HOME > 通訳 > 通訳者のたまごたちへ

通訳者のたまごたち

わが家の便利グッズベスト10

 通訳業や執筆、学校での指導のほか、子育てや家事などに携わる私にとって、毎日はあっという間に過ぎていきます。時間管理の本を読んで効率的になれるよう工夫したり、手帳に「やることリスト」を書きだしたりしていますが、一日の終わりですべての課題をこなせた日はほとんどありません。それでも何とか仕事や生活に支障が出ないような暮らしは続けられているので、完ぺきを求めずにゆったりと構えていくことが精神衛生上大事かなと感じています。

 今回のこのコラムでは、そんなわが家にとって欠かすことのできない「便利グッズベスト10」をご紹介しましょう。

1.タイマー
 これはこのコラムでも何度かお目見えしていますが、タイマーは料理だけでなく色々な場面で活用しています。たとえば「出発まであと10分ある」などというときは、タイマーを10分セットし、その時間だけ集中して勉強することも可能です。

2.ガス衣類乾燥機
 冬場や梅雨時など、洗濯物がなかなか乾かないときは特に重宝しています。わが家の場合、洗濯を夜にすることも多いため、ガス乾燥機を使えば50分ほどで完全に乾きます。縮むものは避けていますが、タオルや子どもの下着などはガンガン乾かしています。

3.布団乾燥機
 こちらもガス衣類乾燥機同様、よく稼働しています。共働き家庭ですとなかなかお日様の出ている時間帯にお布団を干すことができませんが、布団乾燥機があれば、いつでもフカフカにできます。

4.笛吹きケトル
 やかんいっぱいにお湯を沸かすのに必要な時間はおよそ7分。ただ、コンロでつきっきりになれないことも多いため、沸かしていることを忘れないためにも笛吹きケトルは便利です。私は通販で購入したのですが、ドイツの鉄道で使われている笛の音だそうで、気に入っています。

5.スポンジつき石鹸トレー
 こちらは無印良品で購入。日経新聞土曜版の便利グッズ紹介コーナーで掲載されていたものです。トレーの上にスポンジがあり、その上に石鹸を置くタイプなのですが、スポンジに少しくぼみが付いているため、石鹸がずり落ちません。スポンジに付着した石鹸は、そのまま洗剤代わりにして洗面台を洗えますので便利です。

6.オイルヒーター
 わが家で使っているのはイタリア・デロンギ製のもの。タイマーが付いており、毎晩寝る前にセットしておくと起床時には部屋がほんわり暖かくなっています。エアコンのように風がブンブン出ないので、乾燥防止に役立っています。

7.中華鍋と蛇腹式蒸し器
 中華鍋は炒め物だけでなく、スープなどの煮物や蒸し野菜なども作れるので、わが家では毎日活用中。少々重いのですが、腕の筋トレと思いながら使っています。蒸し野菜を作る際は蛇腹式の蒸し器が出番です。この蒸し器は鍋の大きさに合わせて蛇腹のサイズを変えられますので実に便利。蒸しケーキを作る時も中華鍋にこの蒸し器を置き、蒸しています。

8.BOSEのオーディオシステム
 クラシックが大好きなものの、なかなかコンサートに足を運ぶチャンスがないため、家ではよくクラシック音楽を聴いています。これまで格安のCDラジカセを使っていたのですが、なぜか最近の商品は耐久性が昔ほどないのか、数年おきに壊れる次第。そこで昨年末、「一年間頑張ったごほうびに!」と思い切ってBOSEのWave Music Systemというオーディオを買いました。サイズは普通のCDラジカセと変わらないものの、音質が格段に良いのです。以来、音楽を聴くことがますます楽しみになりました。ここ数年で「買って本当に良かった!」と思える商品です。

