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通訳者のたまごたち

文明の利器から離れてみる

 わが家は毎年、鳥取旅行に出かけています。これは主人が鳥取生まれで親戚が今も暮らしているためです。私自身、結婚するまで山陰地方には一度も出かけたことがなかったのですが、豊かな自然、海や山の幸、子どもたちも楽しめる施設がたくさんあるなどといったことから、今では大いに気に入っています。私にとって「第二の故郷」ができたようで嬉しく思います。

 さて、今年の夏は色々と仕事が立て込んでいたこともあり、例年のような1週間ほどのステイは実現できなかったのですが、今回も2泊3日ながら大いに充実した日々を過ごすことができました。中でも私にとっての最大の発見は「文明の利器から離れて暮らしてみる」ということでした。

 具体的に説明すると、親戚宅の滞在だったため、PCへのアクセスは無し。ケータイはこのところすぐに電池切れを起こすこともあって、ほとんど頼りにならない状態だったのです。そこで出発前には、継続中の仕事先に休暇のお知らせだけはしておきました。

 その結果、2泊3日間、PCメールや携帯での連絡は一切できない状態だったのですが、全く不便を感じることがなかったのです。それどころか、日ごろいかにそうした電子機器に長時間関わっていたかを改めて感じました。現に今、この原稿を書いている間も、時々メールをチェックするぐらいですから、私たちの日常生活にどれだけメールやネットが浸透しているかがわかります。

 ウェブ環境から離れてみて思ったこと。それは「仕事のオンとオフの切り替えができたこと」と「ケータイがなくても何とかなる」ということでした。もはや仕事メールがチェックできないと割り切れると、休暇そのものに専念できます。また、出先でも別行動中の家族と待ち合わせるときなど、ケータイがなければないで「じゃ、○時に△△で待ち合わせね」とあらかじめ決めておけば済んだのです。

 もともと私たちの生活というのは、そうしたゆっくりとしたペースで進んでおり、約束事をあらかじめしておくことで、それを守るというルールがあったと思います。ケータイやPCは実に便利ですが、その便利さもややもすると私たちの生活を支配してしまいかねません。今回の旅行で、そうした文明の利器から「デトックス」できたのは、私にとって大きな収穫でした。


 

(2010年8月2日)


サービス業はむずかしい

 「時間がない。自分よりもプロに頼んだ方が結局は時間の節約になる」。そのような状況の時、私は迷わずプロのサービスを頼りにしています。たとえば私はアイロンがけや複雑な洗濯が苦手なので、季節の変わり目にはクリーニング店のお世話になりますし、エアコンフィルターの掃除も業者さんに来ていただいています。金額だけに目を向ければ確かに出費にはなります。けれども、自分で悪戦苦闘してイマイチの結果になるよりも、これは自分にとっての必要経費と割り切ることも、時には必要なのかなと思っています。

 そんなわけで今年も窓や浴槽の大掃除を業者さんに頼むことにしました。毎回頼んでいるお店は決まっているのですが、担当者の愛想が今一つであることがずっと気になっていました。それで今回は別の業者にお願いすることになったのです。

 電話での応対も見積もりで来宅した時の雰囲気も明るく好感が持てました。早速日時を決めて来ていただき、掃除の仕上げもとてもよいもので満足がいくものとなりました。

 けれども、これは個人個人の好みにもよるのでしょうが、私の場合、あまりにも追加サービスをその場でPRされるとどうしても引いてしまうのです。今回も掃除中に「ご一緒にトイレの換気扇もやりましょうか?」と言われ、掃除後もわが家のエアコンの中身をわざわざ開けて、「うーん、かなり汚れていますねえ。これだと病気になってしまいますよ」と警告される始末。こちらにしてみれば今回は「試運転」的に必要最低限の掃除をお願いしたわけですので、あまりにもあれこれ言われてしまうと、「もうここには頼まない」という気分になってしまいます。

