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Written from the mitten

木内裕也さんのアメリカレポート。2005年春-2006年夏まで、Hubbub from the Hubのニックネームで通翻訳者リレーブログを担当して頂きました。2009年5月にミシガン州立大学(MSU)博士課程を修了、博士号を取得された木内さんから見た、現地での生活やハプニング、大学のことなど、アメリカの今を発信します。 通訳・翻訳の話をまじえながら、幅広いテーマに沿ったレポート、毎週月曜日更新です!どうぞお楽しみに!

アパート探し2

 先週の投稿の通りアパート探しをしていましたが、無事に住む場所を決めました。今のアパートは7月24日までなので、新しいアパートは7月20日からです。重なる数日間の間に引越しを進めます。23日は友人の両親が仕事を休んでくれるとのこと。トラックを持っているのでそのトラックで本棚やベッドなど大きなものを移動させる予定です。

 これまでに何度か引越しをしました。時には大学の寮から一般のアパートへの引越しだったり、友人と一緒に住むアパートから1人で住むアパートへの引越しだったり、また家具付きのアパートから家具無しのアパートへの引越しだったりしました。今回は友人と一緒に住むタウンハウス(地下1階、地上2階)から1人で住む普通のアパートへの移動です。リビングルームにおいてあった家具の大半は友人のもの。またキッチンにあったフォークやナイフも彼のものです。TV、コーヒーメーカー程度は私のものですが、それ以外は新しく購入する必要があります。友人と購入リストを作ってみると、かなりの数になりました。

 しかし興味深かったのは、そのリストの中で、「これは私の両親が余分なものを地下にしまってあるから、それと使っていいよ」というものがたくさんあったことです。フォークやスプーン、ナイフ、お皿などは彼女の家の地下に10セット以上しまってありました。「これは私が子供のときに使ったもの」とか「これは親戚が引越しのときにいらなくなって貰った物」など、彼女の母親が説明してくれました。地下室をあさっていると、コーヒーカップのセットなど「こんなものがあったんだ」というようなものまで出てきました。

 これまでの引越しでも友人の家族が引越しを手伝ってくれて、そのたびに地下室にしまってあるものを貰ったり、貸してもらったりしました。地下は多くの家で収納スペースになっているので、日本の一般家庭よりも収納できる量が多いのも特徴でしょう。しかしこのようにしまっておいたものを機会があると家族だけではなく友人にも共有するのが、なにか気持ちの大きなところだと感じました。

 引越しの本番まで3週間を切りました。その間にミネソタ州に10日間、ウイスコンシン州に3日間行かなければなりません。また独立記念日の週末は友人とキャンプです。そう考えると、今のアパートにいるのも1週間弱。私のアパートの地下には余分なフォークやお皿が眠っていることはありませんが、14の本棚とそこにぎっしりと詰まった本があります。移動に向けてそれらを箱に入れるだけでも相当の時間を要することになるでしょう。まだ少し余裕があるとはいえ、それにも取り掛かる必要があります。


アパート探し

 今住んでいるアパートに引っ越して約2年半。特に不満なところもありませんが、引越しをすることになりました。このアパートを管理している会社との連絡ミスで、私が来年に向けてアパート契約の更新をする前に新しい住人と管理会社がサインしてしまったのです。引越しはやや面倒な感じもしましたが、2年半住んでいたところから移動するのもいいかなと思い、特に管理会社に文句も言わずに新しいアパートを探し始めました。

 今は2階建てのタウンハウス(地下つき)に友人と2人ですんでいますが、新しい場所は1人。しかし研究などで大量の本があり、自宅にあるだけでも本棚が14あります。それを補完するには1人暮らしでも寝室が2つあるアパートにしなければなりません。1つを寝室に、もう1つを書斎とします。また大学から離れてしまうと不便です。アパートは大学近郊にたくさんあるのですが、なかなか便利なところにあってベッドルームが2つのアパートを安くみつけるのは簡単ではありません。今のタウンハウスは1ヶ月に800ドル。1人400ドルです。「1ヶ月600ドルで見つかるといいなあ」と思っていたのですが、ある程度学校から近くてスペースのある2ベッドルームの相場は800ドル前後。妥協せざるを得ませんでした。

 全部で10箇所くらいのアパートを見て回った後、最終的に2つの候補を残しました。友人やその家族と一緒に両方のアパートを見て回り、Timberlake Apartmentsというアパートに住むことにしました。ミシガン州の冬は極寒です。その為、余程気をつけないと光熱費が月に200ドルを超えることがあります。暖房がガスなのか、それとも電気なのかも確認することが重要です。また私が選んだアパートには木を燃やす暖炉があります。上手に活用すれば冬の光熱費を抑えることができます。また1階より2階、2階より3階のほうが暖かいもの。私は2階建ての2階ですからその点も考慮の対象でした。

