INTERPRETATION

コーチングで変える!

上谷覚志

やりなおし!英語道場

以前、あるセミナーで、“コーチング”と“メンタリング“の違いやコーチングを使ってどのように目標を立て進んでいくかという話を聞きました。皆さんが目標を立てていく上で、参考になるのではと思い、今回”来年の目標を立てる“ということについて書いてみたいと思います。

まず今流行りの“コーチング”と “メンタリング“の違いですが、(ひょっとしたら人によって定義は変わるかもしれません)メンタリングはある業務または作業を行うやり方を教え”メンタリングを受ける方がその業務または作業ができるようにすることで、メンターはその分野の専門家である必要があります。

それに対し、コーチングはコーチングを受けている人自身が自分の課題や方向性を決定し、行動に移せるように、コーチがいろいろと質問をしながら、相手を導いていきます。ですから、コーチは必ずしもある分野の専門家である必要はなく、自分の意見や知見を押し付けることなく、相手が目標に近づけるような質問をし、気づきを与えるスキルがあればいいのです。

ただ研修者の様子を見ていると、コーチングだったはずが、知らないうちに“〜した方がいいんじゃない”とか“〜は無理だよね”というような自分の意見を相手に伝えて、誘導していくメンタリングになってしまうケースが多く、コーチングの難しさがよくわかりました。親子、上司と部下、カップルにせよ、相手に対して、〜して欲しいという自分の要求や希望がある場合、それを捨てて、客観的に質問をしていくことは思いのほか難しいことです。この研修の中で、トレーナーが “今から一年後、皆さんが自分の立てた目標以上の成果をあげ、その成功を皆で祝うために祝賀会をしています。さて皆さんは今どういう気分で、どんな成功を収めたのでしょうか?その時の気持ちと成果を書き出してください。”という質問が参加者に行われました。最初数分目を閉じて、一年後の成功の様子を各自がイメージします。目を閉じている人たちの表情が次第ににこやかな表情になってくるから不思議です。通常来年の目標を決める場合、“今年〜だった”から“来年は・・・”というパターンが多いと思いますが、このやり方では、一年後の自分になってみて、擬似的な成功体験をし、目標を達成した時の気持ちを先取りします。その時にイメージする成功は通常自分で設定する目標よりも大きな目標を設定することになるそうです。

こうして設定した大きな目標を書き出し、ペアになり、お互いにコーチングをしながら、この目標を達成していくために、どういう問題点があり、自分にはどういう選択肢があり、ある行動をとった場合の想定される結果やリスクは何かを質問に答える形で自ら表明していきます。

一年後の自分のなりたい姿(目標)へのロードマップを作っていく時に、一足飛びで目標まで行けるわけではありませんので、いわゆるマイルストーンをロードマップの中に入れていきます。そのマイルストーンもコーチングを通して、どういうマイルストーンを、どこに置いていくのかを決めていきます。

この方法の場合、コーチングというスキルが必要になってきますので、お互いにコーチングのやり方を学ばないとできませんが、第三者からの質問に答えていくことで、自分の中で曖昧になっている部分が明確になり、一人では思いつかなかったような、方向性や方法が自分の口から出てくることもあるそうです。

今年の元旦早々に目標を立て、マイルストーンも決めることなく、年末を迎え、(人によっては新年の目標すら覚えていないケースもあるかもしれませんが・・・)、今年もやり残したことばかりだったなぁと感じている方も多いのではないでしょうか。2010年こそは自分でコントロールできる充実の年にしたいものですね。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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