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ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

ビジネス・経済・金融などの分野の翻訳や通訳でよく出てくる表現をイギリスのメディアから取り上げてお届けします。

第47回 マネジメント用語 その2

皆さん、こんにちは。とうとう伊勢志摩サミットが開催されましたね。私は三重県出身なのでドキドキしながら地元の様子をニュースで追いましたが、イギリスでの報道はオバマ大統領の広島訪問がメインでG7伊勢志摩サミットの様子はほとんど報道されなかったのが少し残念でした。いずれにしても一連の主要イベントが無事終わり一安心ですね。

前回からマネジメント用語を紹介しています。今回紹介する語は、マネジメントというかビジネス一般で使われる語も含まれています。

1.「~休暇」
有休、年休、産休、育休、病気休暇など、「~休暇」は労働条件の話では欠かせませんが、英語では何というでしょうか? 休暇=holiday と思っていませんか?
有休はpaid holidayとも言いますが、公式に認められている「~休暇」はleaveを使います。
・annual leave(年休、年次有給休暇)
・maternity leave(産休、母親がとる場合)
・parental leave(育休、育児休暇、父親・母親のどちらにでも使える)
・paternity leave(男性の育休)
・sick leave(病気休暇)
男性の育休については今年の初めに日本で話題になっていましたが、イギリスでは父親は2週間程度育休を取るのがふつうです。
ついでにleaveの意外な(?)用法をもう一つ紹介。それは「許可」という意味で、いわゆる「永住権」はイギリスではIndefinite leave to remain(無期限滞在許可)と言います。
また「病欠する」はbe off sickやtake a sick dayですが、俗語ではsicky(take a sicky)とも。

2.川上統合、川下統合
M&Aやacquisitionは第6回で取り上げましたが、M&Aにも「川上統合」と「川下統合」があるのはご存知でしょうか。まず商品ができる過程(流れ)について考えると、
原材料→製造→流通(卸、小売)→消費者
始まりの原材料が上流(川上)で、消費者(川下)のほうに流れていくイメージです。
川上統合は、原材料の調達力強化などを狙って仕入れ側(上流方向)に展開していくこと。自動車業界なら部品メーカーを買収すること。「後方統合」とも呼ばれ、英語ではbackward integration。
川下統合は、販売機能や市場管理の強化を狙って販売側(下流方向)に展開。自動車メーカーなら販売店を買収することで「前方統合」とも呼ばれ、英語ではforward integration。

3.鳥瞰(ちょうかん)
鳥が空から広い範囲を見下ろすように、全体を見渡すことを鳥瞰と言いますが、英語では何というでしょう? 直訳っぽくa bird's eye viewとも言いますが、a helicopter viewとも。どちらも空の上から見た概観という意味で共通していますね。
「鳥瞰的視点に立ったマネジメント」だとhelicopter management。
ちなみにhelicopter parentだと、「過保護な親」の意。イメージとしては、ヘリコプターみたいに上空から子供を監視して、何かあるとさっと急降下して対処しようとする感じでネガティブなニュアンスになります。

以上、今回は「~休暇」「~統合」「鳥瞰」の英語表現を取り上げました。お役に立てば幸いです。

helicopter parentと言えば、私も二人の息子がいるので、気持ちは分かります。今、長男は大学受験、次男は高校受験の真っ最中。やっと本気で勉強し始めたので胸をなでおろしています。イギリスの試験期間はダラダラと1カ月あまり、6月後半まで続きます。。。


第46回 マネジメント用語 その1

皆さん、こんにちは。5月も下旬に入りましたが、イギリスなどの欧米諸国ではこの時期は学年度の終わりで試験シーズンです。大学の学年末試験は5月中旬なので、教師は採点真っ最中の時期。1年間の授業を振り返り、教え子の成長に喜びを感じると共に自分の指導法の改善点を考える時期でもあります。コツコツと勉強はしても試験が苦手なタイプと、試験の緊張した雰囲気の中で妙に力が発揮できるタイプがあると思いますが、前者は翻訳向き、後者は通訳向きと言えるかもしれません。

今回はマネジメント用語をいくつか紹介します。

1.上意下達
こちらは佐藤祐大さんのコラムで読み方の誤りについて書かれていましたが、まず正しい読みは何でしょう? 「じょういげたつ」や「じょういげだつ」と言う人もいますが、正しくは「じょういかたつ」ですね。意味は「上の立場にある人の命令や意向を下に伝えること」。では、それを英語で言うと何でしょう?
日本語では四字熟語なので難しく感じますが、カタカナ語で「トップダウン」とも言われるように英語でもtop-down(意外に簡単ですね!)。このような経営方式をtop-down management styleと呼びます。

