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やりなおし英語道場

大人の学習法

 2010年が始まり、新年の挨拶をしていたのがつい最近のような気がします。新年早々から会う方に“最近更新してないですよね・・・”と軽く突っ込まれ、早く書かないとと思っていたらもう一月も終わりですね。本当に早いです。

 今年は去年以上に教えることに力を入れていきたいと思っていますが、初仕事は社会人に英語の勉強方法を講義するという講座で、昨今の不況からか、通常より男性しかも年齢の高めの方の受講者が多いというのが特徴でした。英語の勉強が久しぶりという方がほとんどで、勉強方法の話をする前に、まず参加者がどういう勉強方法をこれまで試し、どういう方法が理想的と考えているかというテーマで少しグループディスカッションをしてもらいました。

 この質問をするたびに、メディアの影響の強さを痛感します。テレビ、雑誌、広告といったメディアのキャッチーなメッセージが繰り返し流されるので、何回も聞いていると“そうなんだ!”と信じてしまう方が多いことに改めて驚きます。

 このテーマでディスカッションをすると、必ず出てくるのが、“アメリカ人の子供(なぜかアメリカ人と生徒は言います)は読み書きができるようになる前に、リスニングから入り、次第にいろいろなことを話せるようになるから、その順番で言葉を覚える”という学習方法です。

 このような学習法が機能するためには、いくつかの条件があります。まず、子供が持っている聞こえた音を正確にコピーできる能力そして両親や周りの人間が絶えず話しかけてくれる環境です。残念ながら、我々大人にはそういうコピー能力も通常はありませんし、普段の生活の中で常に英語を話しかけられる環境にいるわけでもありません。

 冷静に考えれば、子供のやり方を大人が真似てもうまくいかないことは明らかです。ただ聞くだけでいいという心地よいキャッチフレーズや“子供のように自然に学ぶ”という何となく説得力のある説明を聞くと、飛びつきたくなる気持ちはよくわかります。

 私も20年ほど前に“英語のシャワーを浴びれば、英語ができるようになる”というキャッチフレーズに惹かれて、教材を買ったことがあります。この教材は多くの方が知っている教材で、教材自体が悪いわけではありませんでしたが、結果的には最後まで続けることができませんでした。これ以外にもいろいろと教材を試して、成果があったという教材はありませんでした。

 どの教材またはテキストがいいですか?とよく聞かれますが、結局は“何“ではなく、”どうやるのか“だということがようやくわかってきたように思います。ビジネス的に考えると、目新しさや簡易性を強調したいがために、“〜だけでいい”とか“科学的に証明された〜”といったこれまでとは違うことを売りにしようとするのは理解できますが、行き着くところは、どのレベルでも使える万能学習方法は語学にはなくて、自分の今の課題をチェックし、それに対してどうしたらいいかを自分なりに考えて、試してみるしかない、つまり語学に王道なしということだと思います。

 こんな風に書いてしまうと夢も希望もなくなってしまうので、語学というのは完璧になることが目標ではなく、毎日少しずつ成長していく自分のスキルを見て、こんなこともできるようになった!というプロセスを楽しむことが大事で、目的地に到達するまでの道のりは最短にすることに捕らわれすぎず、大人が学ぶ場合には、その道中を楽しむ余裕を持てたらと思いますが、皆さんはどうお考えでしょうか?


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プロフィール

上谷覚志

上谷覚志(かみたにかくじ)さん
1992年大阪大学経済学部卒業後、南イリノイ大学言語学部に留学し、特許事務所翻訳者・英語講師を経て、97年にオーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士課程入学。99年同大学院の修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律、商談、セミナー等幅広い分野で活躍するとともに大手通訳学校での講師も勤める。2006 年に英語力を生かして仕事で活躍できる人材を養成するAccent on Communicationを設立。後進の指導にも力を注いでいる。