9.ホームベーカリー
 毎朝パン食のわが家にとって、自動パン焼き機は欠かせません。使い始めたころはなかなか分量を覚えられずにいたのですが、一日おきに使うようになるとレシピを見なくてもだいたいの分量で何とかできるようになりました。とりわけ助かっているのが、「余りがちなスパイスを投入できること」です。ナツメグやシナモン、クミンや中濃ソースなど、開封したもののなかなか使うチャンスがないものを混ぜて焼くと、オリジナル食パンが出来上がります。

10.歩数計
 2009年の元旦に私は一日一万歩を歩くことを目標に掲げ、歩数計を購入しました。最近は女性向けに可愛いタイプも販売されており、カバンに入れてもカウントされたり、消費カロリーが表示されたりと便利な機能が付いています。私は信号待ちの時などポケットから取り出して歩数を見るのですが、あとわずかで一万歩に達するような時は、思い切って一駅分歩くなどして歩数を稼いでいます。モチベーションアップに役立つアイテムです。余談ですが、放送通訳の現場では「万歩計」の代わりに「歩数計」と言います。万歩計は某メーカーの登録商標です。

 いかがでしたか?みなさんがお使いのもので、「これは便利!」というものがありましたら、ぜひテンナイン経由でお知らせくださいね!

 (2010年2月1日)


やっぱり使える!単語カード

 最近は一口に「英語学習」といっても、実に多種多様な手段があります。オーソドックスに学校へ通うのはもちろんのこと、ウェブの世界をのぞけばそれこそ無料で様々なサイトがあるのです。動画を使ったり、ボキャブラリーを増やしたりと、学習者のニーズに応じてあらゆるものが提供されています。かつてはNHKの語学テキストとFEN(現AFN)のラジオだけ、という時代もあったわけですから、隔世の感がします。

 ではここまで学習者にとって便利な世の中になったということは、英語を学ぶ人のレベルも高くなったのでしょうか?答えは残念ながら、そうとは言い切れないようです。たとえばよく引き合いに出されるTOEFLの点数を見てみると、2000年の統計では日本人の平均点は677点中501点。アジア21カ国では18位という順位です。また、高等学校の現場では、高校入学者の英語力が年々低下していると危惧する声も上がっています。さらに、英語を苦手と感じている中学生はおよそ6割との統計もあります。これだけ英語学習のハードルが下がったにも関わらず、それが実力に反映されていないのです。

 英語学習へのアプローチを見ていて思うのは、ダイエットに対する考え方と同じであるという点です。「何かもっと効果的な方法があるのではないか」「短時間で即効力のある秘訣が存在するはず」といった考えがいつまでも根強くあるため、ひたすらより良いノウハウを求めてしまうのです。「シャドーイングが効果的」と言われれば、書店にはシャドーイング関連の書籍が山積みされ、「やっぱり単語!」となると単語集のベストセラーが誕生します。これは「○○ダイエット」「△△エクササイズ」などのダイエット法が生まれては消えてゆくのと同じ現象でしょう。

 私は昨年春からフランス語を独学で進めています。すでに英語で生活の糧を得ているうえに新たな言語を学ぶというのは、なかなかやり甲斐のある行為ともいえます。限られた時間の中でどのようにフランス語学習時間を捻出するか、短時間でどうやって効果を上げるかなど、「費用対効果」ならぬ「消費時間対効果」を考えないと、あまりにも時間がもったいないのです。

 結局、1年近く続けてみてわかったこと。それは「即効性のある学習法というのは存在しない」という点でした。やはり毎日少しずつコツコツと学び続けるしかありません。単語や構文等も暗記しては忘れ、また暗記しては忘れる、の繰り返しをしながら定着をはかるしかないのです。忘れることや間違えることに憶病になってしまっては、先に進むことができません。「忘れるのも語学学習のうち」と前向きにとらえて、ひたすら継続あるのみなのです。

