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フリーランスのためのTAXHELP

第2回 BLUE OR WHITE

みなさん、こんにちは。
TAX HELPの第二回目です。
 今わたしは、お休みを頂いており、帰省先の長野県大町市でこの原稿を書いております。東京にいる間はうだるような暑さで寝苦しい夜が続いておりましたが、こちらは窓を開けているだけでとても涼しいので、気持ちよく記事を書いていきたいと思います。

さて、前回は所得税の計算体系について説明しました。

 第一段階:収入-経費=所得(A)
 第二段階:(A)-所得控除(扶養控除とか基礎控除とか)=課税所得(B)
 第三段階:(B)×税率=年税額(C)
 第四段階:(C)-源泉徴収税額(予め天引きされた税金)=申告納税額(D)

 この体系から第一段階の所得を小さくすることで当然税金は安くなるわけです。収入(売上)を意図的に差っ引くのは脱税行為なのでフリーランスの節税の一つは経費を漏れなく集計することと前回申し上げました。そのほか、この所得の金額を圧縮することができる制度の一つに「青色申告制度」があります。

青色申告をできる人というのは、実は法律で定められています。
青色申告をできるのは法律上「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う人」です。
 つまり、フリーランス(事業所得者)は青色申告書を提出することができますが、給与所得しかない人は青色申告をすることができません。
 青色申告というのは上記のAの所得計算をするために、その業務について帳簿を備え付けて、その所得の金額に係る取引を記録して、帳簿書類を保存することで、一定の見返りを与えますという制度になります。
 給与所得者はAの計算で差し引くのは経費ではなく、「給与所得控除額」なので特段帳簿を備え付ける必要がなく、当然その見返りなどないのです。
 帳簿の備え付け・記録・保存を行うことでフリーランス(事業所得者)がどのような見返りを受けることができるか。Aの金額を圧縮するための見返りとしては下記の三つがあります。
 1.青色申告特別控除(本日説明します。)
 2.青色事業専従者給与の必要経費算入
   (同一家計のご家族への給与を経費に入れられる。)
 3.純損失の繰り越し控除(Aがマイナスになった場合に翌年のAから引ける。)

 1の青色申告特別控除というのは帳簿の精度の高さによって10万円もしくは65万円をAの金額の計算上差し引くことができる制度です。
 したがって青色申告を行う場合、第一段階の計算は下記のように変更になります。

 第一段階:収入-経費-青色申告特別控除額(10万円or 65万円)=所得
  
 帳簿の精度によって差し引く金額が65万円と10万円ということですが、どうせなら65万円引きたいですよね。税率が所得税20%の人であれば住民税10%と合わせて20万円近くの節税になるわけですから。
 ただし、65万円の控除を取るのは結構至難の業になります。何故かというと、65万円の控除を取るためには取引について、複式簿記に基づく処理を行い、貸借対照表と損益計算書を作成しなければならいからです。複式簿記を行うとなると、ご自身で簿記3級の勉強をしたりする必要が出てくるかもしれません。
 つまり、節税額以上の支出が発生したり、本業に集中できなくなるかもしれないのです。ただし、別の見方をすると、複式簿記を行わなくても10万円の青色申告特別控除は認められるのです。
 10万円の青色申告特別控除を取るためには損益計算書を作成できる程度の簡易帳簿でもOKということになっております。
 申告するにあたり、白色申告でも売上と経費を集計しなければならないのですから、あまり労力に変わりはないのではないのでしょうか。それなら青色申告を選択したほうがいいのではないかと個人的には思っております。
 2番目と3番目の特典については次回以降に説明します。
 読んでいただきありがとうございます。
                   税理士法人青山アカウンティングファーム
                                  関 友貴


第1回 TAX RETURN

 みなさま、はじめまして。
私は5年程前よりテンナインさんの税務・会計業務に携わらせて頂いております税理士の関といいます。

 この度工藤社長のご提案でハイキャリアにフリーランスの翻訳者様、通訳者様向けに税金関係のコラムを僭越ながら書かせて頂けることになりました。
 今後よろしくお願い致します。

 フリーランスの税金といえば「確定申告」を思い浮かべるのではないでしょうか。
確定申告。英訳すると、通訳者や翻訳者の皆様ならご存知の通り Tax Returnですね。
確定申告の時期は所得税や消費税の納付など湯水のようにお金が手元から無くなっていく辛いイメージがありますが、英語でリターンという様に実は返してもらうため(税務上は「還付」と言ったりします。)の申告である場合も大いにあるのです。(Returnが本当に還付という意味なのかは分かりません。)