 アメリカのアパートではペットがOKの場所がたくさんあります。私が契約したアパートも15キロ程度の犬までは飼ってよい、という規則。学会やサッカーの審判で家を空けることもありますが、友人のために犬の面倒を見たりしているので、それらの友達に留守中の面倒を頼むこともできます。そこで「犬を飼おうかなあ」とも思っています。日本の自宅にはヨークシャテリアがいますが、そこまで小さな犬でなくてもいいかもしれません。ちなみにヨークシャテリアなど超小型犬はAnkle biterと呼ばれます。小さくてウロチョロし、すぐに怖がって人間の足首を噛む、というイメージからできあがった表現です。


家族の来米

 先日、約1年ぶりに母がアメリカを訪れました。母にとっては今回が4回目の渡米でしたが、今回は1人ではなくアメリカ初訪問の祖父を連れての旅行でした。私は月曜日から木曜日まで朝8時半〜9時50分の授業を教えなければならないので、平日はその授業を終えてからホテルに迎えに行き、それ以外の日は朝食から一緒に夜まで過ごしました。

 今回の旅行の一番のイベントはナイアガラの滝。シカゴに行くか、どこか他の場所に行くかなど色々考えましたが、祖父が「ナイアガラの滝に行きたい」と強く希望したので、1泊2日の小旅行をすることにしました。私の住むミシガン州からだと10時間近く自動車でかかります。10時間を越えるフライトの数日後に、今度は自動車で片道10時間の移動は80歳を越える祖父にはきついのではないか、ということで移動は飛行機。午前中にランシングを出発し、正午過ぎにはデトロイト経由で滝の近くにあるバッファロー空港に到着しました。ホテルにチェックインしてすぐにナイアガラの滝に向いました。

 ナイアガラの滝は2つの滝があります。The Niagara Fallsと複数形になっているのはそのためです。カナダ側は滝の周辺が観光地化しているので、カナダ側に渡ってアメリカ側を見るほうが景観がよいとされています。私も以前に3度訪れていますが、いつもカナダ側に渡っていました。しかし今回は書類手続きの関係でカナダ側には渡らず、アメリカ側にとどまりました。滝のすぐ近くまで迎えるボートツアーにも乗りました。当日はやや風が強かったので、水しぶきが滝の一部を隠すほどでしたが、非常に勇壮な景色を楽しむことができました。

 遠出はナイアガラの滝程度でしたが、ミシガン州内でドイツ系移民が多く移住し、未だにドイツ風の建物の残るFrankenmuthにも向いました。ここにはアメリカ最大級のクリスマスグッズショップがあります。Bronner’sという名前のこのお店は1年中クリスマス商品を売っています。もちろん11月末を過ぎると非常に混雑していますが、夏でも観光客を含め、多くのお客さんが集まります。またFrankenmuthの近くにはBirch Runという大きなアウトレットモールがあります。ここでは祖父が私の叔父にお土産のTシャツを買ったり、母がお土産でトレーナーを買ったりしていました。また地元のプロ野球チーム(メジャーリーグではありませんが)の試合も観戦に行きました。祖父にとっては久しぶりの野球観戦だったようです。

 祖父はアメリカの規模の大きさに驚いていました。例えば食事の量。注文した料理が来る前に、パンとサラダで満腹になってしまうこともありました。いくら走っても直線ばかりの高速道路。私の教えるミシガン州立大学はキャンパスを1周するのに自動車で10分以上かかります。

 約10日間の訪問はあっという間でしたが、今度は極寒の2月にミシガンを訪れるのもいい経験では?と母に話をしてみました。


Grilling

 日本でもゴールデンウィークや夏休みになると川辺でバーベキューを楽しむ人を多く見かけます。多くのアメリカの家庭には日本で見るよりも大きなグリルがあって、5月くらいからはバーベキューを楽しむ姿をよく見ます。週末に行楽地で楽しむだけではなく、昼食や夕食でバーベキューを楽しんでいます。私も先日、小さなものですがグリルを購入しました。これまでにバーベキューに行ったことはありますが、自分のグリルを持つのは初めて。友人に「グリルでも買おうかと思うんだ」と話をしたところ、「色々な料理ができて楽しいんじゃない」ということ。グリルには大きくGasタイプとCharcoalタイプがあります。私は2人〜3人用の小さなCharcoalグリルを買いました。15ドル程度なので金額としては値が張るものではありません。しかし色々手入れをしたり、わざわざ準備をしたりするのが面倒くさいのでは、と思ってこれまで買うことはありませんでした。しかし「1度凝り始めるとくせになるよ」という友人の話の通り、購入して約1ヶ月、雨の降らない日は昼食や夕食に必ず使っています。

