しかも毎日聞いていたわけではありませんでした。コツコツと勉強していたと言えばそうですが、今から思うと勉強としてはこれくらいでいいかという思いもあったと思います。教材の説明にも1日1時間程度と書いてあったので、それに従っているのだから問題はないだろうと思ったのです。

 アメリカに渡ってからは、起きた瞬間からルームメイトとの会話、その後は英語での授業、その後はアメリカ人の友人と会うという生活をしていましたので、1日16時間くらいは英語を聞いていたことになります。つまり日本にいたころと比べると1日あたり16倍の量をこなしていたことになります。それを3か月ほど続けた時点で、先ほどのbreakthroughが起こりました。

 日本で毎日16時間英語を聞くということは不可能だと思いますし、それをする必要もないと思います。毎日は無理でも、例えば週末や連休を英語漬け週末・連休として、朝起きてから寝るまでひたすら聞いてみるのはどうでしょうか?ただBGM的に流すのではなく、聞いて繰り返したり、DVDを見ながら時々セリフをまねしてみたり、ニュースを聞いてそれを口頭でまとめるとか、出来る限り聞く(input)だけではなく、口に出してみる(output)要素も入れながらしっかりと聞くことを2日、3日続けてみると、1日終わった時点で頭の中がオーバーヒートした感覚になり、かなり疲れるはずです。

 週に2~3回、1回1時間リスニングの勉強をしている人が3連休英語漬けをやったとすると、4か月分のリスニング量(48時間)を3日間でこなすことになりますし、もし毎週末英語漬けを1か月行ったら128時間聞くことになるので、10か月以上のリスニング量を一気にこなすことができます。

 これはあくまでも一例ですので、リスニング以外でもリーディングでもスピーキングでも何でも構いません。自分が普段やっている勉強のやり方では、到底できないようなことを一度やってみることで、それが自信につながると思います。単に自信だけではなく、通常のスピードの何倍もの力も付きます。

 伸び悩みを感じている方は、是非これまでやったことがないような勉強方法に、ちょっとチャレンジしてみてください。


第14回 一年の総括

 今年も残すところ2週間ほどとなりました。皆さんにとって2012年はどのような一年でしたか?年初に、今年こそは英語をやり直そうと思った方も少なくなかったと思いますが、想定された目標を達成できましたか?または何となく"英語をやらないと"と思って勉強を始めた方もいると思いますが、この一年振り返ってみてどうでしたか?

 一年の中で、この時期ほど振り返りにふさわしい時期はないと思います。全てのことがあと2週間ほどで区切りを迎えるので、このタイミングで、これまでやってきたことを見直し、うまくいった点と行かなかった点を総括することが2013年にスムーズなスタートを切るうえで重要です。

 総括となると、どうしても一人反省会になってしまいがちで、「あー今年もダメだったな」で終わってしまいがちです。それでは、おそらく2013年の年末も同じことを呟いて翌年を迎えることになってしまいますので、うまくいった点と行かなかった点に一喜一憂することなく客観的に振り返ってみましょう。

 そのためにもこの一年何にどう取り組んだのかを書き出してみるといいと思います。以前SMARTゴールを立てるというお話をしましたが、覚えていますか?
Specific 具体的な
Measurable 数値目標化されている
Achievable 達成可能な
Realistic 現実的な
Time-specific 期限を決めた
この5つのポイントに沿って、後でその達成度を測ることができる具体的な目標を設定する話をしました。もし皆さんがゴールのSMART化をしていたら、すでに書き出した目標があるはずですから、その目標に対して、どういう勉強方法をどれくらい行ったのかをざっくり書き出してみてください。かけた時間と得られた成果を比較して、来年も続けるべきか、やめるべきかを判断していきます。

 成果がなかった→来年はやらないというような単純な判断で終わるのではなく、そもそもその勉強方法を試してみようと思った根拠があったはずなので、その根拠が正しかったのか、やり方や時間のかけ方が適切だったのかを考えてみてください。多くの場合、ちょっとやり方が違っているとか、時間のかけ方が足りない(多すぎの)だけで、成果に大きな影響が出ます。

