INTERPRETATION

Vol.9 「フリーになる決心」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
川田有希さん Yuki Kawata
幼少時代を海外にて過ごす。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、西オーストラリア大学経営学修士課程入学。修士課程修了後帰国、自動車、IT、小売企業の法務部に勤務。同時に通訳学校に学び、平成14年より外資系コンサルティング企業において、自動車関連の通訳翻訳者として勤務、現在に至る。

Q. 幼少時代は海外にいらっしゃったと伺いましたが。

生まれが海外なんですが、小さかったので全く覚えていません。小学校3年生からアメリカに3年、その後スイスに2年滞在した後、中学から大学卒業までを日本で過ごしました。海外生活が長かったので、英語に対する恐怖感はないものの、私の英語は小中学校レベルだなぁという思いがずっとありました。そこで一旦就職した後、2年間オーストラリアに留学したんです。

Q. 翻訳者・通訳者を目指そうと思ったのは?

会社では法務部に所属し、契約書の作成や交渉を主に担当しました。英語ができるからと、会議時に通訳を頼まれることがあったんです。どうせやるならちゃんと技術を身につけたいなと思い、通訳学校に通い始めました。学校では基礎から学んだのですが、私の英語力では全く通用しないなぁと痛感しました。とにかく地道に勉強していくしかないんだと気付いたのもこの頃です。

Q. 会社を辞める時は悩みましたか?

ものすごく悩みました。生活が不安定になることが一番心配でしたから。これまでずっと企業にいたので、これからどうやって収入を確保していくんだろうと。自分が語学を使って仕事をしていくだけの力が本当にあるのかという不安もあって、なかなか思い切れませんでした。最終的な決め手となったのは、「法務の仕事よりも、通訳の方が楽しい!」という自分の気持ちです。思い切って通訳に絞ってやってみようと思いました。前の仕事に戻ろうと思ったことはないので、後悔はしていません。ただ常に経験・スキル不足だと感じているので、まだまだ「楽しむ」余裕はありませんが(笑)。

Q. 現在のお仕事について教えて下さい。

週に3回ほど、現場での通訳を担当します。大きな会議から小さな打ち合わせと、内容も様々です。その他に、同じぐらいの割合で翻訳業務が発生します。土日に翻訳を頼まれることもあるので、スケジュール管理が大変なんですが。

Q. 以前も自動車メーカーで働いていらっしゃったそうですが、現在のお仕事と関連性はありますか?

今は自動車の中でも機械的な話が多いので、関連性は皆無に近いです。今の会社で初めて通訳をしたときは、専門的すぎて何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでした。大分慣れましたが、技術的な事ですので、聞いたことのない用語は毎回確認しています。

Q. 通訳・翻訳両方をやることについて。

通訳資料を翻訳するときは、自分が読みやすい文章を作るよう心がけています。トーンにも気を配り、舌に乗りやすい単語を使って翻訳します。翻訳は細かい文法にまで気を配らないといけませんし、通訳はとっさに単語が出てこないかもしれないという緊張感がありますが、両方好きです。

Q. 印象に残ったお仕事は?

海外からスタッフを呼んで、ワークショップが開かれることが度々あります。最初はお互いのことを知らないせいもあり、微妙な距離感があるんです。最後の方に皆さんが仲良く話している様子をみると、あぁ通訳としては少しは役に立てたのかなと嬉しくなります。

Q. 今後のキャリアプランは?

今は目の前のことをこなすので精一杯なんですが、ゆくゆくは自分の趣味や好きなことと重なるような仕事をしていければと思います。サッカーやモータースポーツが好きなので、スポーツ関連の通訳など。それから今は通訳・翻訳両方やっていますが、将来的には通訳一本でいきたいです!

<編集後記>
皆さんフリーとして独立するにあたって、悩んだり不安になったりされるようですが、川田さんのメッセージに励まされる方はたくさんいると思います。通訳が好き! という気持ちがあれば、後は一歩踏み出すのみ! なんですね。

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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