HOME > LIFE > 通訳・翻訳者リレーブログ > アース

通訳・翻訳者リレーブログ
投稿者:アース の記事

辞書を編む ~その5~

[2015.02.09]投稿者:アース
(これまでの概要)20世紀最後の年、「使える辞書が欲しい」という思いだけを原動力に、現場の翻訳者や通訳者、すなわち「辞書作りの素人」たちによる『スペイン語経済ビジネス用語辞典』の制作が始まりました。一つの辞書を「元ネタ」にするのではなく、既存の様々な辞典や用語集、ネット上の資料などを元に、掲載したいと思う用語をかき集め、とりあえずの「基盤」ができあがりました。しかし訳語や用例など中身はスカスカ、凡例もまったく定まっていない状態です。それらを充実させていく、気の遠くなるような作業が始まりました。

          ☆

あまり記憶は定かではないですが、最初の基盤となった語数は、多くても5000語程度だったのではないかと思います。作業開始から発売までの約6年間にも、基本用語や新語で重大な取りこぼしがないよう、中身の充実を進めながらも常にアンテナを張っていました。結果的に発売時の掲載語数は、複合語も含めて約1万に膨らんでいました。

見出し語、訳語や用例の載せ方、類義語や反意語、凡例、囲み記事の有無など、辞書の屋台骨となる部分について、本来なら初期段階の編集会議等で基本方針を定めるところです。しかしわたしたちの場合は、メンバーが海外を含めて関東圏以外にも広く散らばっていたため、実際に顔を合わせる会議がほとんどできず、実際の作業をしながら手探りで方針を固めていきました。

そのせいで無駄になった作業もありましたが、一方で小回りが利き、最後の瞬間までユーザーフレンドリーな辞書を目指すことができたように思います。とはいえ、(当初は紙媒体での出版を予定していましたので)掲載できる情報量には限界があり、使えそうな情報はなんでもかんでも載せる、というわけにもいきません。あまり情報が多すぎても使いにくいものになるし、作業量が増え過ぎると採算性に問題が出てきます。

実際の執筆にあたっては当然ながら様々な問題がありましたが、書き尽くせるものではありませんので、一つだけ挙げてみます。それは「見出し語と用例のバランス」です。普通の辞書なら、見出し語はほとんどの場合、一単語です。しかし用語辞典となれば、複合語を見出しにすることも可能です。というより、それが普通でしょうか。

例えば株式関連の用語。スペイン語で言えばaccion(英stock)ですが、見出し語はaccionだけにして、accionを含む複合語はすべて「用例」として収めてしまう、という案が一つ。

しかし株式関連の重要語は多数ありますので、そのやり方ですと、accionという見出し語の中にごろごろと重要な言葉が並ぶことになります。この辞書はそもそも、「専門用語については簡潔な用語説明をつける」「用例を充実させる」ことが大目標でしたので、accionの下に並んだ重要語のそれぞれに説明をつけ、できれば用例をつけ、参考語もあれば載せ、補足を付け加え...と、どんどんとaccionの項目が膨らんでいきます。

初期段階で作った紙媒体用のサンプルではこうなっていました。

earth64.pngこうして見ると、まとまっていて便利そうな反面、どうにもぐちゃぐちゃしていて、見にくい感は否めません。紙媒体の辞書としては普通の表記のはずですが、電子辞書やネットの辞書を使い慣れた目で見ると、う〜んという感じですよね。

そこで、基本的に説明が必要な用語はすべて見出し語にする、ということになりました(完成した辞書では、accionを含む34の見出し語のほとんどに用語説明がついています)。

と、基本方針はそう決まったのですが、実際には、どの用語に説明をつけるのか、この語は用例扱いで十分なのでは、いや独立した見出し語にすべきだ...みたいな喧々諤々の議論をひたすら繰り返しました。用語説明がいらなくても重要な語というのは多くありますし、逆に「説明してもらわなきゃ絶対わからんでしょ」みたいな用語でも、使用例が少なければ用例にこっそり載せておくだけでいいものもあります。

もう一つ問題だったのは、ビジネスシーンでの使用例は多いが、非常に抽象的で、説明のつけようがない(あるいは必要ない)ような用語です。例えば「維持費」。

「費用」の意味のgasto(西)/cost(英)は、経済ビジネス用語辞典ならば、当然載っていてしかるべき語です。従って、「維持費」=gasto de mantenimiento(西)/cost of maintenance(英)が辞書に載っていてもおかしくはありません。しかしこれらを見出し語とすべきか用例とすべきかで、これまた激しい議論になりました。

gasto de mantenimiento/cost of maintenanceは、言ってみればgastoとmantenimiento、costとmaintenanceがくっついただけの語で、しかも専門用語ではなく、「維持する費用」以上の意味はありません。このように2つ以上の名詞が並んで意味をなす(専門用語でない)語は山のようにあるわけで、そこまで見出し語として載せると、「経済ビジネス用語辞典」としての意味が失われるのではないか。また「維持費」を載せるなら、例えば「管理費」「営繕費」「補修費」「整備費」等も見出し語にしなければ一貫性がとれない、一部だけ載せるのは、ゼロより悪いのではないか。という主張が一つ。

一方で、ユーザーとして想定している人の中には、プロの翻訳者や通訳者だけでなく、企業で貿易事務をやらされている人、スペイン語なんてまったく縁がなかったのに、いきなりスペイン語圏への赴任が決まった人、個人輸入したい人、あるいは学習者等々、スペイン語能力について言えばそれほど高くない人々も手にするのだから、そういった人にとっては、簡単な用語でも、辞書のどこかにあったほうが(そしてできれば見出しになっていたほうが)利便性が上がるのではないか、という主張もありました。