 もしSMARTゴールを設定していないまたはどういう勉強をどれくらいやったのかを記録していない方は、来年はSMARTゴール設定と勉強法や勉強時間を記録してみてください。何となくやってみる、その場その場でできることをやってみるというのは、何もやらないよりはいいですが、継続的に成果を出していくためには、ざっくりでいいので記録を残しておくことが重要です。記録がない場合でも、思い出せる限り書き出してみて総括してみてください。

 もう一つ重要な点は良かったところをしっかりと確認するということです。1年頑張ってきた人であれば、うまく行ったところ、伸びたところも必ずあるはずです。総括というとどうしても反省の部分に重きが置かれ、良かった点を評価することが少ないように思います。

 真面目な人であれば、改善を図るためにできなかったところを中心に反省しますが、良かったところを継続していく時にも、来年はさらに改善していく余地はあるはずですし、何よりも自分が頑張ったことに対して自分を褒めるということは来年以降頑張っていくために絶対に必要なことです。

 新年にその年の目標を立て、今年以上の成果を上げていくために、まずは今年の目標設定がどうたったのか、そしてその目標を達成するためのプロセス(勉強のやり方・時間の使い方)は適切だったのかを総括しない限り、来年の目標を立てることはできません。

 折角の機会ですから、一度立ち止まり今年の自分の成果を振り返ってみてください。

 来年も引き続きこのコラムの中で英語のやり直しについて考えていきたいと思いますので、来年もよろしくお願いします。


第13回 皆さんはLLL派?それともLTL派?

 2週間前に、ベトナム出張に行ってきました。技術あり、財務あり、業績報告ありととにかく内容盛りだくさんの会議でした。その中でコーチングトレーニングのセッションがあり、どう部下を育てるか、どう自分自身学ぶかというセクションで英語の学習にも使える考え方が紹介されていましたので、今日はその話をしたいと思います。

 皆さんは「学び」というとどういうイメージを持っていますか?自分でテーマを決め、独自の視点から学ぶというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、多くの方は誰か(通常は先生)から教えてもらうというイメージが強いのではないでしょうか?先生から生徒が知識を受け取るというタイプの学びです。

 英語学習に絞って考えてみると、学生時代のほとんどが後者の「学び」のパターンで英語を学習してきたので、社会人になって英語をやり直す場合、このタイプの「学び」を行なおうとするケースが多いと思います。例えば受験や資格試験(英検とかTOEIC等)のように知識を正確に覚えて、それを決められたタイミングで、再現すれば評価されるようなケースには非常に効率的な「学び」のシステムですが、単に知識の確認ではなく、その知識を本当に理解しているか、それを本当に使えるレベルまで引き上げていくという点では不十分です。

 英語の知識をビジネスの現場で使える知恵に変えるためにはどうすればいいのでしょうか?一番効果的なやり方はやはり現場で使って覚えていくやり方です。企業に勤めている方であれば、OJTのチャンスが与えられ、そこで知識を知恵に変えることができます。ただ現実問題として、社員の英語力を上げるためのOJTの機会というのはそれほど多くなく、機会があったとしても、ある程度の英語力があるという条件が付く場合がほとんどで誰でもそのようなOJTの機会をつかめるわけではありません。ですから現場で自分の英語の知識を知恵に変え、ビジネス英語力をアップさせられる人はほんの一部の人たちだと言えます。

 では、OJTの機会がなくても、知識を知恵に変えるためにどうすればいいのでしょうか?冒頭で、ベトナムでのコーチングセッションの話をすると言いましたが、そのセッションの中で紹介されていたのがLTLという考え方でした。これはLearn Teach Learnという言葉の頭文字を取ったものです。知識を取り込むだけのLearn Learn Learnではなく、一度学んだものを誰かに教えて、そしてさらに「学び」を深めるという考え方です。

