INTERPRETATION

第119回 本コラムで1年を振り返る

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。いよいよ2017年も終わりが近づき、本コラムも今年の最終回となりました。そこで、この1年を振り返りたいと思います。冬休みでいつもより少し時間に余裕があるという方、リアルタイムで逃した方、今回のリンクを利用してゆっくり過去の記事もお読みいただければ幸いです。

まず、年明けの記事「2017年注目の世界ニュース」で3つのトピック(米トランプ大統領就任、Brexit、AI)を取り上げました。以下、トピック別に関連記事を紹介します。

1.トランプ氏米大統領就任(US President Donald Trump’s inauguration)

2016年11月の大統領選でまさかの当選を果たしたトランプ氏が、いったいどれくらい公約を守るのかが注目された1年でした。ただしトランプ氏関連は日英メディアでかなり報道されているので本コラムで大きく取り扱ったのは就任直前のスピーチ(第77回)だけでした。けれども、第76回で取り上げた公約はどんどん推し進めているようですね。12月22日には大型減税法案 (major tax cut bill) が署名され、大型公約の1つが実現されました。

2.英EU離脱および欧州各国での選挙(Brexit and European elections)

2017年の初め、欧州ではオランダ、フランス、ドイツなどの主要国で総選挙 (general election) や大統領選 (presidential election) が予定されており「選挙の年」と言われていましたが、これらの予定されていた全国レベルの選挙に加え、イギリス議会の解散総選挙(snap election)やスペイン・カタルーニャ独立問題に伴う地方選挙 (regional election)なども行われました。カタルーニャ問題は第113回で取り上げましたが、州議会選挙が12月21日に予定通り行われ、独立派がかろうじて勝利を収めました。まだまだ不透明な状態が続いています。バルセロナには教え子や友人が住んでおり、個人的にも懸念を抱きながら動向を注目しています。

選挙関連必須ボキャブラリーは第91回第93回で特集しましたが、イギリス総選挙関連は第99回、Brexit関連は第78回第83回第88回第101回第109回でも取り上げています(Brexitでは今月大きな動きがあったのに本コラムでまだ取り上げていないのが気になっています)。

3.人工知能(AI、Artificial Intelligence)

テクノロジー関連は常に進化しているので最新ニュースを追う必要があります。本コラムでは、第79回第97回第102回第103回第112回で取り上げました。個人的にはOECDのAIに関する国際会議(Conference on Artificial Intelligence – “AI: Intelligent Machines, Smart Policies” でAIについて最先端のスピーチやディスカッションを同時通訳する機会に恵まれました。自動翻訳・通訳の技術もどんどん進化していく中で、私たち翻訳・通訳者も将来の仕事の需要や求められるスキルについて真剣に考えなければなりません。

その他にも慣用表現(Figures of speech)を多く取り上げています(第87回第96回第98回第100回第105回)。また、「恋愛・結婚」も取り上げました(第106回第116回第117回)(企業の結婚は第82回)。個人的に気に入っているのは、日英で順序が逆の(または同じ)慣用表現です(第87回)。以上、お正月休みの学びの題材になれば幸いです。

ところで皆さんにとって2017年はどんな1年でしたか?

私は2017年の元旦を病院の緊急病棟(A&E)で過ごしたので、これまで以上に体調管理に気を付けました。「ふつうに生活できるだけでもありがたい」と思いながらも、月1、2回の海外出張とイギリス国内での仕事(会議通訳、大学院講師)、オンライン通訳講座などを無事終えられ、充実した1年となりました。二人の息子は半分独り立ちをしてしまって寂しいけれど、一緒に過ごせる貴重な時間を楽しんでいます。

また本コラムのおかげもあって、学びのネットワークもさらに広がりました。TwitterFacebookなどのメディアを通して向上心の高い若者から年配者まで様々な人々に出会い、共に学び、互いに刺激し合いながら一緒に成長することもできました。感謝しています。

読者の皆さまにとっても学びの多き1年であったことを願います。また本コラムが皆さまの学びに少しでもお役に立っていれば嬉しいです。

2017年12月25日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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