INTERPRETATION

第244回 工夫を楽しむ

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

なるべくモノを増やさずに生活したいと思っています。このため、何かを買い足すにしても、本当にそれが必要か自問自答してから購入するよう心掛けています。先日電車に乗った際、作家・小川糸さんの最新エッセイ「これだけで、幸せ」の広告を見ましたが、少ないもので幸せを感じる生き方に私も共鳴します。

モノが少ない状態になると、その中でいかにやりくりするかが問われます。実はその「工夫の工程」というのが私は好きなのですね。たとえば我が家の場合、

以下のような方法をとっています。

1.水切りかご

以前は台所に水切りかごがあるのは当然と思っていました。けれどもしばらく使っていると目地の部分に水垢がたまってきます。それを洗うのが私にとっては大変だったのですね。見て見ぬふりをすれば何となく衛生面で気になります。そこである日、思い切ってかご自体を処分しました。今では台所のステンレス作業台にそのままお皿を置いて乾かしています。乾かすためには作業台自体を広めにとっておく必要がありますので、必然的にモノをさらに減らそうという意識が高まったように思います。我が家にはザルや蒸し器用の網もありますので、必要に応じてそうしたものを「かご替わり」にしています。

2.ガラス製パイ皿

ガラス製の丸型や四角型のパイ皿、また、同じくガラス製のパウンドケーキ用の型はケーキやパイだけのものとは限りません。我が家では大皿替わりにしてサラダやおかずなどをドンと盛り付けています。土鍋も同様です。これは乳がんで若くして亡くなられた英語ジャーナリスト・千葉敦子さんが著作に記していた方法で、土鍋にサラダを盛り付けて外国人のお客様をもてなすとありました。

3.ポケット

ジャケットやコートなどにはポケットがついていますよね。高校生の頃は小銭入れやティッシュを入れたりとポケットはフル稼働状態でした。大学生や社会人になるとバッグを持つようになりましたので細々したものはそちらに入り、ポケットは実質上「洋服についている飾り」となったのです。けれども重いバッグを極力軽くしたいと考えた私は今ではポケットも使うようにしています。あまりたくさん入れるとボコボコになるのでバランスが必要ですが、おかげでカバンは大幅に軽くなりました。

4.裏紙を生ごみ処理に

仕事柄、かなりの裏紙が我が家では発生します。そのまま古紙回収に出すのはなんとなくもったいないので、A4用紙であれば半分に切り、メモ用紙にしています。それでも余りがちなので、野菜などの生ごみを入れて処分する「箱」を作っています。インターネットで見つけた折り紙の「箱」なのですが、その折り方でA4用紙を折ると、手のひらサイズの箱が出来上がります。調理中はそこに野菜の皮や種、魚の内臓などをどんどん捨てていきます。他にもA4を広げれば大きな面積でゴミを捨てていけます。1枚ですと破れがちなので2枚の方が安心です。作業終了後にくるりと包んで捨てれば紙が水けを吸収してくれ、ニオイも気になりません。

5.電子レンジの活用

純正ココアや葛湯など、本格的に作るとなるとお鍋やへらが必要になりますよね。おいしく作る楽しさがある反面、洗い物が大変という場合、電子レンジが頼りになります。インターネットには電子レンジで調理できるレシピがたくさん掲載されており、ココアや葛湯、簡単ケーキなど短時間でできるものが紹介されています。慣れるまではレシピを書き出してそれを見ながら何度か練習すると、次第にできるようになります。

6.服ブラシ

外出先から帰宅後、着ていた洋服にブラシをかけるとホコリをはらえるので気持ちが良いですよね。生地にとっても長持ちさせることにつながります。ただ、仕事でくたびれて帰ってきて着替えてからまたブラシをかけるとなると結構億劫です。そこで私の場合、服ブラシを玄関の靴入れの引き出しにしまっておき、玄関のたたきでブラッシングするようにしています。ポイントは帰宅後、玄関の廊下に荷物を下ろしたらすぐにコートだけ脱ぐこと。そこでブラシをまずはかけます。その後、今着ているシャツやスカートなどにも手の届く範囲でブラシをあてます。完璧を求めすぎると大変なので、あくまでも出来る範囲というのがポイントです。何もやらないよりマシと思いながら取り組むだけでもハードルは低くなります。