2.下意上達
逆に「下の者の気持ちや意見が上によく届くこと」を下意上達(かいじょうたつ)と言いますが、英語ではbottom-up。現場で働く人々が新しい方法などを決めて、上に承認を求めるようなやり方です。あなたの職場はtop-down、それともbottom-up、どちらの経営方式でしょうか? top-downもbottom-upも形容詞なので、a bottom-up approach to corporate decision-makingのように使われます。

3.ブレスト
まずは日本語の「ブレスト」って何? と思うかもしれません。これはbreast(胸)ではなくて「ブレインストーミング」の略。英語では動詞がbrainstorm、名詞がbrainstorming。あるテーマについてグループで話し合いますが、"There is no such thing as a stupid suggestion"という意識のもとに自由に意見を出し合って、創造的なアイデアを引き出そうとする方法です。

4.blue-sky thinking
ブレストでは既成概念にとらわれない斬新的な考え方を引き出すよう様々な工夫がなされますが、そのような斬新的・創造的な考え方をblue-sky thinkingと言います。"think outside the box"という表現もよく似た意味です。

5.燃え尽き症候群
熱心に仕事などに打ち込んでいた人が突然やる気を失って無気力状態になってしまうことですが、これは元々アメリカの精神分析者フロイデンバーガー氏が命名した病名が和訳されて日本で浸透しているので、英語ではそのままback translationでburn-out syndrome。経営者としては従業員が燃え尽きることがないよう気を配る必要がありますが、個人レベルでも燃え尽きてしまわないよう気を付けましょう。

以上、top-down, bottom-up, brainstorming, blue-sky thinking, burn-out syndromeなどのマネジメント用語を紹介しました。お役に立てば幸いです。

私自身、フリーランスで仕事をしているので「燃え尽き症候群」にかからないよう、またワークライフバランスも考えて仕事量や内容を調節していますが、それでも大きな案件を終えた後はある程度の「燃え尽き感」を感じます。翻訳も通訳も気力や体力が衰えては良いパフォーマンスを出せませんから、自分の内側から出るメッセージをしっかり受け止めて「ちょっと無理しているかな」と思ったら一休みするよう心がけています。

万が一、読者諸兄姉で今燃え尽きた状態にあるという人がいらっしゃれば、不死鳥のように灰の中から蘇る日が遠くないと願っています。いきなり羽ばたかなくても、よちよち歩きから再スタートができればいいですね!


第45回 テクノロジーの発達と近未来について考える

先週は、国際会議の通訳でヘルシンキに行っていました。ふだんはイギリスと同じく、雨が多くてそれほど気温も上がらないとのことですが、この1週間は素晴らしい天気に恵まれ、学びの多い充実した日々でした。シリコンバレーを含む、世界最先端の研究開発についてのスピーチや数々の著名企業のトップの話を直接聞ける機会があるというのも通訳という職業の魅力のひとつだなと実感しました。そこで今回は最近話題になるテクノロジーに関する用語を取り上げます。

・VR  Virtual Reality(仮想現実/人工現実感)。英語でも日本語でもVRという略語が使われます。VRのヘッドセットを付けるとゲームの世界に入り込んでプレイしたり、世界の名所を実際に訪れているような感覚で観光したりできます。近い将来遠くにいる人と同じ部屋で目の前にいるかのように一緒に遊べるようになるそうです。現在出ている商品は割と大きくて装着に違和感があるんじゃないかな、と思えるようなサイズですが、10年後にはふつうのメガネのようなサイズにまで小さくなるだろうと、フェースブックのザッカ―バーグCEOは予測しています。

・AR Augmented Reality(拡張現実)。VRとセットで出てくることが多いのですが、こちらは現実に存在するものにコンピューターがさらなる情報を加えているという違いがあります。「ターミネーター」や「アバター」などのSF映画や「ドラゴンボール」「電脳コイル」などのフィクションの世界で当たり前のように使われていた技術が現実化したとも言えます。これが進化すると、街を歩いているだけで、いつ誰に自分の情報をどこまで読み取られているか分からず、ちょっと不安になるかも。

・自動運転車 autonomous car。autonomousの代わりにdriverlessやself-drivingが使われたり、carの代わりにvehicleが使われたりする。人間が運転しなくても自動で走行する自動車。現在、公道での走行実験が先進国で行われている段階。今でも自動駐車や部分的な自動運転(自動ブレーキなど)は商用化されていますが、運転手が不要な自動運転車を商用化するには100%に限りなく近い信頼性が必要で、実用化までにはまだ何年かかかりそう。また法改正も必要。自動運転車が一般化すると、一昔前の電話オペレーターやエレベーターのオペレーターが姿を消したように、ドライバーがこの世から消える日が来るかも?!