 ところでみなさんは単語や構文を覚える際、どのような方法をとっていますか?私はかつてA4の紙を縦半分に折り、左側に英語、右側に日本語を書いていました(図参照)。

93-tamago.jpg

 通訳業務の際はこのシートが単語リストとなり、一覧するうえでとても便利です。しかし、フランス語学習においてこのようなリストで暗記をしようとしたところ、訳語をめくるとどうしても下のほうに書かれた単語が目に入ってきてしまい、いわば「いやでも答えが見えてしまう」という状況になってしまったのです。

 そこで最近はオーソドックスな単語カードを愛用しています。単語カードなど、受験勉強以来すっかりごぶさたしていたのですが、いざ使ってみるとその効果が非常に高いことを実感しています。一枚一枚めくるので、別の問題の答えがあらかじめ見えてしまうこともありませんし、正答できたものは取り外し、不正解のものだけを集中的に学ぶことができます。かつては「単語カードなんて」と敬遠していた私ですが、何かを暗記するうえではとても効率的です。読者のみなさんも、よかったらぜひ試してみてください。

 (2010年1月25日)


学ぶ上での基本的姿勢とは

 昨年春から始めたフランス語学習。当初は「仏検5級突破」という目標を設定し、NHKのラジオ講座を軸に進めていきました。秋以降は独学方法を変更し、通信講座を受講しています。私が取り組んでいるのは「公文式」のフランス語講座です。

 そもそも公文式を考えた理由はいくつかあります。まず、現在の自分のスケジュールを見る限り、フランス語学校への通学は難しいことが一つ。個人的には、語学は定期的に学校に通い、学校をペースメーカーにすることがベストだと考えているのですが、通訳業務や子どもたちの学童・保育園のお迎えなどを考えると、なかなか自分に合った講座はなかったのです。本当は学びの場で先生の指導を仰ぎ、ほかの受講生から刺激を受けることができたらと思っていたのですが、「通学する」というオプションは難しいと感じていました。

 公文式にしたもう一つの理由。それは「長男を通わせる前に自分が学んでみる」というものでした。実はこちらの理由のほうがとても大きかったのです。というのも、現在小2の息子は、1年生の後半ごろから算数を敬遠していました。本人なりに努力はしていたものの、「なぜ機械的な計算をひたすらやるのかわからない」という、まさに「取り組む意義」を見いだせずに進級してしまったのです。昨年夏、1年生の問題集を復習してみたところ、なんと繰り上がり計算でつまずいていたことが判明。「9+4」のような、答えが10以上になるような問題ができなかったのでした。

 公文の評判は色々と聞いていたのですが、はたして息子の性格に合うかどうかわかりません。そこでまずは母親である私が公文のフランス語講座を受講してから息子に勧めようと思いました。フランス語講座は通学・通信両方ともありますので、通信学習を希望していた私にはぴったりでした。

 受講を始めたのは昨年10月末。取り組み始めてから数日にして、この講座の素晴らしさを私は実感することとなります。A5サイズの小ぶりなプリント教材は一日10枚取り組むようになっていますが、非常に細かいステップに分けられており、自分が少しずつ理解を深めて上達していることが目に見えてわかるのです。さらに、「毎日取り組むこと」「何度も書いて覚えること」「声に出すこと」「学習時間を記録すること」など、語学学習における基本中の基本が繰り返し提示されています。これなら息子にも合うと私は確信しました。

 こうして息子は近所の教室で算数と国語を、私はフランス語の通信学習をと親子そろって毎日教材に取り組んでいます。息子のほうはあれほど苦手だった算数も今ではスラスラと解けるようになり、大喜びです。親子で励まし合いながら学び続ける大切さはもちろんですが、それ以上に、「学ぶこと」の基本的姿勢、つまり「毎日続ける」「反復する」ことが結局は最も大事であることを私は感じています。

 (2010年1月18日)


2010年スタート!

