INTERPRETATION

第107回 間違いやすい表現 「~後に」

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。イギリスでは9月中旬というと日照時間がどんどん短くなり、涼しいというより寒くなる時期で、暖房を入れる日も近そうです。

ところで会議通訳の現場では、相当英語がおできになる日本人にもよく出会います。グローバル舞台の第一線で活躍している日本人を見かけると誇らしく感じます。

ただ、日本語でも「て・に・を・は」を間違えると意味が変わるように、ほんのちょっとした文法ミス・表現ミスで流暢な英語も通じない(or 通じにくい)場合もあります。その中で、先日の通訳現場で気が付いた表現を取り上げます。

【基本編】

「~後に」というとき、例えば「3日後に会いましょう」というとき、あなたなら英語でどう言いますか?

I will see you 3 days later.

が思いついたとすれば、それはよくある間違いです!

「後に」というとlater/afterだけが思い浮かび「in」は思いつかない人が意外に多いです。「後で会う」のように具体的な時間/期間がない場合はSee you laterでいいのですが、未来のことについて具体的に~分・時間・日・週・月・年などを加わえて、「(今から)~後に」という場合、in – s’ (time) となります。

つまり「3日後に会いましょう」だと

→ I will see you in three days’ time. (timeは省略可)

ちなみに「2週間後に会った」と過去の話をする場合はlaterを使います。

→ I saw him two weeks later.

【応用編】

では、「2週間後に会いましょう」はどうでしょう?

上記ルールを使うと

→ I will see you in two weeks’ time.

ですね。それは間違いじゃないのですが、イギリス人ネイティブはこう言います。

→ I will see you in a fortnight.

a fortnightで「2週間」という意味なので、隔週で会う人だとお別れのあいさつにSee you in a fortnight! と言います。

ビジネスなどで「隔週で水曜日に会議をする/会合を開く」だと

→ We meet fortnightly on Wednesdays.

基本編の誤りはかなり頻繁に聞きますが、人の誤りはさておき、私自身も間違って苦労したことから学びました。学生時代、アメリカ留学中、ルームメイトに「じゃあ、2時間後に会いましょう」とかなんか言おうとしたときにlaterやafterだと全然通じなくて、最終的には “It’s 3 o’clock now. I will see you at 5” のように言い直してやっと通じ、ルームメイトが “In two hours’ time!” と言い直してくれ、二人とも安堵で大笑いした記憶があります。おかげで、未来の「~後に」= in -s’ timeは頭に焼き付きました。

応用編は、イギリスに来てから近所のママ友に言われて学んだ表現です。それまでfortnight=2 weeksというのは本で学んだような記憶はあったけれども実際に使われているのを初めて聞いたときは「fortnight、あれ、なんだったっけ? 再来週会うんだから、あぁ2週間かー」なんて現実に当てはめて理解した覚えがあります。

外国人が日本を学ぶときに「て・に・を・は」で苦労するようですが(結婚22年目の夫もまだ苦戦中)、日本人にとっては名詞の単数・複数形、冠詞、前置詞などはなかなか完璧にマスターするのが難しいですね。在英20周年の私もまだまだ学習中です。学びは永遠に続くけれども、一つ一つの知識のレンガを積み重ねていくことで大きな建物が出来上がっていくイメージを持ってコツコツ学習を続けています。

今回のトピックがお読みになっている方の知識のレンガの一つになれば幸いです。

2017年9月11日

Written by

記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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