・Uber(ウーバー)。日本では規制上普及していませんが、世界の400都市以上で展開されているライド・シェアサービス。タクシー会社から敵対視されているけれど、実際はこれまで自分で運転していた人がライドシェアをするようになったケースのほうがはるかに多いらしく、交通渋滞・大気汚染の緩和や交通事故の減少に貢献しているという。
車の所有者とのライドシェア以外に、Airbnb(下記参照)のように自分の車(資産)を使わない間人に貸し出すというサービスが一般化する日も近いかも?! その場合は、レンタカー業界との競合にもなるでしょうが、車の販売に与える影響のほうが大きいかもしれません。「車の所有より共有」という流れは止めることができないでしょう。

・Airbnb(エアビーアンドビー)。AirbnbのAirは「飛行機」で、「飛行機に乗った後、B&Bに泊まる」という意味だと思っているとすれば、私と同じく勘違いです! 創業者ケビア氏のTed talkで知りましたが、元々は空き部屋どころか単なる空きスペースにAirbed(空気で膨らませるマットレス)を置いて人を泊まらせたことからスタートしたビジネスだそうです。こちらはホテル業界から敵対視されていますが、既に190か国以上で展開されていて、ホテル供給の不足を補う役目も果たしているそうです。

・Sharing economy(共有経済)。代表例が前述のUberやAirbnbですが、crowdfunding(クラウドファンディング、不特定多数の人々がネット経由で行う資金提供。クラウドがcloudでないことに注意!)やcoworking space(コワーキング・スペース、単なるオフィスの共有だけでなく、各個人が独立して働きながらも情報交換なども行って相乗効果を生み出している)など、様々な分野で広がっています。通訳者・翻訳者もbookONEのようなアプリを通して予約されるようになる日が遠くないかもしれません。

以上、テクノロジーに関する用語を取り上げました。ご存知の内容も多かったと思いますが、少しでも学びがあれば幸いです。

あまり技術がどんどん発展していくと、なんだか怖い感じもしますが、技術の発展を止めることはできないので、そのことを認め、新しい技術を進んで学び、それが利用される社会に適応していくことが大切だと思います。自動運転車をオンデマンドで気軽に使い、ライドシェアも当たり前になる時代が来れば、社会のあり方もずいぶん変わるだろうなと想像を膨らませています。


第44回 類語をまとめて覚えよう! その5 「改善・回復」

皆さん、こんにちは。第40回より数字と合わせて使われる言葉をまとめて紹介しています。このシリーズの最終回は、「改善・回復」に関連したポジティブな言葉を集めたいと思います。企業業績に限らず、いったん悪い結果が出ても、その後の努力で良い結果が出せれば嬉しいですね。七転び八起きの精神で今日もがんばりましょう!

では、そんな風に希望を持たせてくれるような日本語は何があるでしょうか? いくつか挙げると......。

・持ち直す
・取り返す
・取り戻す
・立て直る
・挽回
・好転

などに加えて、相場が下落状態から一転して上昇に転ずることを「反発」。先週、書き忘れましたが逆に値上がりしていた相場が一転して下がり始めることを「反落」と言います。

では、英語はどんな表現が思い浮かびますか?

・improve:皆さんご存知の「改善する」という一般的な言葉。ビジネスでは目的語にefficiency(効率性)、productivity(生産性)、performance(業績)など色々な言葉が使われます。

・restore: 元の状態に戻す、回復させる。How to restore the Greek economy(ギリシャ経済復興の方法)

・reconstruct:立て直す、再建する。The government's aim was to reconstruct public finance without a tax hike or downsized government spending. (政府は、増税や政府支出の削減を行わずに財政再建することを目標としていた)

・perk up:「元気にさせる」というような意味ですが、経済やビジネスでは「(経済を)活性化させる」の意でも使われる。この記事のCoffee beans perk up Vietnam economyではコーヒーの覚醒作用と景気好転の両方にかけてperk upが使われています。「コーヒー豆のおかげでベトナム経済が目覚める」って感じでしょうか?!