 しかも今回の業者さんは、浴室においてあったわが家の水滴取りをうっかり持ち帰ってしまったのです。翌日になり、「あれ?水滴取りがない」と気付いて連絡したところ、担当者に連絡がとれたのは何と数時間後。「本日中にお持ちします」とのことだったので、「留守がちなので不在時はポストの中か玄関に引っかけておいて下さい」と私が伝えたところ、夕方には本当に「むきだし」で置いてありました。

 うーん、確かにすぐに戻してもらえたのはありがたいのですが、せめて気持ちとして袋に入れるとか、メモ書きでも良いので一筆添えるなどしてほしかったなあというのが本音です。

 サービスというのは奥が深く、むずかしいもの。まずはサービスや商品を積極的に宣伝する前に、「ミスをしないこと」「マナーを守ること」が大前提になると改めて思った出来事でした。

 

(2010年7月26日)


時間節約3つのノウハウ

 最近は通訳や翻訳を始め、どのような仕事も大半がメールでのやりとりです。担当者と一度も会わず、電話で声も聞かずに一つのプロジェクトが完了することもあります。たまたまこのコラムを見てテンナイン経由で私に連絡をくださり、ある刊行物の執筆を依頼されたこともありました。ネットやメールの利便性というのは、このように大きく私たちの仕事に貢献しています。

 しかし、ややもするとネットやメールの閲覧・処理だけであっという間に時間が過ぎてしまいます。私の場合、なるべく「メールは朝と夕方の2回のみ」と決めてはいるものの、やはり日中にも大切な連絡がメールで寄せられますので、実際には頻繁にチェックすることになります。ただ、チェックするついでにインターネットのニュースをのぞいたり、そこからリンクをたどって別のサイトへ行ったりという具合に、「寄り道」をしてしまうことも少なくありません。気がつけば、本来やるべき課題がどんどん後ろ倒しになることもあるのです。そこで今回は忙しいみなさんが実行できる時間節約について、3つのノウハウをお話しましょう。

 (1)プロに頼む
たとえばアイロンがけの場合、自分でかけるよりもクリーニング店に出す方が仕上がりでも時間面でも助かるというのであれば、迷わず出します。確かにお金はかかりますが、自分がやるよりも高品質の結果が約束されているのであれば、自分はそのお金で時間を買うことになるのです。もっとも、「アイロンがけが気分転換になる」というのならば、それも大事なリラックス法。私の場合、整理整頓の片づけは大好きなので自分でやりますが、エアコンのフィルター掃除などは業者に頼んでいます。

 (2)直感を信じる
本当に忙しいときは買い物時間も惜しく感じられます。そんなとき私は「直感で買う」ことを心がけています。たとえばスーパーで買い物リストを見ながら食材を買う際にはあれこれ比較せず、目に入ってきたものをかごに入れるのです。例としてひじきを買う場合、棚には「国産」「伊勢産」など数種類が並んでいます。そのようなときもいちいちパッケージを裏返したり価格を比べたりせず、最初に目が行った商品を選びます。
これはネットショップでの買い物も同じ。複数の商品を比較しているとそれだけで時間がたってしまいますので、急いでいるときは最初に直感で選んだものでよしとします。

 (3)中断してもよい仕事を複数同時進行で
これは忙しい朝に使えます。たとえばわが家の場合、朝食を食べ終えるのは大人が先で、子どもたちは後。そのようなときに大人のお皿から洗い始めると、子どもが食べ終えるのをやきもきしながら待つことになったり、洗い終えてからまた後に子どもたちのお皿だけ洗ったりと二度手間になってしまいます。よって、私は全員分のお皿がそろってから一気に洗うようにしています。一方、子どもたちが食べている間は洗面所が空いていますので、洗濯物を干します。朝食を食べ終わった子どもたちが洗面所にやって来たら、洗濯物干しは中断して台所へ戻り、お皿洗いです。要は「今、空いている部屋でできること」をやりながら、時間を有効に使うということです。