結論から言うと、きっちりとした線を引くことはせず(そもそも線引きなど無理なのですが)、ケースバイケースで判断していく、ということになりました。見出し語に昇格したもの、用例にとどめたもの、そもそも掲載をやめたもの、いろいろあります。最終的な見出し語の数は約1万語ですから、検討した語の数は、2〜3万に達しているかもしれません。扱いを何度も変えた語も多数あります。

例えば、固有名詞(組織名など)をどの程度載せるかとか、どの分野の用語を掲載するかとか、そういったざっくりとした方針は、理想と現実をはかりにかけて、案外簡単に決まっていったのですが、辞書のすべての部分に関連し、場合によっては印象を根底から変えてしまう見出し語や用例部分の方針については、どのメンバーも自分なりに信じる基準(理想)があり、話し合いも相当に難航しました。一応の方針が決まった後も、あっちに揺れ、こっちに揺れ、その度に原稿を書き直し、終わりの見えない戦いが続きました。

いまの形になんとか収まったのは、「何が何でも完成させる」という気持ちが皆に共通していたから。そんな努力の結晶を、スペイン語関係者の皆さんにご購入いただければ幸いです(笑)。

内容についての話をこれ以上続けても、あまり面白くもないでしょうから、後は「辞書を編纂中の人間の生態」をお話しして、この「辞書を編む」シリーズを終えたいと思います。

                         (つづく)


辞書を編む 〜その4〜

[2015.01.12]投稿者:アース
(これまでの概要)20世紀最後の年、「使える辞書が欲しい」という思いだけを原動力に、現場の翻訳者や通訳者、すなわち「辞書作りの素人」たちによる『スペイン語経済ビジネス用語辞典』の制作が始まりました。出版のあてのない見切り発車でした。第1回会議の議事録では、「基礎的な経済用語と現代用語を網羅し、その用例を併記してスペイン語での概念を把握できるようにする。また良質な例文を載せて、その用語の実際の具体的な使われ方が分かるようにする」という目標が高らかに謳われていました。

          ☆

上記の目標、買う方としては大いに期待してしまう内容ですが、いざこれをすべて実現しようとすると、いったいどこから手を付けていいのか、最初はまさに五里霧中の状態でした。

わたしは辞書作りで食べている人ではないので、正確なところはよく分かりませんけれども、普通「○和辞典」を作る場合、日本でいう「国語辞典」にあたる「○語辞典」を元ネタにすることが多いようです。例えば小学館の「ランダムハウス英和大辞典」は、当然ながら Random House Dictionary of the English Language を基本とし、日本の読者向けに様々な情報が付け加えられています。

しかしそれは言語(語学)辞典の話であって、○○語の専門用語辞典となると、なかなか元ネタとなる本は見つかりません。もちろん存在はしますが、マクロ経済、貿易、財務、金融、経済"学"用語など、細かい専門分野に分かれていることが多く、なかなかわたしたちの目指すような総合的・網羅的な内容の本は見つかりません。さらにスペイン語の場合、公用語としている国が多いため、例えばスペインで出版されている本のみを元ネタにした場合、ラテンアメリカのスペイン語文を読みたい人には使い勝手の悪いものになります。

たぶん出版社に送ったものだったかと思いますが、わりと早い段階で作成した「辞書の特徴」には、こうあります。

「スペイン、ラテンアメリカを中心とした世界経済や日本経済についての記事を理解するのに必要十分な数量の経済用語を収録。(〜)この辞書は経済の各分野(マクロ・ミクロ経済、経済統合、国際貿易、国際投資、国際金融、開発援助、財務会計、流通・マーケティング等)の用語を網羅するとともに、情報技術(IT)や環境問題等の今日的なテーマを始め、政治、労働、国際協力等の広範な分野から基本語を収録した」

そんなに欲張らず、分野を絞ればいいのでは、あるいは何冊かに分ければいいのでは、という提案が出てきそうですが、英語と異なり、そういった専門用語辞典に対する需要が小さいことが大きな壁となります。あまり求められていないという意味ではなく、ニーズは高いが、実際に購入する人の絶対数が少ないということです。分野を絞れば、制作者にとっては作りやすく、ユーザーにとっては利便性が増すかもしれませんが、売上部数は当然減ることになります。趣味でやっているのではない以上、最低限度の部数が見込めなければ現実的ではありません。(もっとも実際に発売されるまでは全員手弁当だったのですが)

そこで、ある1冊の辞典を元ネタにするという方法は早い段階で諦め、複数の本や資料から小まめに集めていこう、ということになりました。

もともとは、「現場での使用に耐える、かゆいところに手の届く辞書」すなわち「My 単語帳」的発想から始まった辞書ですので、部数や採算や作業効率や、そういった要因が現実的な課題として立ちはだかるまでは、なんとなく「自分用に作っている単語帳の拡大版」みたいなイメージで捉えていた時期もありました。つまり、ネットや書籍から、あるいは普段の翻訳・通訳原稿から、「これぞ」と思うものをどんどん抜き出していき、ある程度の量を揃えれば形になるのではという、いかにも素人の発想です。

しかし、仮にも何千円もするものを買っていただくからには、当然ながらそんな「行き当たりばったりの寄せ集め」で済ませることはできず、どうしても核となる部分が必要となります。それでも、前述したように1冊に決めることはできず、複数の本から拾うことになりました。