 人に何かを教えたことがある方であれば、ご理解いただけると思いますが、人に何かを教えるためには自分が知っているだけでは不十分で、さらに掘り下げて内容を理解していかなければ、教えることはできません。生徒のレベルをイメージし、どう説明すればわかってもらえるのか、どういう質問が来るかも想定しそれに備えた回答の準備も必要でしょう。

 LTLの説明の中で、"他の人に教えることができて初めて自分で理解したと言える"といっていましたが、英語の学習でも同じことが言えると思います。一見ややこしく思える文法や構文・表現を誰にでもわかるように説明できてはじめて自分でも使えるようになると思います。通常の「学び」の場でのLearn Learn Learnだと、知識の蓄積に焦点が当てられすぎ、とにかく知識を多く蓄積することが学習目的になっているケースが多く、どう使うのか?という視点が欠落しがちです。

 このLTLのTeachというのは、自分が学んだ情報を多面的に整理し、自分の中で表面的な理解から本当の意味での理解へと深化させるプロセスでもあります。私自身、通訳の現場やその他の英語を使う場面で、自分が覚えたことすら忘れていたような表現がふっと口をついて出てきて驚くことがあります。そういう表現の多くは、自分が自主学習で得た知識というよりは授業で教えたものが圧倒的に多いような気がします。

 英語の知識を知恵に変えるために、英語講師の仕事をした方がいいと言っているのではありません。周りの人の協力は必要ですが、自分が苦手な分野を整理して、説明してみるだけでもLTLの効果を得ることができると思います。説明をするための事前準備、実際の説明時の質疑応答をこなすうちに、自分の中で曖昧だった情報が明確に整理され、それが現場で使える知恵に変わっていくことを体感できると思います。

 お金をもらって教えるわけではありませんから、うまく説明できなくても全く問題ありませんし、今のレベルがどんなレベルでも構いません。大切なのはLearn Learn Learnというこれまでの「学び」の流れにTeachという要素を取り入れることで、今の自分の知識をさらに深め、わかったと思い込んでいるレベルから本当に理解し使える知恵に変えることなのです。教える立場になってはじめて得られる気付きもたくさんあります。ぜひ、このLTLのプロセス試してみください。


第12回 単語との接点

 前回は3秒ルールで覚えるべき単語の優先順位を付け、それに合わせて限られている時間を割り振るという話をしました。1回に多くの時間をかけて完璧に覚えるというよりも、できるだけその単語に触れる頻度を上げる方がその単語をより長く覚えていることができます。例えば、通訳のように仕事である単語をどうしても明日までに覚えなければいけないような場合はともかく、長期的に英語力の底上げをしていくことが目標であれば、1つの単語にあまり時間をかける必要はないと思います。知っているか、知っていたけど忘れていたか、全く知らなかったという3つのカテゴリーで単語をふるいにかけ、そのカテゴリーにあった覚え方、時間のかけ方を変えていくことが重要です。

 では、知らなかった単語(見たことのない単語)つまり3秒ルールでいうところも×のカテゴリーはどうすればいいのでしょうか?例えば、皆さんが初めて人と知り合う場合、どういう行動を取るかを考えてみれば、そのヒントがあると思います。まずはその人を一瞬観察してみる。そしてその人と会話をしながら、自分との接点を探して、会話の糸口をつかもうとするのではないでしょうか。実は知らない単語を覚えるというのも、初対面の人と知り合うプロセスと同じだと思います。