 いかがでしたか?特に上記の(3)は仕事の準備にも使えます。たとえば通訳業務の予習をする際、「まとまった時間ができてから」と思ってもなかなかそんな時間はやってきませんが、やるべきことを細分化して、空いている時間で少しずつ取り組んでみると、最終的には早く終えることができます。ぜひ参考になさってくださいね。

 

(2010年7月19日)


なるべく近くにそろえておく

 効率よく作業を進める上で大切なのは、「関連するアイテムをなるべく近くにそろえておく」ということです。たとえば台所用品の場合、ケーキ作りに必要な粉やケーキ型、ふるいやめん棒などは一か所にまとめて保管した方が、いざ作るときに作業しやすくなります。そこで今回は私が関連アイテムをどのようにそろえているか、ご紹介しましょう。

 1.すり鉢+すりこぎ+ゴマ

 普通ならばすり鉢とすりこぎは台所の棚に、ゴマは食品専用の引き出しにと分けて入れるところですが、私はあえてすり鉢の中にすりこぎと白ゴマ黒ゴマを一緒に入れています。いざ、すりごまを作りたいとなったらば、棚から一式を取り出せばすぐに作れるので良いのです。

 2.レモン+レモン絞り器

 こちらも今まではレモンが冷蔵庫の中、絞り器は引き出しの中と別々に収納していました。でも冷蔵庫の野菜室の中に一緒に入れるようにしたところ、レモン果汁を作るのが面倒ではなくなりました。

 3.緑茶+急須

 頂き物の新茶。いつか時間があるときに茶葉を急須に入れて飲もうと思いつつ、ついあとの洗い物が面倒で飲まずじまいになっていました。インスタントコーヒーやティーバッグの方が洗い物も少なくて楽だからです。そこで思い切って新茶をすべてお茶パックに入れ替えてみました。「茶葉が急須内で踊れるようにした方が、おいしいお茶が出るのだろうな」とは思うのですが、飲まずじまいで古くしてしまうよりは、新しいうちにせっせと飲んだ方がおいしさを味わえます。お茶パックに詰め替えただけで、わが家はお茶を飲む機会がグンと増えました。

 4.お箸+スプーンは分けずに収納

 以前は台所の引き出し内に仕切りを作り、お箸はここ、スプーンは隣、ナイフはこちらとアイテムごとに分けていました。でもよく考えてみると、食事時に使うものは毎回ほぼ同じ。わが家は4人家族ですが、毎食必ず使うお箸、スプーン(大)と小さじを人数分まとめて一つの仕切り内に入れるようにしてみました。食事の際は各仕切りからそれぞれを出すのではなく、一気に出せますので、大いに楽になりました。

 5.家の鍵+日よけ手袋

 かつては日よけ手袋をクローゼットの中に入れていたのですが、つい取り出すのを忘れてしまい、玄関で思い出して慌てて部屋に戻るということがありました。そこで家の鍵と手袋を一緒に置くようにしたところ、忘れ防止になっています。

 6.日記+ボールペン

 日記を書き始めたものの、なかなか続かないという方にお勧めなのが、専用のボールペンをノートの中に常に挟んでおくということ。私は5年連用の育児日記をつけているのですが、ボールペンをしおり代わりにして挟んでいます。これならノートを開くとすぐに書き始められるので便利です。

 7.子ども用アウトドアグッズは車の中に保管

 サッカーボールやバドミントンセット、ビニールシートや野球バットなど、アウトドアで使う道具はすべて車の中に収納しています。家の中にしまう場所がない、というのがホンネでもあるのですが、車のトランクにすべて保管してあるので、ドライブ先でも即アウトドアピクニックができます。