この初期段階の作業は10年以上前のことですので、もう記憶もほとんど残っていないのですが、最終的に元ネタとして使用した書籍の数は、10冊を下らないのではないかと思います。しかも「パラパラ」見たわけではなく、集録されているすべての見出し語をA〜Z項まで(分野別辞書ならすべての項目について)目を通し、採用したいと感じたものを片っ端から拾っていった書籍の数、という意味です。単に参考にしただけの書籍まで含めたら、どれくらいの数になるやら、見当もつきません。また、インターネットのコンテンツが充実しつつあった時代ですから、書籍で網羅できていない新語については、ネット上の辞書も参考にしました。

このように基本方針を固めた後は、それぞれの書籍や資料について、A項目は○さん、B項目は○さん、この分野は○さん、といったように割り振り、期限を設けて、ひたすら作業に励みました。当然ながらAの語数は多く、Bは少なく、Eはとんでもなく多く・・押し付け合った記憶もあります(笑)。

余談ですが、分野別の担当で圧倒的に不人気だった金融・証券分野をなぜかわたしが(いやいや)担当することになってしまい、それはそれは苦労しました。でも、そのおかげでいま、金融・証券がわたしの専門分野になっているわけですから、運命とはわからないものです。

さて。

以上は主に「名詞」の専門用語の話ですが、我々の辞書では「経済の文脈で使用される形容詞と動詞」も掲載するという大胆な試みを実現しました。英語の翻訳をやっていても日々感じることですが、様々な品詞が組み合わさると、驚くほど多様な意味が生じますよね。

こんな言い回しはどの辞書にも載っていない。しかしどう見てもこの部分が文章の肝である。だがニュアンスさえ分からない・・・みたいなことが、よくあります。時には一つの言い回しの意味やニュアンスを求めてネットを泳ぎまわり、びっくり仰天な意味だったことが判明したときなどは、つい天を仰いで・・じゃなくて天井を仰いで、「ああ、ホコリが・・」とつぶやくハメに陥ります。

ホコリがあるのは我が家だけでしょうけども、ともかくそういった人々を救済するために、動詞と形容詞も載せよう(そして用例を充実させよう)というのが、これまたかなり早い段階からの決定事項でした。例えば、abastecer(供給する)、accionarial(株の、株式の)といった単語です。

動詞と形容詞まで載せている専門用語辞典は、実はほとんどありません。よって元ネタにできる経済辞典がなく、こうなったら西和辞典から小まめに拾おう!ということになりました。「小まめ」とはすなわち、A〜Z項目の全頁について、経済の文脈で使われそうな動詞と形容詞に加えて、専門用語辞典やネットからの拾い出しだけでは網羅できない、ごく基本的な名詞も拾う、ということです。

言語辞典の最初から最後まで目を通したことのある人は、ほとんどいないのではないでしょうか。当時の自分たちに「わざわざ苦労を背負い込まなくても・・」と言ってあげたいです、ハイ。

とはいえ、メインのメンバーがそれらをすべて行うことは時間的に不可能でしたので、この部分については、メインメンバーではないお二人に主にお願いしました。このお二人からすれば、「お願いしましたの一言で済ませるな!!」と言いたくなるくらい大変な作業だったろうと思います。新潟県のYさん、茨城県のTさん、お二人による基盤作りがなければ、この辞書の屋台骨はぐらぐら、内容はうすっぺらな物になってしまったでしょう。お二人には深く深く感謝しております。

基本的な単語の元ネタとしたのは、白水社から出版されている『現代スペイン語辞典』です(もちろん白水社さんから許可をいただきました)。

これで、ようやく辞書の「基盤」の部分ができあがりました。とはいえ、単に掲載する語をざっくりと揃えただけで、語義や説明などの内容はスカスカ。「凡例」をどうするか、同義語や反意語は、参考語はどうするかといった方針も決まっておらず、まだまだ人様にお見せできるような状態ではありません。それをどのように磨き上げていったのか、次回以降にお話ししたいと思います。

                         (つづく)

※字だけでは(わたしが)さみしいので、先日、回転寿司に行ったときの写真をば。北陸はカニのおいしい季節です(カニ汁約250円)。

earth79.JPG


田舎のあるある話

[2014.12.08]投稿者:アース
「辞書を編む」の第4回にしようかなぁと考えつつ、またもやさぼりまして、先月の「田舎のないない話」に引き続き、きょうは北陸地方N町の「あるある話」をしてみようと思います。

先月も書いた通り、(すんごい)田舎に暮らすということがどういうことなのか、どんなに説明を尽くしても、なかなか分かってもらえるものではありません。最近は定年後の田舎暮らしを夢見る方も多いようで、本格的な定住前に「一週間体験」みたいなことも行われているようですが、一週間じゃ、いいことも悪いことも、なんもわかるまいよ、と思います。ま、それはどんな土地だって同じでしょうけれどね〜。

さてさて。

先月は、主に「○○がない」というお話をしましたので、今回はどの田舎でもありえそうな「ならでは」話を幾つかしようと思います。


●タクシーでスーパーへ

...と聞けば、なんて裕福なっ。と思うかもしれません。が、先月の記事を読んでいただいた方ならお分かりでしょう。N町には公共交通機関がほとんどありませんので、免許を返上したようなじーちゃん・ばーちゃんの場合は、タクシーを利用するしかありません。ですので、スーパーの前にはよくタクシーが停まっています。