 一瞬観察するというのは、単語の場合、単語の形を見て品詞を判断してみるということです。単語には接尾語や接頭語というものがあり、例えばlyで終わっていたら副詞(例外はありますが)とか、un、disで始まっていたら"何かの反対"の意味を表すといったように単語を構成する要素から意味をイメージすることができます。例えば、unveil、displeaseという単語を知らなかった場合、いきなりunveil=明らかにする、公表する、displease=不快にする、いらいらさせると機械的に覚えるのではなく、un+veil、dis+pleaseと言葉を分解してみると記憶に残りやすくなります。veilというのは日本語でもベールという言葉で使われていますが、英語の動詞で使われる場合、"ベールで覆う"つまり隠すという意味で使われ、それがunという反対の意味にひっくり返されるので、"ベールを取る"つまり隠れていたものを明らかにするという意味だとわかります。displeaseもpleaseが"誰かを満足させる"という意味であると知っていれば、disでその意味の反対になるので、満足させない、つまり不快にさせるとかいらいらさせるという意味になります。通常、基本単語に関しては、ジーニアス等の辞書の見出し語の最初に語源や単語の構成の説明がありますので、接頭語や接尾語を知らなくても心配ありません。時間も限られているでしょうから、全ての単語を同じように分解する必要はもちろんありません。

 一瞬観察して、上記のようにうまく分解できれば、ほとんどの場合それで覚えられるはずです。しかしながら、全ての単語がこのようにうまく分解できるわけではありません。では、次にどうするのか。初対面の人と知り合いになる次のステップは、その人との接点を見つけて、会話の糸口をつかむでした。知らない単語の場合も、自分との接点を探してみましょう。単語との接点??と思うかもしれませんが、簡単に言うと、その知らない単語と自分の知っている単語との接点と考えてみてください。これまで普通に英語を勉強してきた方であれば、かなりの確率で自分の知っている単語をその新しい単語との接点を見るけることが可能です。接点を見つけるポイントはいくつかあります。

(1) 似た意味の単語は?
(2) 反対の意味の単語は?
(3) 派生語は?
(4) どういうシーンで使われる単語か?
(5) ざっくりどういう意味の単語か?

少し例を見てみましょう。ban(禁止する)という単語を覚えないといけないとしましょう。短い単語ですし、ban→禁止する→ban→禁止すると5回くらい唱えれば30分くらいは覚えていられるかもしれませんが、以前お話しした忘却曲線で考えるとおそらく明日には70~80%の確率で忘れているはずです。強引に覚えてしまうのではなく、特に初対面の単語は少しだけ手間をかけるようにしてください。banは禁止するという意味で覚えるのではなく、(1)のルール「似た意味の単語は?」を使って、"禁止する"という英語を自分が知っているかを考えてみてください。もしprevent(禁止する)という単語を知っていれば、banはpreventという(自分の知っている)単語と同じという接点があることがわかります。preventを知らない場合はどうするのか。英語の類語辞典を見てみると、stopと同じと出ています。banというのはstopという自分の知っている単語と同じ意味だと分かった時点で、急にこのbanという見知らぬ単語がこれまで知っていた友達のような親近感を覚えませんか?「なーんだ、banってstopと同じなんだ」と思えたら、ほぼ忘れることはありません。

 もしくは(2)のルール「反対の意味の単語は」を使うこともできます。禁止するの反対は「許可する」ですので、permit, approve, authorize, allowどれでもいいので自分が知っていれば、例えばbanというのは、allowの逆の意味という接点が見つかればこっちのもので、一気に自分との距離が近くなった気がするはずです。この親近感が知らない単語を覚える非常に重要なポイントです。自分の知っていることと何らかの形で結びつきができれば、忘れる可能性を大きく引き下げることができます。

 神経質な人はbanとstopでは使い方もニュアンスも違うのに、こんな覚え方でいいのかと思うかもしれません。確かにおっしゃる通り、使い方もニュアンスも違いますが、私は最初の段階ではこれでいいと考えます。特に初めて覚える場合、機械的に日本語を覚えてしまうよりも、他の英語でどういうのか(同じ意味または反対の意味から)を理解して、その単語のイメージをつかむ方が今後それを文字で見た時または聞いた時に柔軟に意味を捉えることができるからです。何度か目にするまたは耳にするうちに、自然とその使い方やニュアンスを感じ取り、自分のものにできると思います。単語集を使って単語を覚える段階では、あくまでもこういう単語を覚えないといけないという顔合わせみたいなもので、「詳しいことはまた今度会った時にでも」というスタンスでいいと思います。