・pick up (景気が)次第に回復する、好転する、(需要が)上向く。名詞はpickup(またはpick-up)。Pakistan economy will continue to pick up(パキスタンの経済は、回復基調が続くだろう)

・turn the corner:日本語の「峠を越す」と同じように「危機を脱する」の意。英語では「角を曲がる」というのが面白いですね。どちらも「先が見えない状態から、見えるようになった」という共通点がありますね。

・rally:(株価・相場が)反発・反騰する、持ち直す。名詞もrally。反対語の「反落」はreaction。

他にも、take off、gain ground、boost、strengthenなどがあります。気になる言葉はこの機会に調べてみてください。

以上、5回にわたり類語をまとめて紹介しました。お役に立てば幸いです。

イギリスでは、4月末は真冬のような寒さで泣きそうになりましたが、5月に入り急に暖かくなり嬉しいです。冬の後には遅くとも春が訪れるように、人生山あり谷あり。嫌なことがあっても、また良いことが必ずあるでしょう。落ち込むようなことがあれば是非今回の用語を思い出して、Things will pick up! と信じて乗り切ってください!


第43回 類語をまとめて覚えよう! その4 「悪化」

皆さん、こんにちは。第40回より類語をまとめて紹介しています。「上がる」「下がる」「横ばい」の後は何が出るのかを心待ちにしていた方! 大変お待たせいたしました(そんな方はいませんか?!)今回のトピックは、「悪化」。つまり、これまで良かった数字・業績が悪くなる、逐次メモでは「へ」のような矢印で表せますが、場合によっては右肩上がりではあっても、その角度が前より下がる方が適切かもしれません。

これまでに挙げた言葉と重複するものもありますが、コストのように数値によっては「下がる・減少」は朗報であるのに対し、今回の用語は否定的な意味合いで使われるという違いがあります。

では、そんな憂鬱になるような数値を説明する日本語の表現は何があるでしょうか?

・減速
・鈍化
・後退
・落ち込む
・弱まる
・減退
・失速

などが考えられます。

英語ではいかがでしょうか?
・slowdown: 売上・消費支出・経済成長・景気など、これまで良かった数値が悪くなる→「減速」「失速」の意の名詞。動詞は単にslow、またはスペースを入れてslow down。最近はslowdown in China(中国での景気の減速)が話題になることが多いですね。

・weaken: 「弱める・弱まる」という意味ですが、価格の下落や景気後退の文脈でも使われます。4月27日のニュースでは、UK GDP growth slows in first quarter as construction, services weakenという見出しを見かけました。「建設業、サービス業の弱体化により、イギリスの第1四半期の経済成長が鈍化した」ということですが、この記事にはfall, drop, expand, growth, referendum, Brexit, downwardなど、これまでに取り上げた用語が出ています。

他にも「状況の悪化」という意味でworsenやdeteriorateなどがありますが、先週のビジネスニュースで、これまでのおさらいができるような対照的な報道があったので、そちらを紹介します。

まずはフェースブック。同社は「第1四半期の利益が前年比3倍増」、ということで絶好調です。この記事では、triple, jump, rise, grow, up, increaseなど、上向きの言葉が続きます。
それに対し、2003年以来ずっと業績拡大を続けてきたアップルですが、今年に入り売上が13年ぶりに減少したというニュース。この記事では、fall, drop, slip, down, headwinds, decline, slowest ever increase, struggleなどマイナスの言葉が並んでいます。ぜひ本文を読んで文脈を掴んでみてください。

フェースブックとアップル。どちらも日常生活の一部になっている私としては両社共に末永く頑張ってほしいなと思います!



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プロフィール

グリーン裕美

グリーン裕美さん
結婚を機に1997年渡英して以来、フリーランス翻訳・通訳として活躍。ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。二児の母。ビジネス会議、国際会議、法廷、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)など様々な通 訳経験ある一方、翻訳では、実務翻訳以外に、ビジネスマネジメント論を説いた『ゴールは 偶然の産物ではない』を始め『GMの言い分』『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。 向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに喜びを感じる。 グローバル社会の発展に貢献するために自分ができることを日々僅かながらでも実行している(つもり)。
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