スーパーまで誰かに乗せてきてもらったが、帰りはあてがない...みたいなときは、スーパーからタクシーを呼ぶことになります。そのとき店内にたまたま近所の人がいればいいのですが、なにしろN町内は広いですから(山手線内側の4倍)、なかなかそれも難しい。

以前は店内に公衆電話があり、その上に「○○タクシー 12-3456」みたいに電話番号を書いた紙が貼ってあったのですが、時代の流れか、いつのまにか公衆電話は撤去され。ケータイを使えないばーちゃんたちは普段どうしているのか分かりませんが、ときどき店員さんが呼んであげているのを見ることがあります。さすが。

「○○タクシーでええ?」
「ええよ〜おねがいね〜」

タクシーが来るまでしばらくかかりますから、ばーちゃんたちはレジのすぐ横に座って、おしゃべりをしながら待つことになります。タクシーが来ると、店の人が「○○さん、来たよ〜」と教えてくれます。さすが。

ついでに言うと、わたしがいつも行くこのスーパー、必ず袋詰めしてくれます。また、野菜がしなびているようなときは、レジの途中で店員さんがわざわざ変えに行ってくれたりします(自分で気がつきなさいよ)。しかし。

「このサバ、三枚にお願いします〜」
「えっとぉ〜、いまちょっと忙しいからやっとられんわ」
「はあ、じゃいいです」

と、『魚くらい自分でさばかんかい』というプレッシャーはあります。(ヒマそうなときはやってくれます)


●クリーニング屋さん=私設クローゼット

田舎でもさすがにクリーニング屋さんはあります。でもいわゆるチェーン店はありませんで、すべて個人営業のお店。

北陸ですので、冬物を出すのはだいたい5月下旬、夏物は9月末といったところです。

クリーニングって、普通はできあがるまでに長くても1週間とかでしたっけ? 田舎暮らしが長過ぎて、すっかり忘れてますが、このあたりのクリーニング屋さんは、そう簡単には渡してくれない。いつ行っても「ああ〜あれまだなんですよ〜すみません〜」と言われるばかり。例えば5月末に預けて、6月が7月になり、8月になった頃には、もういいや、冬になったら返してくれれば、という気持ちになります。

実際には家に置いておくよりは湿気も少ないでしょうし、こっちにしてみれば、かえってありがたいくらい。最近はもう、預けるときに「冬前にできればいいです」「夏前にできればいいです」と言うのがお決まりに。

クリーニング屋さんの名誉のために言っておくと、クリーニングせずにほったらかし、というのではなくて、完全に仕上がっているもののビニールをかけていない、奥にあって今すぐに出せない、という程度のことで、渡してくれません。家に持って帰るだけなんだから、いちいち包装してくれなくてもぜんぜん構わないのですが、お店の人にとっては、許されない行為らしい。それから、お願いすれば(未包装のまま、恐縮しながら)返してくれますので、喪服などは大丈夫です。

理由はどうあれ、私設クローゼット、ありがたいです。


●ホーム(タウン)ビデオ

これは都会のケーブルテレビでも案外あるのではないかと思うのですが、N町でも、選挙が行われるたびに、開票の模様が生中継されます。そんなもん見てもしょうがないので、ちらっとしか見たことはありませんが、最後の一票が集計されるまで、ずっと中継しているようです。不正を防ぐという意味はあるかもしれません。

同じように、町議会もすべて中継され、繰り返し放送されます。まあ、中学校の修学旅行の密着取材や、町民運動会や、N町芸能発表会の様子が、ほぼカットなしのホームビデオ状態で延々流されるよりは、ずっと意味があると思われます。

ところで先回の町議会議員選挙の場合、投票率は都会とは比べ物にならない79%。前は90%近いこともありましたから、これでもずいぶん低くなりました。トップ当選の人の得票数は約1,000票。最下位は約650票。最も少なかった人は約250票。う〜ん、高校の生徒会並みかも...。

修学旅行や町民運動会や芸能発表会の様子も放送されるのかって?されます。これをずっと見ている人がいるのかどうかは、ナゾです。

earth73.JPG「芸能発表会」の中継。コメントは...差し控えます。


●コイン精米

コインランドリーならぬ、コイン精米。これも案外、都会にもあるのではと想像しますが、少なくともわたしはこの地に来るまで知らなかったので、一応ご紹介を。

earth74.JPG自前の田んぼで収穫したコメ、人からもらった玄米を精米するときに利用できるのが、この無人精米所です。そんなに使う人がいるのかな?と思いますけれど、かなりの頻度で車が停まっているのを見かけます。

earth75.JPG先日、初めて中に入ってみました。扉を開けたとたん、もわっとお米の匂いが!! 説明を見ると、白米(分づき米)のほか、おもちまでできるみたいです。どうでもいいけど、このチープなキャラがたまりませんわ。


●おすそわけ

田舎のことですので、ご想像の通り、ご近所からのおすそ分けは多いです。

大根やニンジン、イモ、白菜などの常識的な野菜(?)から、フキなどの山菜、ミョウガ、さらにはシイタケやタケノコ等々。はっきり言って常識外れと言ってもいいような量をいただくこともあります。

シイタケはもちろん、「自分ちの山」で採れたもの。流通に乗せることのできない巨大サイズのものをいただきます。これが、うまい。うますぎる。写真がなくて残念ですが、カサの大きさは10センチくらいあるかも。しかもぶあつくて、厚みは2センチくらいあるかもしれません。採りたてですので、軸の部分までおいしく食べられます。

な、なーんと、マツタケをもらったこともあります。それも超巨大な。ただ、調理し慣れていないためか、感動的な料理に仕上げることができず、これならシイタケのほうがいいや、と思ったことを覚えています。ああ、売ればよかった(セコい)。

