HOME > LIFE > Music & Words > 18. I BELIEVE IN YOU AND ME (WHITNEY HOUSTON)

≪解説≫
彼女を取り上げるのは、このコーナーをスタートさせた当初から、決めていました。しかしこのような形で、ご紹介することになるとは、思いもしませんでした。
初めて彼女を見たのは、80年代半ばの、デビューまもない頃。来日記者会見での席上でした。颯爽とした姿と柔らかな声。カモシカのような、そのしなやかな身のこなしとスタイルに、会場へ入って来た瞬間、思わず息を呑んだほど。女性シンガーには、魅力的な人が多いのですが、その美しさは群を抜いていました。
コンサートも堂に入ったもの。シンガーとしての、長く輝かしいキャリアを予感させるような内容でした。
また1991年の、スーパーボールでのアメリカ国歌斉唱は、"史上最高"として語り継がれており、後にシングル・カットされ、全米チャート入りを果たし、9.11の直後にも、繰り返し流されました。
さて今回、どの曲が良いか。名作&ヒット作が多いので、とても迷いました。
真っ先に思い浮かぶのは、やはり映画『ボディガード』の主題歌「I Will Always Love You」。"ずっと愛し続けます"というそのサビからか、日本では結婚式の定番曲にもなっています。しかし実はこれ、"あなたの邪魔になるから、別れることにするけれど、あなたを一生想い続けます"という哀しい別れのうた。
こういう時だからこそ、心温まるような詩を読みたい。そんな思いで選んだのが、このバラード・ナンバー。映画『The Preacher′s Wife(天使の贈り物)』(1996年)の主題歌として、雪降るクリスマスの場面に、彩りを添えています。なおホイットニーは、天使と恋に落ちる、牧師の妻の役を好演しています。
葬儀は現地時間の2月18日、若い頃に聖歌隊の一員として歌っていた、地元ニュージャージー州の教会で、取り行なわれました。その模様は世界中のファンの為にと、インターネットで生中継され、前述の映画『ボディガード』で共演し、その後も親しくしていたという、俳優のケビン・コスナーが、こころ沁みる弔辞を述べ、彼女を見送りました。
ここ数年は、私生活で辛いこともあり、音楽活動もままならない状態でしたが、この夏には新作映画『スパークル』の公開が控えていたり、ニュー・アルバムに取り組むのではといった、明るいニュースもちらほら聞こえていた、そんな矢先のこと。それだけに、とても残念でなりません。
残念でなりませんが、しかし彼女からの歌の贈りもの、その天使の歌声は、我々と共に永遠です。
永田由美子さん
幼少より小学校3年時までをカナダ、中学3年より3年間をペルーにて過ごす。大学在籍時より通訳翻訳の仕事を開始。卒業後は音楽雑誌社にてインタビュー及び編集を担当。8年後、フリーランスに。現在は音楽業界を中心に、インタビュー、通訳、歌詞対訳、字幕翻訳等を手がけている。