INTERPRETATION

卒業式パーティー

木内 裕也

Written from the mitten

 5月から6月にかけてはアメリカの高校の卒業式シーズンです。日本(関東)では3月20日前後と大体決まっていますが、アメリカでは少しそれよりばらつきがあって、5月中に卒業式を迎える学校も、6月中旬の学校もあります。大学も同様で、ミシガン州立大学のように5月の第1週に卒業式を行う学校もあれば、5月末の学校もあります。カリフォルニア州など西部ではそれほど習慣化されていないようですが、中西部では高校の卒業に合わせて、卒業パーティーを行うのが一般的です。数ヶ月前の投稿で、友人の従妹が女子アイスホッケーリーグの全国大会に出場したことを書きましたが、彼女が高校を卒業し(9月からは私の教えるミシガン州立大学に通います)そのパーティーが行われました。私も友人と一緒に招待されたので、Emilyの卒業パーティーに出席してきました。

 卒業パーティーは大体自宅の裏庭などでホームパーティー形式で行われます。友達をたくさん呼んで行う場合もあれば、家族だけで行う場合もあります。私が参加したパーティーは家族だけのもので、知った顔の人達が集まりました。ただ主役の両親はそれぞれに多くの兄弟がいるので、30名近い人が集まってのパーティーとなりました。私は前日に友人と自宅に向かい、色々と設営の手伝いをしました。4種類のサラダ、Pulled porkと呼ばれる豚肉の料理、各種デザートなど、1日がかりでの準備でした。

 当日は天気に恵まれ、正午過ぎに人々が集まりだし、午後5時くらいまで食事をしたり、プレゼントを渡したり、Emilyの昔の写真を見たりして楽しい1日を過ごしました。大体の人が家路についた後は、Emilyと彼女の両親、私の友人と両親と私の7人で片づけを行い、ゆっくりとリラックスしました。写真の中央でピンク色のTシャツを着ているのがEmilyです。卒業式の本番は2週間後です。

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 ある意味で日米比較をOver-generalizeし、アメリカの中でもこの様なパーティーを行える社会的、経済的環境にある家庭が一部であるのは十分に承知ですが、それでもこの様な場に呼ばれてみると、アメリカの家族の仲のよさに目を見張るものがあります。50%を超えるアメリカの離婚率は日本の社会との大きな違いでもあります。日本の離婚率が低いことは「日本のほうが夫婦の中がよい」ことの表れではありません。しかしアメリカの離婚率の高さがイメージとして先行しがちななかで、同時に日本の家族よりも仲のよいアメリカ人家族の現実もあります。Emilyは日本で言えば高校3年生の女子学生。ニュースなどを騒がす様子とすれば、父親を邪魔者扱いし、友達と一緒に時間を過ごしても家にはめったにいない様子です。そこまで出なくても、部活動で夏休みも家にいることはほとんどない、というのは私もそうでした。こうかんがえると、それぞれの社会において「家庭」の位置づけが大きく違うのかもしれません。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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