そして、何といっても驚くのが「魚」のおすそわけ。野菜でも大量にもらえば処理に困るのに、すでに献立も決まった6時頃に生魚をおすそ分けされても〜!!!と、思うかもしれませんが、みんな、なんだかんだ喜んで受け取ります。

このあたりはイカ漁が盛んなので、たまにイカもいただきます。一度、わたしが買い物から帰ってきたら、ドアノブに大量のイカが入った袋がぶら下げられていて、たまげたことがありました。後で聞いたら、「他にも寄るところがあったので、置いといた」とのことでした。怪しすぎでしょ!!

earth76.JPGつい先日は、こんなのもらっちゃいました。サンマ大のカマス、実に13匹。漁師さんでなく、趣味で釣りをしている人が大量に釣ったものの「ごく一部」ということらしいです(おすそわけのおすそわけなので、はっきりしない)。しかし我が家だけで13匹も消費することは難しいので、ご近所の2軒に持っていったところ、喜んで受け取ってくれました。「朝獲れ」どころか「午後獲れ」ですので、新鮮も新鮮、ぴっちぴちのむっちむちでした。

おすそわけではありませんが、都会のオフィスに置き菓子屋さんがやって来るように、このあたりの会社等には魚屋さんが現れることがあります。わたしのオットのあきらくんが務める某地方公共天文台/プラネタリウムにも、ときどき来るらしいです。

earth77.JPGこんな感じ。あきらくんからはときどき、カエルメールならぬ「アジの干物買った」みたいな一行メールが。少ないこづかいで何をしているのでしょうか、この人は。


●持家

過疎化が恐ろしいほどのスピードで進むN町では、我が家のように、外部から町内に移り住む人は極めて少なく、もともと地元で生まれ育った人が大部分を占めますので、ほとんどの世帯は「持家」に住んでいます。

賃貸物件は、公営団地や官舎が中心で、銀行員、郵便局員、警官、医師、教師など、他地域から一時的に移り住んでいる人だけがそういった物件を利用します。ちなみに我が家も公営団地の住人です。家賃相場は...そうですね、現在の我が家と同じ広さ、同じ築年数で、東京都中央区の相場と比較したところ、5分の1と出ました。わはは。

民間アパートはあるのかもしれませんが、少なくともわたしは知らないので、持家の世帯数は見当がつきます。それを全世帯数で割った「持家率」は、わたしの推定で90%(全国平均は66%前後)。

仮に、外部から移り住もうという人が新しく家を建てたいと思っても、おそらくは土地を探すのが大変だろうと思います。田舎なんだから土地はいっぱいあるだろうって? もちろんそうですが、当然ながらどれも「誰かの土地」であって、わざわざ売ろうなんて酔狂な人はほとんどいません。売ろうとしても、買い手がいないからです。また、買い手がいないから、売ろうと思わない。いつ返してくれるかもわからないまったくの他人に貸す人もいない。つまり「不動産市場」がそもそも存在しない、というわけです。

それでも、どうしても売りたい場合、どうなるか。極端な買い手市場になることは想像がつくと思います。つまり大変いい物件が、格安で提供されます。

例えば何年か前に、こういう物件がありました。

earth78.JPG築9年の7LDK。土地付きリフォーム済み。駐車場は3台分。そのお値段は...なんと約1000万円!!!! ワケあり物件かっ、と勘ぐりたくなるようなお値段ですが、暗い過去は何にもございません。

この物件に関しては買い手がついたようですが、要するに、ここまで格安でないと引き合わないような不便な地...ということなのでしょう。単に交通機関やお店が少ないだけでなく、例えば図書館、博物館、美術館、映画館、遊園地などの公共施設がないに等しく、憲法に保障されているはずの「文化的な最低限度の生活」が送れていると言えるのかどうか、悩んでしまうレベルではあります。

ええと、過疎化についてまじめに語るつもりはなかったので、今回はこのくらいに。次回こそは辞書制作物語の続き...になるかもしれないし、ならないかもしれません。





田舎のないない話

[2014.11.10]投稿者:アース
「辞書を編む」の第4回にしようかなぁと考えつつ、毎回、人の思い出話というのもつまんないと思いますので(書く方も飽きてきましたし)、今回はお休み。わたしの住む北陸地方のN町を日本の田舎代表に勝手に位置づけ、リポートをお届けします。

田舎に住んでいると言うと、いろんな人にいろんなことを聞かれます。しかしどんなに言葉を尽くしても、感覚的に分かってもらうのはなかなか難しいようで、いつも歯がゆい思いをします。ですので、きょうは数字から攻めてみます。(「うちも十分田舎よ」と密かに思っているそこのアナタ、どうぞご自分の地域と引き比べながらお読みください...)