 今回は初回ということで、確定申告で納付(payment)になったり、還付(return)になったりする理由を理解していただきたく、所得税の体系について説明して参りたいと思います。


1.事業所得者(フリーランス)と給与所得者(サラリーマン)の税金計算の違い
 わたし達は一年間1月1日から12月31日までの間に稼得した収入の一部を税金として国に納付しなければなりません。(ここでお話しする税金は所得税という税金です。)
 その税金の計算は私たちそれぞれが行い、納付(あるいは還付の請求)までしなければなりません。これを申告納税方式といいます。その期限は翌年3月15日と定められています。
 税金は収入(revenue)に対して課税されるのではなく、課税所得(taxable income)に対して課税されます。
 簡単に算式を記載するとこうなります。
 ・収入-経費=所得(A)
 ・(A)-所得控除(扶養控除とか基礎控除とか)=課税所得(B)
 ・(B)×税率=年税額(C)
 ・(C)-源泉徴収税額(予め天引きされた税金)=申告納税額(D)
 給与所得者(いわゆるサラリーマン)は上記の「所得」(A)の計算が 「給与収入-給与所得控除額」により求められ、給与所得控除額は給与収入に応じて自動的に算出されるため、原則的に給与の支払者(例えば会社です)が計算してくれることになっています。「年末調整されるから確定申告が要らない」というのはそういうことです。

 それに対してフリーランスは収入も経費も所得控除も自分で判断や集計をしなければなりません。
大変ですが、日本は申告納税制度が原則で、年末調整は実は特例的な立場なので、最低限の知識は知っておかなければ損してしまいます。

2.泉徴収税額の精算
 上記の算式、説明のためにもう一度記載します。

 ・収入-経費=所得(A)
 ・(A)-所得控除(扶養控除とか医療費控除とか)=課税所得(B)
 ・(B)×税率=年税額(C)
 ・(C)-源泉徴収税額(予め天引きされた税金)=申告納税額(D)

 支払調書ってみなさんご存じですよね。そうです、毎年1月末くらいにクライアント(例えばテンナインさん)から配られるあの小さいのにとっても大切な紙です。
あの紙には2種類の金額が記載されていますね。
一つが「支払金額」でもう一つが「源泉徴収税額」です。
「支払金額」は上記の(A)の計算で使う通訳料などの1年間の「収入金額」になります。

 「源泉徴収税額」は上記の1年間の支払金額に対していくら所得税が天引き(源泉徴収)されたかです。ルール上、支払金額の10.21%になっていると思います。

 源泉徴収税額は単なる税金の前払の性格になります。支払者(例えばテンナインさん)が、天引きして代わりに納税していますので、取られっぱなしではなく、確定申告で精算されます。(年税額から控除して申告納税額を確定します。)

 ということは、予め天引きされた源泉徴収税額が年税額より多い場合には「申告納税額」(D)はマイナスになります。「申告納税額」(D)がマイナスになる場合、そのマイナスの金額の税金が返ってきます。(ここでは予定納税額に関しては考慮していません。)
 ここで「年税額」(C)の計算で使用する税率が問題になります。
日本では超過累進税率が採用されており、課税所得(B)の金額に応じて5%から45%まで定められております。

3.フリーランスの節税ポイント
 上記の算式から「所得」Aを少なくすれば当然税金は安くなります。(納税が減ったり、還付が増えたり。)でも計算が自身にゆだねられているからと言って収入を少なく申告することは「脱税」になり一発アウトです。
 ただし、経費については収入を得るための支出であれば基本的に経費に算入することができます。したがってフリーランスはいかに経費を漏らさずに集計するかどうかが節税のポイントになります。

 今回は初回ということで所得税の体系について説明して参りましたので、難しかったのではないでしょうか。
 次回以降は各論に落とし込んで青色申告の特典や領収書と経費、消費税などについても触れていきたいと思います。
 読んでいただきありがとうございます。

                   税理士法人青山アカウンティングファーム
                                  関 友貴



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プロフィール

税理士法人青山アカウンティングファーム
http://www.aoyama-af.or.jp/pc/
税理士 関 友貴さん

2005年 都内会計事務所にて法人税、所得税の一般税務会計業務に携わる。
2006年-2009年 4大会計事務所の一つであるKPMGにて上場企業、国内外資系企業、海外法人の税務に携わる。
2009年-現在 松本憲二税理士事務所(現税理士法人青山アカウンティングファーム)にて中小企業経営のトータルサポート・上場企業の税務のほか、弁護士・外国人・通訳者等の個人確定申告に携わる。
2010年より株式会社テンナイン・コミュニケーションを担当。