INTERPRETATION

片づけルール

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 前回はゴミ袋を4枚使った片づけ方法をご紹介しました。そこで今回はモノを増やさないためのルールを3つお話しましょう。

 ルールその1: 予備は買わない

 かつて私は「特売だから」「念のため必要だし」という理由で、常にストックを心がけていました。たとえば歯ブラシの予備、ノートなどの文房具、サランラップなどの家庭雑貨です。今使っているものだけでは、いざ新しいものが必要になった際、予備がなければ大いに慌ててしまうと思ったからです。そのため、予備の洗剤置き場を浴室にあえて作ったり、いつか使うための文具を戸棚の中にまとめてしまったりしていました。「これなら突然必要になっても安心」とホッとしていたのです。

 けれども予備を買っていたことを忘れて新たに買い足してしまい、置き場所に困るというケースが何度かありました。お買い得商品を買って喜び勇んで帰宅したものの、同じものが戸棚の中に入っていたなどというときは、「あーあ、またやっちゃった。同じものを買っちゃった」と激しく後悔したものです。

 そこで思い切って「買い置きは一切しない」と決めてみました。すると今まで「予備の置き場」だったところに空間ができたのです。今まで突っ張り棒で新たな棚をこしらえたり、空きティッシュ箱で収納ボックスを作ったりと努力していたのが、そもそも「モノの絶対数」が減ったお陰で、スペースが大いに生まれました。

 歯磨きにせよノートにせよ、「そろそろ新しいのが必要だな」「消耗してきたかな」と思った時点で買いそろえれば十分です。

  ルールその2: 使わないならもらわない

 たとえばホテルにおいてあるシャワーキャップや歯ブラシセット。宿泊代に含まれているので、ついもらおうかなと思ってしまいます。けれども本当にそのアイテム自体を使いたいと思っているのでしょうか?もしそうでなければ、思い切ってもらわないのも一案です。不意の来客用にどうしても歯ブラシをストックしておきたいならば、自分用の買い置きにもなるお気に入りのものを一本揃えておいた方が合理的です。

 販促用の企業ロゴ入りボールペンを本当に使いたいのか、それともお金を払ってでもお気に入りのボールペンを文具店で探したほうが自分の心にとってハッピーなのか。そうした判断力も必要です。

  ルール3: もらったらすぐに使う

 街頭で配られるポケットティッシュや、デパートで配布される化粧品サンプルなど、「いずれは使う」アイテムの場合、早めに使うようにしましょう。「小旅行用に化粧品サンプルは使えるかも」などと取っておいても、忘れてしまってはモノをため込むことになります。一方、もらって帰宅したらその日のうちに使い始めるというルールを決めておけば、サンプルばかりがたまってしまうという事態を防げるはずです。

 以上、ざっと3つのルールをご紹介しましたが、いかがでしたか?モノは自分で意識していないとどんどんたまってしまいます。モノがあふれて片づけや探しものに多大な時間を費やしてしまうと、結局は自分の時間をロスすることになってしまいます。ぜひモノの数を自分なりに決めて、それを守るという生活を続けてみてください。わが家はそのお陰で数年前と比べてずいぶん空間ができたように思います。

 (2010年6月21日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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