 年末のあわただしい日々も終わり、いよいよ2010年がスタートしました。思い起こせば今から10年前の暮れのこと。当時働いていたロンドンのBBCでは「西暦2000年問題」が深刻に受け止められており、PCの誤作動に備えて様々な対策が取られていました。事前の備えがあったおかげか、年が明けてもパソコンは変調をきたすこともなく、そのまま業務を続けることができたのを今でも覚えています。

 そんな21世紀の幕開けからすでに10年。昨年の私は「ハーフマラソン出場」と「フランス語検定5級突破」が主な年間目標であり、何とかクリアすることができました。その背景にあるのが、「周囲への宣言」と「できないときは無理をせずに休む」の2点だったと考えています。とりわけ周りに宣言したことは、私にとって良い意味でのプレッシャーとなりました。かつての私は「目標を宣言してしまうと、ひっそりとリタイアできない」と憂慮し、あえて公言しなかったのです。けれどもその場合、かえって「周りに言っていないから途中でやめてもまあいいか」と甘えが出てしまいました。ですので、宣言してあえて自分を追い込むことのメリットを昨年感じた次第です。

 さて、今年の目標をどうするか。やはり極端に難しすぎず、かといってやさしすぎずでほどほどの項目を掲げることが大事だと考えています。そこで今年も昨年同様、「仕事」「勉強」「健康」の3本柱を念頭に目標を考えてみました。

1.仕事: これまで同様、放送通訳、指導、執筆を三本柱とする
2.勉強: 仕事に必要な英語は日々のトレーニングとわきまえる
       フランス語検定4級突破
3.健康: ハーフマラソンのタイムをアップさせる

 今のところ思い当たるのはざっとこんな感じです。大事なのは、自分そして家族の健康あっての勉強であり仕事ですので、そうした周囲の環境に感謝しながら一日一日を大切にしていくことだと思います。

 私の手帳には早くも「今日で4日目、残り361日」とすでに2011年へのカウントダウンが始まっています。今年も自らの健康に留意しながら、少しでも社会のお役に立てるような仕事をし、勉強や運動においては新たな可能性に挑戦したいと考えています。

 (2010年1月4日)


1年を振り返って

 年々月日のたつのが早く感じられる中、今年も残すところあとわずかとなりました。この1年間も様々な出会いと仕事に恵まれ、また、元気に過ごせたことに感謝しています。

 これまでの12ヶ月間を振り返ってみて言えるのは、仕事面の変化です。放送通訳業と講師業のウェイトは変わりませんが、執筆において時代の流れを感じています。それは今の世の中における出版情勢についてです。

 社会がどんどんインターネットやパソコンでの業務を主体とする中、昨今の出版業界は大いに低迷しています。街中にかつては見受けられた書店もどんどん少なくなり、大手出版社が倒産したり、歴史ある雑誌が休刊・廃刊に追い込まれたりしていきました。私自身が愛読していた大修館書店の月刊誌「言語」は休刊、子どもたちが購読していた学研の小学生向け学習雑誌も廃刊が決まっています。

 私はもともと紙媒体が好きで、自分が執筆したものを紙のメディアに掲載していただけると心からうれしくなります。もちろん、ウェブ上での情報提供が今の時代に欠かせないことはわかっているのですが、紙の持つ長所、とりわけ自分のペースで読み進められ、パラパラと紙面をめくれるというあの感触がたまらないのです。

 そのような中、ここ数年間いくつかの紙媒体で書く機会をいただいていたのですが、残念ながらこの出版業界の不況のあおりもあってか、年度末で連載が終わることとなりました。物事には始まりがあれば終わりがある。そのことは頭ではわかっているものの、やはりずっと続いていたものが休止することには寂しさを覚えます。

 とはいうものの、今後も引き続き、英語学習や通訳に関する話題、モチベーションや時間活用法などについて私なりに情報発信は続けていくつもりです。それと同時に、人々がネットだけでなく、紙媒体の持つ長所を再認識し、書籍や雑誌などの勢いが再び復活することを心から願う次第です。

 今年もこのコラムをお読みくださって本当にありがとうございました。来年も読者のみなさんにとって何かヒントを得られるような、そんな話題を提供したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします!

 (2009年12月28日)



《 前 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。