大前提として、わたしが暮らすN町の広さは、山手線内側の面積の約4倍あります。山手線内側の人口は約100万人と言われていますが、N町の人口は現在、約1万8,000人です。

渋谷のスクランブル交差点で同時に移動する人数が最大3000人らしいので、信号が6回変わる間に、住民のほぼ全員が通り過ぎてしまうわけです。(ぜんぜん関係ありませんが、スクランブル交差点が完全に無人になるのは、午前3時台に10秒間くらいらしいですね。みなさん、早く帰って寝ましょう)

ウィキによりますと、東京23区の人口密度は1平方kmあたり14,704人。1平方kmというと、一辺が1km。このあたりで1kmというと、感覚的には田んぼが10枚って感じで...その中に1万5,000人?? 当然、縦にも広がってのこの数字なのでしょうけれど、それにしてもすごい...。

さて、我がN町の人口密度を計算してみましたらば、1平方kmあたり66人でした。桁は間違っていません。六十六人です。町内は山林と田んぼがほとんどですから、実際の密度はもう少し高いかもしれませんが、それでも東京とここまで差があるとは、改めて驚きです。

人間が少なければ、当然ながら公共交通機関も極めて貧相になります。我が家から最寄りの鉄道駅までは、30km。前は15kmだったのですが、何年も前に第三セクター路線が廃線となり、N町からは鉄道というものがなくなりました。バス路線もあるにはあるものの、ご想像の通り、一日何本?という感じで、とても使えるものではありません。

我が家のすぐ前の道路を通るバスは特に少なくて、一日3本(往復6本)です。これで利用しろと言われても、困りまする。

したがって、裕福だろうがビンボーだろうが、運動音痴だろうが方向音痴だろうが、車は18才以上1人につき1台。これがN町のジョーシキです。なので、一家に2台どころか、3台4台並べているお宅もあります。(車庫証明がいらないこともあり、駐車場には事欠きません)

earth65.JPG最寄りのバス停の時刻表。すぐに暗記できそう。


よく聞かれるのは「コンビニあるの?」。答えは「ある」です。しかし問題はその数と、最寄り店舗までの距離。いい機会ですので(?)、調べてみました。

  • セブンイレブンとローソン
調べるまでもなく、N町内には存在しません。隣接市町村にもありません。我が家からいちばん近い店舗は、どちらも50km先でした。

セブンイレブンのキャッチコピーは「近くて便利、セブン-イレブン」。便利なことは否定しませんが、ぜんぜん近くないっての。東京ー厚木間の距離です。

  • ファミリーマート
隣接市町にそれぞれ2軒ずつありますが、N町内にはありません。我が家からの距離はいずれも30km。東京ー横浜間です。

  • サークルK
N町内に3軒あり!!!! しかしこれは、山手線内側に1軒弱ということです。これを「コンビニがある」と表現していいのかどうか、激しく悩むところではあります。

我が家から最寄り店舗までの距離は、ぐっと縮まって、なんと5km!! でもこれって新宿ー渋谷間の距離なの。でもでも、その間の信号は「1つ」なので、車で10分以内で着いちゃいます。でもでもでも、歩いたら往復2時間以上。冬の雪道だったら遭難すること請け合い。イノシシよけの鈴も必須です。やはりコンビーニエントなストアとは言えません。

それでも、このお店ができてから、夕食後に「アイス食いたい」などと言って、つい買いに行ってしまうようになりましたから、夜でも開いているお店があるということは、すなわち本来なかった需要が生じるということなのでしょう。おそるべし。(ちなみに、このあたりのスーパーの閉店時間は19〜20時です)

earth66.JPG我が家の「最寄り」のコンビニ。地元商店と異なり、都会から来た人も立ち寄りやすいせいか、いつも案外混んでいます。そのためか、このようにたいへん駐車場が広く、大型車用のスペースまで用意されています(写真左端に「大型車用P」の看板)。冬になると、駐車場の片隅に小型除雪車が待機するほど。

コンビニの他によく聞かれるのはファストフード店ですが、ずばり1軒もありません。隣接市町村にもありません。全国展開しているお店について調べてみると、我が家から最寄りのお店までの距離は以下でした。

  • ミスタードーナツ:50km
  • マクドナルド:70km
  • スターバックス:70km
  • ケンタッキー:110km
ケンタッキーは、東京駅から富士山の頂上までフライドチキンを買いに出かける感覚ですね。(どーいう感覚!!)

などと無理に並べ立てましたが、要するにこういうド田舎に住んでいる場合、この種のお店にはそもそも行かない、ということになります。コンビニに行く回数も、おそらく都会の方と比べると、ほぼゼロと言っていいと思います。

同様に、いわゆる飲食店も、ファミレスは当然ながらゼロ。よく無邪気に聞かれて、苦笑するしかないのが、「カフェとかないの?」。

いや、そーいうレベルじゃないし。「レストラン」と名のつくもの、カフェでなくとも「喫茶店」と名のつくものも、以前はぼちぼちあったものの、どんどんその数を減らしています。少なくとも我が家の半径15km圏内にはほぼありません。「定食屋」は幾つかあります。それから、やはり寒い土地柄か、飲み屋さんは多いです。

このような事情ですので、よほどのことがない限り「食事は家で」。お金があったとしても、使うお店がないので、せいぜい少し高い食材を買う程度になります。基本的に1日3回(弁当含む)、週に21回。自炊を続けると、どうなるか。

健康になります(笑)。

空気がいいせいもあるのでしょうが、この地で何年も暮らしていいことはなんだったかと言えば、加齢は別として、やはり健康が維持できていること。もともとそれほど弱い方ではありませんが、とにかく風邪を引かなくなりました。最後に熱を出したのも、いったい何年前?という感じです。特に冬場は湿気が多いので、のどを痛めることもなく、インフルエンザが大流行!!ということもあまりありません。っていうか、人が密集することがないので、うつりようがないし(いちばんうつる可能性が高いのは病院だったりして)。北陸ということで、魚介類が安くて新鮮でおいしいので、自然と魚を食べる回数が多くなることも、健康維持には役立っているのだろうと思います。

earth67.JPG秋の恒例行事「きのこ祭り」。各種きのこが投げ売りに近い感じで売られるので、N町としてはかなりの人出ですが、それでも遠目にはこんな感じです。

earth68.JPGついでに出店の店先。左端にあるのはみたらしだんごではありません。「めがらす」はイカの口の部分で、地域によっては「カラス」とか「トンビ」とか呼ばれるようです。コリコリ食べられます。一般には珍味とされますが、このあたりのスーパーではよく山盛りで売られています。

earth69.JPGついでのついでに「椎茸用原木」。原木で作ったシイタケはおいしいですよ。え、作り方がわからないの?だめだなぁ〜。

earth70.JPGチェンソーも売ってました。北陸地方には超巨大なきのこが生息しているため、きのこ狩りにはチェンソーが必須です(ウソです)。

earth71.JPGどこがきのこ祭り....?

