INTERPRETATION

英語表現

木内 裕也

Written from the mitten

 これまでにも英語表現を何度か紹介していますが、今週も日本の学校ではあまり学ばないであろう表現をいくつか紹介したいと思います。

Jump down the throat

 「文句を言う」「相手を怒鳴りつける」という意味です。非常にイライラしている様子が伝わってきます。頻繁に聞く表現と言うわけではありませんが、誰もが知っている表現と言えるでしょう。Jumping down his/her throatと、誰に対して大声を出しているか示すことができます。She has been jumping down my throat whenever I say something to her.が例文の1つです。

Shoot the messenger

 通常はDon’t shoot the messenger.と使われます。よくI have good news and bad news for you. Which one do you want to hear first?(いい知らせと悪い知らせがありますが、どちらから聞きたいですか?)などと言うことがありますが、悪い知らせは、別にそれを伝える人の責任ではありません。「あなたはテストが不合格でしたよ」と伝えられて、悲しい気持ちになっても、それはその知らせを教えてくれた人が悪いのではないですね。そんなときに、その人に当り散らしても仕方がありません。そんなときに、Don’t shoot the messenger.と言えます。Shootは鉄砲などで撃つ、という意味。昔の戦争を思い浮かべると、この表現が生まれた状況が分かるでしょう。

Facebook/MySpace suicide

 最近はSNSが非常に影響力を持っています。Googleの影響力が高まった当時から、ビジネス界では「Google検索で(個人や会社の)名前がトップに出てこなければ、それは存在していないのと同じことだ」と言われています。同じように、FacebookやMySpace、Linked Inなどのアカウントを持っていないと、それは世界に生まれていないのと同じことだ、とさえ言われています。これらのサイトでビジネスが行われ、友達をパーティーに誘い、噂話が広まりますから、そこに入れないことは、存在していないも同じ、ということでしょう。しかし何らかの理由でこれまで所有していたアカウントを停止することもあります。これがよくFacebook Suicideという風に呼ばれます。その世界から姿を消してしまうからです。

 また、Facebookなどで友達リストに追加したりすると、冗談半分でNow we’re officially friends!と言うことがあります。もちろん、昔からの仲であったりするのですが、Facebook上で友人として登録されていなければ、友人ではない、というある意味極端な解釈法に冗談めかして言及しているのです。Facebook上で“In a relationship”となっていなければ、ボーイフレンドやガールフレンドがいても、それは付き合っていることにならない、と私が教えている大学生が言っていたこともありました。

 昔から、If a tree falls in a forest and no one is around to hear it, does it make a sound?(誰もいない森の中で倒れた木は、音を立てるか?)という哲学的探求があります。それと同じように、最近ではIf a tree falls on Facebook, does it make a sound?という疑問さえ投げかけられているのです。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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