 8.ゴミ箱+ゴミ袋(大)+「ゴミの出し方マニュアル」

 最近はどこの自治体もゴミの分別が細かくなっています。どれが燃えるごみで何が資源ごみなのか、モノによっては分かりづらいですよね。そこで私は書斎のゴミ箱の底にゴミ袋(大)を入れておき、同じゴミ箱の中に自治体が配布した「ゴミの出し方マニュアル」を入れています。

 9.新聞ストッカー+ヒモ+ハサミ

 古新聞を保管する新聞ストッカー。わが家は書斎のクローゼットの中に入れているのですが、その脇にビニールひもとハサミも置いています。新聞がたまったら、このハサミとヒモで縛るだけ。いちいちハサミを探しに行かずに済むので効率的です。

 10.食材+レシピ

 たとえば乾物や缶詰など、賞味期限が長いからと収納したことをつい忘れてしまいますよね。そこでわが家では、乾物や缶詰を使ったレシピをダウンロード・印刷し、輪ゴムでくくりつけています。これで「乾物をどうやって調理しようか?」迷うことが少なくなりました。私はレシピに迷った際、その食材を製造しているメーカーのサイトをよく参考にしています。クックパッドなどのサイトももちろん便利ですが、「その特定の食材を中心に使ったレシピ」を探すのであれば、メーカーのサイトも大いに役立ちます。

 いかがでしたか?ポイントは「使うもの同士をなるべく近くに置くこと」です。「食材だから冷蔵庫」「キッチングッズだから棚の中」と限定するのではなく、柔軟に考えてみると、より使いやすくなるはずです。

 

(2010年7月12日)


代用手段を考える〜その2

 先週のこのコラムでは代用手段についてご紹介しました。今回はその続きです。おもにキッチン関連グッズを見てみましょう。

 1.ゼリー・プリン型

 たとえばゼリーやプリンを作る際、小さな専用カップを使うのではなく、大きい深皿で作るのはいかがでしょう?ステンレスのプリン専用カップはプリンやカップケーキ作りにしか使えませんが、いっそのこと大きいボウルで作ってみるのです。食べるときは小鉢にスプーンで取り分ければOKです。
 
 2.ステンレスボウル

 お菓子作りや混ぜ物に重宝するステンレスボウル。ところがステンレスの場合、電子レンジでは使えません。サラダを作ってそのまま食卓に出すのも何となく味気ないですよね。そこで私はガラス製のボウルを使っています。サラダなどを作った際にはそのまま食卓に出してもテーブルが華やかになりますし、電子レンジももちろんOK。強化ガラスのボウルであれば、ハンドミキサーも使えます。

 3.スポンジケーキ用の丸型

 こちらもステンレス製の丸型の代わりにガラス製を使っています。オーブン焼きのレシピでも使えますし、お皿としておかずを載せてもおいしそうに見えます。

 4.パウンドケーキ型

 スポンジケーキ型同様、ガラス製を使用。現在わが家ではハーブティーを取りそろえてガラス製パウンドケーキ型に入れて棚にディスプレイしています。ガラスなら中身が見えますので、中のものも取り出しやすくなります。

 5.保存容器

 「中身が見えること」「冷蔵庫で重ねられること」が大原則。今まではカラー保存容器を使っていたため、ひとたび中にモノを入れてしまうと何が入っているか外からは分かりませんでした。そこでガラス製の容器を無印良品とハリオのもので統一。同じ種類の大きさでそろえると冷蔵庫でも重ねて収納できます。ふたはプラスチック製ですが、ふたを取ればお皿代わりにもなります。

 一つのものを複数の目的で使うこと。これが私にとっての一大ルールですが、もうひとつ大切な点があります。それは「地球に還れるモノを使うこと」です。つまりプラスチックやステンレスよりもガラス、ガラスよりも木でできたもの、という具合に、処分の際できる限り地球に負担が少ないものを選ぶのです。自分なりにそうした基準があるだけでも、モノを選びやすくなります。

 

(2010年7月5日)



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。