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やりなおし英語道場

Billy's Boot Campと通訳トレーニング

こんにちは。

先週は講師のつぶやきという題で書いてみましたが、今週ももう少しつぶやいてみたいと思います。

私のクラスには、毎期いろいろな生徒さんが入学されます。年齢もこれまでのバックグラウンドも経歴もバラバラですし、目標も違います。東京というマーケットの特徴でもあるのでしょうか、最近は通訳を目指さないと最初から公言される生徒さんも増えています。通訳訓練を英語力強化に利用する方が増えていることは素晴らしいことだと思います。書店ではシャドーイングの本も数多く並び、通訳訓練方法の有効性がクローズアップされています。これまで通訳訓練に全く縁がなかった方でも“シャドーイング”という言葉だけは知っているという方が増えてきたことは喜ばしい傾向だと思います。ただ、今大ブームになっている Billy’s Boot Camp に見られるように、これまでとちょっと目先の違うように見えるマーケティングに日本人は面白いように乗っかり、一ヶ月もすると“そういうのあったよね・・・”と手のひらを返したように、また次の流行に乗っかることがシャドーイングやそれ以外の通訳訓練方法には起こらないように、通訳訓練方法を紹介できる場を増やしていきたいと思っています。

ところで私事で恐縮ですが、中学の頃から高校までの6年間器械体操をしており、その後もウェイトトレーニングを続けてきました。実際にお会いしたことのある方ならおわかりになると思いますが、私服で会うと通訳には到底見えず、ほとんどの方がパーソナルトレーナーのような仕事をしていると思い、ダイエットやトレーニングの質問攻めにあうことがよくあります。通訳の生徒さんからもダイエットに効くプロテインを紹介して欲しいとか、二の腕や腹筋に効くエクササイズを教えて欲しいということも少なくありません。そういう質問に答えていく中で、ウェイトトレーニングと語学訓練は同じだなとよく感じます。

Billy’s Boot Campのように、派手なマーケティングで大流行しても結局体を変えていくというのは、短期間では無理ですし、本当に変えていくためには自分の体や生活習慣をしっかり分析して、改善点をどう克服するのかを考えて個別に対応していくというジミ〜な作業が必要です。「これさえやれば誰でも変われる!」なんてそんな都合のいいエクササイズは存在しません。その証拠にBilly’s Boot Campは日本では大流行しましたが、本国アメリカでは全く売れなかったそうです。恐るべしマーケティング!!といったところでしょうか。ダイエットにしても英語にしても、時間と努力が必要というのは皆理解しているので、これさえやればこれまでの問題は一気に解決!という広告が出たら、“まさかねぇ”と思いつつもやはりそれに乗ってみたいと思うのは人間の心理だと思います。ただどちらにしても最終的には地道な努力以外にはないと思います。

よく、何かコツのようなものがあって、それを習えると思って来られる方がいらっしゃいますが、やはり一番効果的な訓練方法はジミ〜な逐次訓練だと思います。なぜか通訳訓練ビギナーに人気のあるシャドーイングや、また今度紹介しますがリプロダクション・リテンションといった訓練方法も有効ではありますが、コアトレーニングにはならないと思います。

生徒さんの中には、何となくやった!感のあるこういったトレーニングにかなりの時間を割き、コアトレーニングである逐次の練習時間をほとんど取らないという方が本当に多くいらっしゃいます。通訳技術を習得するというのであれば、コアトレーニングを中心にして時間があれば補助トレーニングで弱点を強化していくというやり方が一番効率的だと思います。

ウェイトトレーニングでは、どの筋肉を使っているのかを常に意識しないと駄目なのですが、語学訓練も同じで今自分が何のためにこの練習をやっているのかを常に明確に理解して行う必要があります。この意識の持ち方一つで、効果に雲泥の差が出てきます。ただ何となく・・・というのはダイエットにしても語学の勉強にして厳禁です!

この夏、ダイエットと語学力アップの両方を成功させたいと思っている方は、流行りに乗っかる前にちょっと立ち止まって自己分析してみてはいかがでしょうか?

それではまた来週!


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プロフィール

上谷覚志

上谷覚志(かみたにかくじ)さん
1992年大阪大学経済学部卒業後、南イリノイ大学言語学部に留学し、特許事務所翻訳者・英語講師を経て、97年にオーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士課程入学。99年同大学院の修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律、商談、セミナー等幅広い分野で活躍するとともに大手通訳学校での講師も勤める。2006 年に英語力を生かして仕事で活躍できる人材を養成するAccent on Communicationを設立。後進の指導にも力を注いでいる。