INTERPRETATION

第10回  継続できなくても、あきらめない!

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

 みなさん、こんにちは。9月に入り日本は過ごしやすい季節になったかもしれませんが、こちらイギリスでは急に寒くなり、今朝の最低気温は7度でした! またクリスマス商戦も始まりクリスマス限定の商品が店頭に並び始め、今年も終わりに近づいていることを感じずにはいられません。

 前回「今年の目標」について触れましたが、達成には近づいていますか? 「XX検定XX級合格」「XXキロ減量」「XX円貯金」「XXキロレース完走」「1日XX分通訳自己トレ」などなど、色々な目標が考えられますが、毎日の生活の中でついつい気がついたら目標達成への努力を怠っていた…ということもあるでしょう。というか、実際はそのほうが多いかもしれませんね。私自身がそうです(苦笑)。でも、その目標を叶えたいなら、大切なことは「方法は変えたとしても目標はあきらめない」ことじゃないかと思っています。

なかなかタバコを止められない私の父は、「禁煙なんか簡単や。もう23回やってみた! ハッハッハ」というジョークが気に入っているようです。周囲がどんどん禁煙に成功する中、なかなか止められなくて何十年も悩んでいる父ですが、何十回も禁煙を試みることで吸ったタバコの数はかなり減ったはずで、それも意味があることではないかと思います。

生徒さんから「通訳練習を毎日しようと思いながら……」という声もよく聞きます。子育てや昼間の仕事など、色んな事情で自己トレの時間をとるのが難しい日もあるでしょうが、ここでも大切なことは「本当にプロの通訳者になりたいのなら自己トレを再開すること」ではないでしょうか。「毎日継続できなくても、あきらめずにまた始める」の繰り返しできっと上達することでしょう。

では、今回も会議で使える表現を3つ取り上げます。

1) 「その問題は次の会議に持ち越します」

会議の時間というのは限られていて、その間に議論できる項目も限られます。内容によっては次の会議まで持ち越しても問題ない場合もあり、そんなときに使える表現がleave for the next meeting。議長さんならI think we’ll have to leave that question for the next meetingなどと言って次に進むことになります。

2) 「議事録」「議事録に残す」

「”議事録”は1分・2分の”分”と同じminute」とだけ覚えている人は要注意! 「議事録」という意味の名詞は常に複数形minutesです。take (the) minutesで「議事録をとる」ですが、minuteは動詞としても使えます。It’s been minutedだと「(それは)議事録に残されました」。

3) 「次の議題に移ります」

たいていの会議はアジェンダに沿って行われますが、次の項目に移るときのつなぎ言葉をうまく訳せると会議がスムーズに進行します。そんなときに使えるのがmove on to the next pointとかmove on to the next item on the agendaなどmove on toという句動詞を使った表現。

「本件についての採決をした後、次の議題に移ります」だと

We’ll have a vote on this topic and then move on to the next point.

以上、3つの表現がお役に立てば幸いです。

 実は、父の禁煙エピソードに匹敵するのが私のダイエット。「XXキロまで減量」という同じ目標を掲げて5年以上経ちます(涙)。その間、「毎日30分運動」「トマトダイエット」「炭水化物抜きダイエット」など色々試しましたが、目標達成する前にいつのまにか止めている…… ということの繰り返し。でも、おかげで少なくとも体重増加はしていないと自分を慰め、あきらめないで今日できることを一つでも実行しようとしています(ビスケット一枚・ワイン一杯をがまん、スパゲティの代わりにモヤシ等)。

 というわけで、決めたことを継続できなくても目標を達成するためにはあきらめず成功に向けて今日からまた階段を一段一段登りましょう! 

There is no elevator to success… You have to take the stairs. (By Zig Ziglar) 

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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