earth72.JPG....きのこ祭りでした(41,000円也)。

あらら、えらく脱線してしまいました。次回は閑話休題となるか否か、来月までのお楽しみということで。。




辞書を編む 〜その3〜

[2014.10.13]投稿者:アース
(前回の概要)20世紀最後の年、出版のあてもないまま、見切り発車で『スペイン語経済ビジネス用語辞典』の制作が始まりました。どの出版社に持ち込むにせよ、しっかりした企画内容はもちろん、サンプルがなければ話になりません。とにかくまずはA〜C項目のサンプル原稿を書きましょう、ということになりました。しかし、いったいどこから手をつければいいのでしょうか。使える辞書が欲しいという欲求だけは強いものの、それを自分たちで作るとなると、まさに五里霧中です。

                ☆

まず誰でも思い浮かべるのは、「単語ひとつから成る用語」も「複数語から成る用語」も、すべて見出し語としてアルファベット順に並べ、対応する日本語をひたすら並べる、というやり方でしょうか。

形容詞を名詞の前に置く英語では、核となる単語(例えば stock=株式)が共通する用語であっても、

(O)ordinary stock=普通株式
(S)stock=株式
(V)voting stock=議決権付株式

のように、アルファベットのあちこちに散ってしまいます。従って構成上、何らかの対処が必要ですが、基本的に形容詞を名詞の後ろに置くスペイン語では、

(A)accion=株式
(A)accion comun=普通株式
(A)accion con voto=議決権付株式
(アクセント記号は除いています)

といった感じで、核となる単語が共通する用語がきれいに並びます。よって、その点で苦労はありませんでした。

このように、1対1(多くても1対2〜3)で原語と訳語が並んだ「単語帳」は、作る方はもちろん、辞書を引く方も楽ですし、ずばり目的の語の訳が見つかるという点で、圧倒的な利点があります。ただ、その用語が掲載されていなければ、そこで終わり。核となる単語(上記の例ではstock/accion)も載っていない場合は、その用語の意味、ニュアンス、使用例はおろか、基本的な訳語を推測することもできません。

ですから、「この辞書を単なる単語帳にはしたくない」、これがメンバー全員で一致した思いでした。

日本でこそ、スペイン語の経済関係の用語辞典は(事実上)我々の作った本のみですけれど、欧米に目を転じますと、これが結構存在します。スペイン語関係者は皆、ワラにもすがる思いでそれらを購入しそして・・・結果的に本棚の隅でホコリをかぶっている辞書が、いったい何冊あるでしょうか。ひいふうみの・・ああ。

分野を問わず、例えば「○ヵ国語○○専門用語辞典」の類いは、書籍にしろネット上にしろ案外存在します。用語説明などは一切なく、基本となる言語を中心に、ひたすら訳を並べていくタイプです。○ヵ国語の中に日本語が入っていればいいのですが、大抵は入っておらず、欧米語だけということが多いので、例えばスペイン語から英語を探し、そこから日本語を探す、という経路をたどるわけです。

しかし。

そうした辞書は、いずれか一つの言語を中心に編纂されています。その多くは英語でしょうか。つまり、もともと存在する英語の専門辞典を元ネタにして、それを多言語展開するというやり方です。

そのようにしてできた辞典は、実務者の目からすると、どう見ても、英語の単語をただスペイン語やドイツ語の単語に「置き換えた」だけで、実際に使われているとは到底思えない表現がずらりと並んでいたりして、がっかりしたことも一度ならずあります。

インド=ヨーロッパ語族の場合は、多くの場合、類似の単語が存在し、意味も大体かぶっているので、「世の中で本当に使われているかどうか」はともかく、「とりあえずその英語の意味を表す表現」が簡単に作成できてしまうわけですね。この点、「実際に使われている用語を載せる」ことを第一義に辞書を編纂した者として、特に強調しておきたいところです。これまでの経験から言って、一部の辞書では、「実際に使われているかどうか」に関わらず載せているものが少なくないと想像します。「まじ?」という声が聞こえてきそうですが・・・残念ながらたぶん本当です。

例えば英語の場合、名詞だけをずらずら並べた表現がありますけれども、他の言語は文法的にそれができないことが多いので、どうしても前置詞を多用することになります。よって、核となる名詞だけ見れば大丈夫でも、前置詞や冠詞部分まで含めると「実際にはほとんど使われていない並び」になっていることが(非常に)多いです。さらに名詞の単複まで考慮すると、「ネット上での使用数僅少〜ゼロ」のものが少なくありません。そういう用語は、ネイティブさんには「通じる」けれども「なんとなくおかしい、不自然」な印象になるのではないかと思います。(日本語の専門用語を最小単位に分解して、それぞれ英訳し、並べ直したのと同じことですね)