7.月末は冷蔵庫内・乾物整理

昨年の大掃除の際、冷蔵庫内を拭きたいと考えました。そのためには中にある食材をできる限り使い切る必要があったのですね。1週間、ひたすら在庫品で調理してみると結構何とかなり、おかげで隅々まで拭くことができました。そこで考えたのが「月末を冷蔵庫内や乾物の整理にあてること」。月1回、冷蔵庫や乾物棚を掃除できますし、在庫もローテーションできるので一石二鳥です。

8.ウェットティッシュを掃除に

コンビニやレストランなどで配られるウェットティッシュ。我が家ではなぜか余ることが多いため、もっぱら台所の拭き掃除に使っています。個別包装しているウェットティッシュですが、あまり長期間放置しておくと乾燥してしまうのですよね。台所の壁タイルの目地を拭いたり、床の隅の方を拭いたりガスコンロの下(うちはビルトインではないので)を拭くなど活用しています。雑巾のように洗って乾かしてというプロセスが省けますので、ちょっとした掃除に便利です。

9.ジッパー付き食材はそのままで

以前私は小麦粉、乾燥わかめ、お麩、スキムミルクなどを別容器に入れていました。かつて「見せる収納」にこだわったことがあり、透明のケースに入れて

台所の作業台に置いていたのです。けれども洗いかごを撤去して作業台を広く使う必要が出てきたため、見せる収納もその時点で終了。今度はそうしたケースを棚の中にしまったのですが、ケース自体が大きいため場所ふさぎになっていました。昔の小麦粉などの袋は開封後に輪ゴムで閉じなければいけませんでしたが、今の日本では多くの食材がジッパー式袋に入っています。これを活用しない手はないと思い、そうしたパッケージのものはそのまま使うようにしています。袋の場合、空気を抜けば小さくなりますので、省スペースで済んでいます。

10.多用途に使えるか考える

たとえば日本酒が切れた場合、レシピによっては白ワインで代用できます。みりんがなくなってもお酒とお砂糖があれば何とかなりますよね。だしもこんぶや煮干しがあればむしろ本格的な味になります。一方、化粧品も同様に工夫ができます。たとえばメイク落としもオイル配合の多いボディクリームで十分落とすことができます。ボディクリームが不足していればハンドクリームでも保湿はできるのです。「このアイテムを他に活用できないかしら?」と考えながら工夫をしてみると、結構切り抜けられると思います。

以上、10項目をご紹介しました。今はインターネットのおかげで色々な人たちが自らの工夫をネットで提供してくれています。自分の工夫に不安があれば、ネットで確認してからにすれば安心ですよね。あれこれモノを増やさず、今あるもので工夫すること自体を自分の「趣味」にしてしまうと、日々の暮らしがますます楽しくなってきます。

(2016年1月18日)

【今週の一冊】

「食べてはいけない添加物 食べてもいい添加物」 渡辺雄二著、だいわ文庫、2008年

私は日ごろポテトチップスなどの「乾きものスナック」は買わないのですが、それには理由があります。どうしても後を引いてしまうため、いったん食べ始めるとなかなかやめられないのです。スナック菓子のCMではありませんが、本当に「止まらない」という感じになってしまいます。そして食べ終えてから「大後悔」というオマケがついてきます。体重も気になりますよね。

何かをやめるというのは相当の強い意志が必要だと思います。悪い習慣以上に良い習慣を導入すれば良いと言われていますので、スナック菓子を食べすぎて体重が増えたならその分運動をすれば良いと言えるでしょう。けれども忙しくて運動できないなど、人間は言い訳づくりの天才です。よって私の場合、「スーパーではお菓子コーナーに近づかない、買わない」ということをせめてものルールにしています。

もう一つは「正しい知識を増やすこと」です。特に食品添加物などの情報をしっかりと把握しておくことは、自らの健康にもつながりますよね。そこで入手したのが今回ご紹介する一冊です。私の場合、そこまで厳格に食べ物の取捨選択をしようというつもりはなく、あくまでもアバウトです。ただ、何も知らないでいるよりは知っておくに越したことはありません。

本書には今の日本で許可されている保存料や合成の添加物などが一覧となって紹介されています。アイウエオ順に並んでいますので、気になる名称を調べて内容を把握するという使い方もできます。本の前半には具体的な人気商品について説明がありますので、どのような添加物が使用されているのかが分かります。

ただ、気にしすぎると何も食べられなくなってしまいますよね。ですので、私の場合あくまでも「参考情報」と認識しつつ、より安全なものが何なのかを考えようと思っています。長く通訳の仕事を続けるためにも、正しい食の知識を得て健康状態を保ちたいというのが私の願いです。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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