HOME > LIFE > 武藤順子の「一生青春」

武藤順子の「一生青春」

こっくりさんって脳科学?

中学校だったか小学校だったか
こっくりさんって流行ったでしょ?
え 知らない?
紙にあいうえお、と数字、と鳥居、とかを書いて
十円玉を置いて
何人かの指をその十円玉の上にそっとのせる

それでさ、質問をするわけ
「○○先生は好きな人がいますか?」とか
すると、本当に不思議なんだけど
すーーーーっと十円玉がうごいて
は・い
な~んて答えてくれる

当時は面白かったけど
どこか後ろめたくてドキドキしながら
放課後こっそりやったりしたな~

あの十円玉のスムーズな動きは
今でも忘れられません!

子供心に
「これはキツネの仕業なんかじゃないぞ」
って思ってました、
「きっとみんなの心が動かしているはず」
ってね。

先日、ある神経科学の先生のお話をうかがう機会があって
「やっぱ、そうだ!」
って思った。

つまり、人は潜在過程では、案外他者とつながっていて
基本的に協調的な生き物なんだって。

ある実験で
ガラス越しに女性二人が指をETみたいにつけている
そうすると、なんのコミュニケーションもとらないのに
お互いの脳の一部がシンクロする

その後、二人で一つの作業をする
そうすると、その二人の脳がさらにシンクロする!

これは、生まれた赤ちゃんとお母さんも同じ
数時間すると、シンクロが始まるらしい

こっくりさんも同じなんだな~
一緒にやらない?って行った時からすでにシンクロし始めて
十円玉に指を合わせ、さらにシンクロ
そりゃ何かしらの文字に行きつくわけだ!

人って、もともと助け合って生きるために
人に気持ちを沿うことができる

平凡な人の集団なのに
ものすごいことができちゃった
ってことないですか?

ホタルがばらばらに光っていたのに
急にあたり一面シンクロする時みたいに
みんなの気持ちが一つになって
すごい力になるってこと。

社会のシンクロが善なる方向に開花しますように


定食の決め手はおかず

お久しぶりでーす。
いきなりですが、定食屋でメニューを決めるときに
何で決める?

豚肉の生姜焼きもいい
ダイエットしたいから、サバの味噌煮?
カニクリームコロッケなんて家で絶対に作らないから魅力

でしょでしょ。
もちろん決め手はおかず

新春からひそかにダイエットスタートしてる人多いけど
どんな運動をすればいいのか?って
その答えを、定食屋さん理論でご説明します!

ちょっとみてもらいたいのは
1日、何でエネルギーを使ってるかの表

基礎代謝 60%
食事 10%
運動 3%
運動以外の動き 27%

まあ、基礎代謝は高いほどいいけど
筋肉なんてそう簡単にはつかないもんね
食事しながらエネルギー使うって不思議だけど
これもいつも変わらない

そして、運動
えっ うそ たった 3%ぽっち?

あれこれ悩んでがんばる運動の影響って
実はこれっぽっち

そして、驚いちゃうのが
運動以外の動き 27%
すごく高くない?
つまり、階段の上り下り、お買い物、ふろ掃除、ご飯作りなどなど

そーんなつまんない、いえ 毎日の些細な営みが
スリムとファットの決め手
信じられないっしょ

これ、NEATって言います。
non-energetic activity thermogenesis
運動以外の身体活動

ふとっちょさんを見てると
あ~んまり機敏に動いてない人多いよ
痩せてる人は
不必要に階段の上り下りが速かったりして 笑

アメリカの論文に書いてあったけど
普段よりも1000kcalも多い食事を取らせたら
みんな太っちゃったのね(あたりまえ~)

でも、ほとんど太らなかった人がいて
その人はNEATが高かったらしいのよ
つまり、NEATが一番影響力 マックス

NEATが定食屋さんで言う"おかず"なわけね
お店に入って、おかずで選ばないで
「いまいち好みじゃなかった~」なんて言う人いないでしょ?

なのに、私たちは、ご飯やみそ汁に注目して
痩せない、ダイエット失敗
とか言ってるって感じ

やっぱ エスカレータより階段だね!


脳の劇場

剣玉したことありますよね?
先日実家に帰ったらお茶の間に剣玉が!

「チョー懐かしい」

何年振りかにやったけど、実は私剣玉大好きだったから
案外うまかったりして
そしたら母が

「やっぱり順子は膝曲げてるわ」

あったりまえじゃん
剣玉もあたしの手も膝も
全てが一体となってうごくわけ
な~んて得意顔

でも、これって
じつは脳が剣玉までを「自分」とみなしてるんだって

頭の中で「剣玉成功モデル」を作って
微調整しながらうま~いことやってるらしい

もっと右っす
えっと左に寄りすぎっす
もっとソフトに動いてください なんて

そんでもって、脳の剣玉劇場が成功した時に
たぶん本当にうまくいくんでしょう

運動全般 この脳の劇場がたえず公演されてます
野球もスキーもテニスも

でも、じつは運動以外でも脳の劇場はあるんです

たとえば苦手な先輩のいる会議

「いっつもあの先輩、私の意見を見下してくるのよね
 なんか、やりにくい!」

そんな思いを持って会議室に行くと
やっぱり例の先輩が
「武藤さんの意見は、今ここで話し合うべきことでしょうか?」

もう ほんとにキライ あの先輩

なんてことになるってわけで
これは、剣玉と同じで
脳の劇場ですでにいやな先輩に見下されるモデルを作ってるんです

面白いですよね
内部モデルを外界に再現してるんだから

そう言う時には
苦手な先輩のいる会議の前に
先に脳の劇場でいい劇を公演してしまうのが得策

先輩にほめられるモデルを考えちゃうとか!