ですので、多言語の専門用語辞典、あるいは別の外国語辞典を元に制作された辞典は、その用語が本当に使われているかどうか、ネットなどで確認することを強く強くお勧めします。

と、興奮して話がずれてしまいました。もちろん、中には素晴らしい辞書も多数存在することを強調しておきたいと思います。(印象の悪いものって、なかなか脳裏から去ってくれないので、つい・・)

そんなわけで、そういった辞書の轍を踏みたくないという気持ち、「本当に使われているものだけを載せ、しかも単なる単語帳にとどめることなく、利便性の高い辞書にしたい」という気持ちは皆に共通していたと思います。

第1回会議の議事録に、こうあります。

「基礎的な経済用語と現代用語を網羅し、その用例を併記してスペイン語での概念を把握できるようにする。また良質な例文を載せて、その用語の実際の具体的な使われ方が分かるようにする(できれば汎用性の広い例文がよい)」

これに加えて、仮の企画書を作った段階では、

「経済の専門家でなくとも、ある程度専門用語の概念が把握できるよう、簡潔な用語説明を必要に応じて加える」

という文言も加わりました。

・・・いま改めてこの文章を読んで、当時の自分に「怖い物知らず!!」と言ってあげたいです。上記のような目標を抱くのは簡単ですが、アナタたち、それを実現するためにどんな苦労が待っているのか分かっているのっ。うっうっ。

涙があふれて画面が見えなくなってきましたので、今回はここまでとさせてください。次回は、聞くも涙、語るも涙の本文執筆編です(たぶん)。
earth64.png※最初に作ったサンプル。当初は紙での出版を想定していましたので、従来の辞書の構成を踏襲しています。

                           (たぶんつづく)



《 前 1 2 3 4 5 6 次 》


↑Page Top

プロフィール

すーじー

すーじー
1998年春、研究留学する夫に同行して渡米。大の苦手だった英語をイチから学びなおすことに。現在はシカゴ在住のフリーランス英日翻訳者として、マーケティングから金融・経済まで幅広い分野のビジネス案件にたずさわる。最近、興味があるのは、DIYと健康になること。[2016年1月start!]

いぬ

いぬ
幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。[2008.4.1 start!]

アース

アース
田舎の翻訳者。外国留学・在留経験ナシ。都会生まれの都会育ちだが、現在はド田舎暮らしで、ネットのありがたさにすがって生きる日々。何でも楽しめる性格で、特に生き物と地球と宇宙が大好き。でも翻訳分野はなぜか金融・ビジネス(英語・西語)。宇宙旅行の資金を貯めるため、仕事の効率化(と単価アップ?!)を模索中。[2015年12月終了]

ぺこたん

ぺこたん
高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。[2007.6.1 start!]

みなみ

みなみ
英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。[2007.5.1 start!!]

さるるん@ロシア

さるるん@ロシア
米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。[2013年7月終了]

トナカイ

トナカイ
フィンランド・ヘルシンキ在住の多言語通訳・翻訳者。日本で金融機関に勤務の後、ヨーロッパへ。留学中に大学講師を務め、フィンランド移住後は芸術団体インターンなどを経て現在にいたる。2児の母。[2010年10月終了]

昼顔

昼顔
外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。[2010年3月終了]

フレッヒ

フレッヒ
高校時代をドイツで過ごし、日本の大学を卒業後、再び渡独。ドイツでの日本企業勤務を経て10年前よりフリーランスドイツ語通訳者として活躍。車関係全般・ジュエリー・スポーツ関係・整形外科分野を得意とする。普段はワイン・焼酎をこよなく愛し、庭で取れたハーブやジャガイモで主人や友人達とBBQしながら休日を過ごすのが大好き。そして大の八重山諸島フリーク。[2009年2月終了]

パンの笛

パンの笛
幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。[2008年4月終了]

かの

かの
幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。[2008年3月終了]

まめの木

まめの木
ドイツ留学後、紆余曲折を経て通翻訳者に。仕事はエンターテインメント・芸術分野から自動車・機械系までと幅広い。色々なものになりたかった、という幼少期の夢を通訳者という仕事を通じてひそかに果たしている。取柄は元気と笑顔。[2007年11月終了]

the apple of my eye

the apple of my eye
日本・米国にて商社勤務後、英国滞在中に翻訳者としての活動を開始。現在は、在宅翻訳者として多忙な日々を送る傍ら、出版翻訳コンテスト選定業務も手がけている。子育てにも奮闘中![2007年5月終了]

仙人

仙人
大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」[2007年4月終了]

ガットパルド(gattopardo)

ガットパルド(gattopardo)
伊・仏・英語通翻訳、ナレーション、講師など、幅広い分野において活動中のパワフルウーマン。著書も多数。毎年バカンスはヨーロッパで![2006年8月終了]

Hubbub from the Hub

Hubbub from the Hub
幼い頃から英語に触れ、大学在学中よりフリーランス会議通訳者として活躍、現在は米国大学院に籍を置き、研究生活と通訳の二束のわらじをはいている。[2006年8月終了]

雛


大学在学中に通訳デビュー。外資系企業勤務を経て、フリーランス通訳者に。会議はもちろん、音楽、舞台、映画などの分野でもひっぱりだこ。クライアントからの指名率も高い。[2005.11月末終了]

とと

とと
大学卒業後、数年のサラリーマン生活を経て、フリーランス翻訳者に。技術系から出版物と、幅広い分野で高い評価を得ている。趣味は音楽。ただいま子育て奮闘中。[2005.11月末終了]

背番号8

背番号8
イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人![2005.11月末終了]