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Training Global Communicators

原不二子先生は通訳の先駆者として活躍される傍ら84年に通訳・翻訳会社、ディプロマットスクールを設立。併設スクールでは、21世紀、世界レベルで活躍できる人材育成を目指し「グローバル・コミュニケーション・スキルズ」という新クラスを開講し、後進の指導にも大変力を入れていらっしゃいます。著書に『通訳という仕事』『通訳ブースから見た世界』(ジャパンタイムズ)、英訳書に『尾崎咢堂自伝』(プリンストン大学出版会)、『笹川良一研究』(イーストブリッジ出版社)などがあります。

第41回 銀杏に学ぶ

 秋深い東京の景色は黄金の銀杏の葉で華やかです。側を通っていて思うのは、同じように見えてそれぞれ個性があること。大きさも同じくらいで、等しく陽が当たっているように見えるのに、葉が早く色づくもの、しぶしぶ色づいているとしか思えないもの、全くその気配がないものなど、DNAが異なるのか、それぞれに個性があるのでは、としか言いようがありません。
 銀杏に個性があるのなら、私たち通訳者も個性を押さえるのではなく、多いに発揮すべきだと思います。遺憾なく個性を発揮してこそ、その人らしいコミュニケーションができるのではないでしょうか。              

原 不二子


第40回 人類の恋人:ダライ・ラマ法王

 通訳という仕事をしていてとびっきり嬉しいことは、思いもかけないお仕事をいただくことです。
今回、来日中のダライ・ラマ法王14世とノーベル生理学・医学賞受賞者である利根川進博士による「癒やしに関する古代と現代の知恵 身体と心のバランス」という対話集会が開催され、達観したおふたりが、共に真理を探究する機会にふれることになりました。
『感情やこころの動きは単に神経細胞と関連した分子の働きによるものである』という科学的な思考と『こころのありかたは、己の行為の結果であり、また、こころのありかたが己の行為をも定める』との因果応報論。

 人類の幸せを願ってやまない法王のメッセージは、1人ひとりが平静心をもち、他人を思いやる気持ちを育めば、本人が健康になるばかりではなく世界は平和になる、という明快なものでした。  


原 不二子


第40回 今まで当然と思ってきたこと

 最近、今まで「あたりまえ」と思っていたことがそうではなくなってきたということを実感した出来事が2回ありました。
1つは、機内でコンピュータがなくなったことです。しかも、日系航空会社のビジネスクラスで、です。それをアメリカ人の友人に告げると素っ気なく、「コンピュータをいれたケースを荷物棚において寝るなど、とんでもない。自分は決して手から離さない。保険をかけてあるか?」ときつく諭されました。
 2つめは、その1週間後、成田空港でのこと。「チェックイン荷物に鍵をかけたままだが、壊されないか」と空港職員に尋ねたところ、「アメリカへ行くのではないから大丈夫です」という返事がかえってきたことです。
 今まで当然と思ってきたこと、人任せにしてきたことを反省する良い機会となりました。

原 不二子


第39回 近隣友好について

 9月10日、例年中国で行われる世界経済フォーラム(サマーダボス)での通訳業務の為、韓国仁川国際空港経由で中国の天津に入りました。乗り継ぎデスクを探して通路を歩いていると、来韓者を歓迎する日の丸と韓国の国旗が掲げられているのが目にとまりました。私の気持ちを代弁するかのように、 「ああ、良かった。歓迎してくれているよ。」と言う日本の若者の声が聞こえて来ました。
 天津空港に着いて、宿泊先ホテル行きのシャトルバスを待っていると、温家宝首相の姿がテレビに映しだされ,「釣魚島の件では,日本とは断固として妥協しない」と言うスーパーが目に止まりました。
 隣国との友好関係が損なわれると、仕事にせよ、遊びにせよ、安心して旅行することもできなくなるのではないか、と思いました。
長年、仕事などで旅している私にとってはじめて感じた危惧でした。                                                                原 不二子


第38回 被災地の高校生英語強化キャンプ

 北海道サロマ湖畔で8月19日から26日まで、東日本大震災被災地の高校生11人を対象にした英語強化キャンプを開催しました。私が通訳仲間の山田麻理さんと一緒に企画したもので、「難民を助ける会」の山田かおりさんによる関係者との交渉、地元の漁師さんによる協力など、実に多くの有志とともに成功裏に終えることが出来ました。
 シンガポールからは、同数の日本語研修生がボランティアで来日。札幌からはスコットランド人の英語の先生、名寄からは13歳を頭に8人の男の子と1歳半の女の子の大家族を引き連れた牧師さんでもあり、英語教師でもあるご夫婦が参加するなど、賑やかな異文化生活が送られました。
高校生たちは、子どもたちともすぐに友だちになり、英語で話したり、日本語を教えたりすることで交流を深め、現在の日本社会では珍しくなってしまった暖かい家族のあり方を身を以て体験しました。世界遺産である「知床」の自然峡を心ゆくまで満喫しながら、 自分を知り、未来を考える良い機会になったと思います。
この企画を更に充実させて来年も継続したいと思っております。    

原 不二子 



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プロフィール

原不二子

原 不二子さん
上智大学外国語学部国際関係史研究科博士課程修了。 祖父は「憲政の父」と呼ばれた尾崎行雄、母は「難民を助ける会」会長の相馬雪香。母の薫陶により幼い頃からバイリンガルで育ち、21歳の時MRAスイス大会で同時通訳デビュー。G7サミット、アフガニスタン復興会議、世界水フォーラムなど数多くの国際会議を担当。AIIC(国際会議通訳者協会)認定通訳者で、スイスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)、ILO総会の通訳を務め、最近では、名古屋における生物多様性(COP/MOP)会議、APEC女性リーダー会議、アジア太平洋諸国参謀総長会議、ユニバーサル・デザイン(IAUD)会議、野村生涯教育センター国際フォーラム等の通訳を務めている。