いい劇を脳の中でバンバン上演して
それをガンガン実現していくぞー


縞飼育猫

鈴木さん(仮名)は日本で研究に行き詰まり
逃げるようにアメリカに行き
そこで素晴らしい先生マイケルに出会い
人類に貢献する薬の開発に成功し億万長者になった
な~んて話 あるじゃない

研究でもビジネスでも恋愛でも
環境を変えると気分も変わり運命も変わる
一体その背景には何があるのか!
そんなことを考えていたら
めちゃくちゃいい本に出会いました。

<意識>とは何だろうか  脳の来歴、知覚の錯誤  下條信輔
まじで難しかったけど

その中に、縞(しま)飼育猫 という実験が出てきます。

子どもを育てるときに、遺伝や環境の影響を考えることがあるでしょ
どっちが影響大きいの?なんて
人間に100%なんてないから正解なんてないんだけど

ブレイクモアさんとクーパーさんが
その疑問に答える1つの実験を行いました。

生まれたばかりの子猫ちゃんを1ヶ月間
縦しまの模様しかない入れ物の中で育てました。不思議でしょ 笑
ネコちゃんは来る日も来る日も縦しましか見ないのね。
もちろん、首には大きな襟を付けて
自分の身体も見れなくしちゃう。

それから普通の世界にだしてみると
あ~ら不思議

子猫ちゃんは足元にある横長の積み木に気づかず
なんと つまずいてしまうのです!
もちろん、縦長の障害物はするりと抜けます。
横長のものは見えていないの??

脳細胞も同様に
縦長に反応するニューロンが多くなっていました。

逆に、横縞猫は縦の障害物をうまくよけることができないわけ

ここから何が言えるのか(私の理解)

1つは、赤ちゃんの頃はいろんなものを見せて
体験させてあげると
大人になって色んなものを認識しやすくなるってこと

2つ目は
現在は過去の反映だということ。
色んなものを見て育った子猫ちゃんも
縦しましか見たことのない子猫ちゃんも
新しい刺激に対しては
自分の過去をベースに理解をしていくしかない
あなたはどんな過去を持っていますか?
今日の行動も、明日になればあなたの過去になる

3つ目は
たとえば一緒に仕事をしている仲間で
同じ空間にいても
それぞれの過去、脳の来歴が違うと
理解が全く異なることもある
縦しま猫と横しま猫みたいにね。
隣人が理解できないのはある意味あたりまえかも

認知行動科学というこの学問
今私が一番興味ある分野です。

脳と体と環境は密接に関係している。
環境を変えるって、脳をダイレクトに刺激することなんですね!


薬物依存の引き出し

こんなに原稿をさぼっていたとは
気が付きませんでした・・・

学位論文を11月に申請するので
毎日英語の論文ばかり読んでいて、本当に嫌気がさしますが
中には面白いものもありまして・・・

たとえば、・・・ジョギングを始めると、カラダの中で
「おい、ご主人さまが運動始めたぞ!」
「ガッテン」
って、あちこちから声が上がります。

「心臓さんよ、もっと血液送ってくんねえと酸素が足らんぞ」
「筋肉も、収縮しっかりろよ」
「ミトコンドリアが少ないっすね」
「いまさら言われてもよ」

こうやってジョギングという新しい環境になれるように
カラダの各パートは必至に対応する。
そして、運動によって脳の栄養物質がつくられます。

「DNAさん、なにか脳が喜ぶ栄養を作るように呼びかけてくれないかな」
「まかしときっ!」

DNAは脳が喜ぶ栄養を作るレシピを引き出しの奥から出してきます。
その引き出しは、普通はしっかりと鍵がかかっていたり
戸棚の前に関係ないものが置いてあって
なっかなか開かない。

ジョギングをしたことで
なんとこの戸棚の鍵が見つかって
栄養のレシピが出てきました。

引き出しをよーく見ると
なんと、意外なレシピも一緒に入っているではありませんか!

「薬物中毒になりにくくなるレシピ」

DNAさんは脳が喜ぶ栄養のレシピといっしょに
薬物中毒になりにくくなるレシピもみんなに教えてくれました。

レシピって思いもかけないものが
同じ引き出しに入っていたり
お隣の引き出しにあったりして
DNAの引き出しって本当に魔法の宝です。

でも、逆に病気になるレシピとか
悪魔的なものもはいっているから
そういう引き出しを開けないよう
みんなで声掛けしながらうまくやっていかないとね

ってな感じで
論文紹介でした。

論文もこんな風に楽しく書いてくれたらいいのにな~
ちなみに論文には

「運動はクロマチンのエピジェネティックな制御を介して遺伝子発現を確実に変化させる。このクロマチンにはBDNF発現領域があり、これは中毒への脆弱性に関連するエクソン領域と同じ場所にある。」

みたいな。
ね、読む気しなくなるでしょ?
でも、博士号の論文書くときは
英語の論文漬けが常識
がんばりますわ

みなさんも、がんばってください!!



《 前 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

武藤順子

武藤順子さん
博士(体育科学)、薬剤師(東京理科大学)。
製薬会社などで働き、医薬翻訳者として独立。メーカーの申請資料、ドクターの論文などの翻訳をする。現在スポーツ医科系大学院の博士課程研究生。脳・運動・ストレス・肥満などの研究を行う。株式会社ビーフィジカルの代表として講演、執筆、エージングマネージメントセミナー講師などとして活動。主な翻訳物:ライフサイエンス選書「米国最新治験事情—臨床研究者の成功までの道のり」。
所属学会:日本体力医学会、日本肥満学会、臨床栄養学会
運動と脳とキレイを科学する女性研究者のブログ武藤順子オフィシャルサイトB-PHYSICAL