 この単語との接点を探すプロセスで一番大事なのは、"自分が知っていることとの接点を探す"ということです。ですから、自分が知らない単語をさらに知らない単語と結びつけて覚えようとしてはいけません。先ほどの例でpreventを知らない人がpreventとbanが同じと覚えても意味がありません。余計な負荷がかかるだけで、逆に覚える妨げになる可能性すらあります。あくまでも自分が知っているレベルまで下りて、自分との接点を探すようにしてください。実際にこのプロセスを進めていく中で、この単語をいろいろな角度から調査することになりますので、その中でこの単語の持つニュアンスも実は感じ取っているのです。

 (1)(2)でも残念ながら接点が見つからなかった場合は、それ以降の(3)~(5)のルールで接点
を探してみてください。このどれかのルールで、ほとんどの単語は覚えられると思います。今回ご紹介したやり方は×の単語(知らない単語)の覚え方であって、○も△もこんなことをやっていると単語だけで勉強が終わってしまいますので、しっかりと絞り込みを行うことも重要です。

 今回の単語の覚え方は、おそらく皆さんがこれまで単語を覚えていたやり方とは違うかもしれませんし、ここまでやるとなるとかなり時間がかかるなぁという印象を持った方もいるかもしれません。単語との接点を探していくことも慣れればかなり早く行えるようになりますし、こうして見つけた接点がどんどん広がっていき、線となり面となることで、皆さんの単語力が加速度的に増えていくことを体感できると思いますので、ぜひこのやり方で3か月単語を覚えてみてください。


第11回 3秒ルールで効率化

 前回から単語を覚える方法を細かく見ていています。まずは自分の単語集を作ることの重要性について話しました。市販でいろいろな単語集が出ており、著者がそれぞれの視点で単語を選び、その単語に必要な情報をまとめてくれています。市販の本にしてしまうと、なるべく多くの人に使ってもらえるように、情報量が必要以上に多くなりがちです。

 レベルが高い人にとって必要な情報なのか、やり直しで必要な情報なのかの区別があいまいだったり、初心者向けの単語集にもかかわらず、例文が難しすぎたり、誤解を招くような訳語があったりと一見便利そうに見える市販単語集でも実はやり直しには不向きなものが少なくないのです。ベストセラーだからいいのではなく、あくまでも自分が最後まで読めそうかどうかで判断した方がいいと思います。市販の単語集はお互い研究し合っていますから、見出し語レベルでそれほど違いはありません。レイアウト、解説の量と質、例文のレベル等で、直感で決めていいと思います。

 日々勉強していく中で出会った単語を自分の単語集に書き入れていく作業と同時に、短期的に単語力をアップさせるために自分の直感で選んだ市販の単語集もうまく活用して行きましょう。単語集を買って数日は頑張って覚えてみたものの、進めていくにつれて何となくモチベーションも下がってきて、最後まで行かずに終わった経験はありませんか?また別の単語集を買ってみても、最初は頑張るものの、後半に入るとどうしてもペースが落ちてしまうのはよくあることです。

 単語集は1回終わってからがスタートです。忘却曲線でお話ししましたが、我々は確実に覚えたことを忘れていきます。それを防ぐためにはやはり"繰り返す"しかないのです。第一ラウンドが終わって、第2ラウンド、そして第3ラウンドくらいやって初めて、「単語ちょっとわかるようになってきたかも」という感覚が持てます。人との出会いと例えると、第一ラウンドはあくまでもその人との顔合わせで名刺交換した程度、第2ラウンドでちょっと話をしてこういう人だったんだという気付きがあり、第3ラウンド辺りからAさんって~な人なんだよねって、他の人に説明できるようになるのと同じように、単語もやはり第3ラウンドくらいで「この単語ってこういう使い方するよね」って他の人に説明できるようになります。