 これまで鳥の手羽、ハンバーグ、ステーキ、鮭など基本的な料理を一通り試してみました。ガスのグリルと違って温度調整が難しく、時に手羽先の皮ばかりが焦げて、肉に日が通りきっていないことなどがありました。友人の父親がガスのグリルですが愛用していて、頻繁に使っているとのとこで、色々アドバイスももらいました。Direct heat、Indirect heatなど、肉の種類によって使い分けたり、キッチンに備え付けのオーブンよりかなり複雑です。火をつけて暖めるのに10分から15分掛かり、調理後の片付けに10分程度かかります。しかしやはり癖になるもの。絶妙の火加減が難しいだけに、一層はまるのかもしれません。

 先週の投稿で卒業パーティーのことを書きましたが、裏庭にあるガスグリルで少し料理をしました。写真にあるのはホットドッグなので、非常に簡単ですが(ただ暖めれば十分なので)、「表面にグリルの跡が少し残るくらいがいい」とか「表面が真っ黒になるくらいがいい」といったリクエストに答えるのは大変でした。
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 非常に面白いのは、自己流のソースに肉や魚を合せて料理をしたりすることの多いGrillingでは、各自の好みやこだわりがあること。私はただ肉や魚を日に掛けるだけですが、「AとBとCを混ぜて1日寝かせておくと美味しい」などと、非常に凝ったソースを作る人も多くいます。私の友人の父親も特別のソースを作ってバーベキューをするので、たまに残りをもらって食べると非常に美味しいです。その様なソース作りだけでも1時間くらいの会話で盛り上がるのが非常に興味深いです。かつてFace offという映画がありましたが、Grill-offという表現もあります。これはどちらのグリル料理が美味しいか、一緒に調理して競うイベントです。基本的にはどちらの人が勝つかより、友達通しで集まって自慢の腕を披露し、他の友達に料理を楽しんでもらうのが主たる目的です。


卒業式パーティー

 5月から6月にかけてはアメリカの高校の卒業式シーズンです。日本(関東)では3月20日前後と大体決まっていますが、アメリカでは少しそれよりばらつきがあって、5月中に卒業式を迎える学校も、6月中旬の学校もあります。大学も同様で、ミシガン州立大学のように5月の第1週に卒業式を行う学校もあれば、5月末の学校もあります。カリフォルニア州など西部ではそれほど習慣化されていないようですが、中西部では高校の卒業に合わせて、卒業パーティーを行うのが一般的です。数ヶ月前の投稿で、友人の従妹が女子アイスホッケーリーグの全国大会に出場したことを書きましたが、彼女が高校を卒業し(9月からは私の教えるミシガン州立大学に通います)そのパーティーが行われました。私も友人と一緒に招待されたので、Emilyの卒業パーティーに出席してきました。

 卒業パーティーは大体自宅の裏庭などでホームパーティー形式で行われます。友達をたくさん呼んで行う場合もあれば、家族だけで行う場合もあります。私が参加したパーティーは家族だけのもので、知った顔の人達が集まりました。ただ主役の両親はそれぞれに多くの兄弟がいるので、30名近い人が集まってのパーティーとなりました。私は前日に友人と自宅に向かい、色々と設営の手伝いをしました。4種類のサラダ、Pulled porkと呼ばれる豚肉の料理、各種デザートなど、1日がかりでの準備でした。

 当日は天気に恵まれ、正午過ぎに人々が集まりだし、午後5時くらいまで食事をしたり、プレゼントを渡したり、Emilyの昔の写真を見たりして楽しい1日を過ごしました。大体の人が家路についた後は、Emilyと彼女の両親、私の友人と両親と私の7人で片づけを行い、ゆっくりとリラックスしました。写真の中央でピンク色のTシャツを着ているのがEmilyです。卒業式の本番は2週間後です。
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 ある意味で日米比較をOver-generalizeし、アメリカの中でもこの様なパーティーを行える社会的、経済的環境にある家庭が一部であるのは十分に承知ですが、それでもこの様な場に呼ばれてみると、アメリカの家族の仲のよさに目を見張るものがあります。50%を超えるアメリカの離婚率は日本の社会との大きな違いでもあります。日本の離婚率が低いことは「日本のほうが夫婦の中がよい」ことの表れではありません。しかしアメリカの離婚率の高さがイメージとして先行しがちななかで、同時に日本の家族よりも仲のよいアメリカ人家族の現実もあります。Emilyは日本で言えば高校3年生の女子学生。ニュースなどを騒がす様子とすれば、父親を邪魔者扱いし、友達と一緒に時間を過ごしても家にはめったにいない様子です。そこまで出なくても、部活動で夏休みも家にいることはほとんどない、というのは私もそうでした。こうかんがえると、それぞれの社会において「家庭」の位置づけが大きく違うのかもしれません。



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プロフィール

木内裕也

木内 裕也さん
フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。