 ただし顔合わせをしてから、何か月または何年も間を空けてしまうと、「どこかでお目にかかったことありました?」とまた顔合わせステージから始めないといけません。ですからポイントは顔合わせの第1ラウンドからいかに間を空けずに第2、第3ラウンドへ進められるかがポイントです。

 単語集の全てがわからないわけではないでしょう。中にはすでに知っている単語も少なからずあるはずです。でも多くの方が全ての単語を同じように覚えようとします。果たしてそれでいいのでしょうか?私は単語を覚えるときに「3秒ルールでチェックする」ことをお勧めしています。先ほど第1ラウンドは顔合わせといいました。顔合わせの段階であまり細かい話はしないのと同様に、単語を覚える場合でも、知ってるかどうかだけを確認するだけで大丈夫です。単語を見た瞬間の3秒間で、意味がすぐに出てきたら○、3秒考えてわからず訳語を見て知っていたら△、訳語を見ても全く分からない場合は×を付けていきます。

 単語リストの上から1つずつ覚えていくとどうしても後半に行けばいくほど精度が落ちます。本当に時間をかけないといけない単語はどれかの優先順位を付けてから、それぞれの単語にどれだけの時間をかけるのかを決めていくことがとても重要です。その日に覚えたいリストを3秒ルールで○、△、×を付けたら、次に×の単語を覚え、それが終わったら△の単語を覚えていき、時間があれば○の単語を確認していくようにすると、単語力の底上げができます。
① その日に覚える単語リストを3秒ルールで○、△、×を付けていく
② ×の単語→△の単語→○の単語の順番(リストの上からではない)で覚えていく
③ その日の終わりまたは翌日の早い段階(24時間以内)に再度同じリストを3秒ルールでテスト
 
 この③の段階で×→△または○、△→○になっていれば、単語の覚え方がうまくいっていると考えていいと思いますので、このままそのやり方を継続してください。もし×→×、△→△または×という風に効果が出ていないケースが多い場合は覚え方の工夫が必要だというサインです。この覚え方の工夫に関しては、別の回で説明していきます。

 この3秒ルールのいいところは、単語の理解度に合わせてその優先度を見極め、学習時間を割り振る以外に、早く第1ラウンドから第2ラウンドそして第3ラウンドへと進めるというメリットもあります。一つ一つの単語を確実に覚えたいという気持ちもわかりますが、そうしているとなかなか第1ラウンドが終わらず、知り合いになる第2ステージがどんどん遠くなっていきます。単語によっては何度覚えても覚えられない単語が必ずあります。その単語に他の単語の何倍も時間をかけるよりも、覚えられないものは次のラウンドに回すという割り切りも必要です。

 第1ラウンドから第2ラウンド進んでも、3秒ルールでスクリーニングをしていきます。第1ラウンドで×→△または○、△→○にするように覚えた結果、時間のかかる×の単語の数が当初よりも大きく減っているはずです。この第2ラウンドでは特に×の単語と第1ランドでは割り切って捨てた単語を中心に絞り込んで覚えていきます。このようにラウンドが進むにつれて、覚える単語をどんどん絞り込んでいきます。
 
 この3秒ルールでのスクリーニングですが、レベルによって負荷を変えることも大切です。単語には通常複数の意味があります。初心者の場合は、その中の1つでも3秒以内に答えられたら○とし、レベルが上がるにつれて訳語を全て言えないと○にしない、というように自分に合った負荷をかけるようにしてください。負荷が高い=学習効率が高いわけではありませんので、完璧主義にならないようにして、自分に合った負荷を適時かけてください。一番大切なのは第1ラウンドから第2ラウンドそして第3、4ラウンドとできるだけ短いサイクルでラウンドを進めていくことです。頑張ってください。

次回は覚えられない単語はどうするのかを考えてみたいと思います。



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プロフィール

上谷覚志

上谷覚志(かみたにかくじ)さん
大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。