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翻訳者インタビュー 第一線でご活躍されている翻訳者の「仕事」「自分らしい生き方」
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Vol.45 ~金融分野の翻訳を極めたい~


土川裕子 Yuko Tsuchikawa

英語・スペイン語翻訳者
愛知県立大学外国語学部スペイン科卒業。
英文テクニカルライターとして輸出車用自動車の取扱説明書作成に携わった後、スペイン語・英語のフリーランス翻訳者として独立。
経済・金融翻訳を中心に約17年の実務経験を持ち、通信翻訳講座講師、翻訳セミナー講師等歴任する。共著に『スペイン語経済ビジネス用語辞典』(カシオ EX-word XD-D7500搭載)がある。

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弊社に登録して間もない土川さんに、年に数回東京にいらっしゃるというタイミングをつかまえてインタビューの申し入れをすると「いいですよ」と快諾!していただきました。
翻訳仲間と発行されているメルマガを読んで絶対に楽しいやろな~とすごく期待していたのですが案の定、それを絶対に裏切らなかった(笑)笑いにつつまれたインタビューになりました。

Q 土川さんが語学と深く関わるようになったきっかけは何ですか?

A 英語の「音」がきっかけです。
中学生のときに英語の授業で教科書を朗読するカセットテープを聞いて「音がかっこいい!」と感じたのがきっかけです。スペイン語も音がきっかけです。昔、NHK-FMで「世界の音楽」だったかな、そんなラジオ番組で南米の音楽を聞いたのがきっかけでした。主に好きだったのはサンバなのですが、ブラジルだからポルトガル語でしょ。でも当時はスペイン語だと思い込んでいましたので(笑)。それで「よし!スペイン語やろう!」と強く惹かれていきました。結局勘違いだったわけですが、スペインのギターも好きだったから、いいんです(笑)。

高校生の頃には大学ではスペイン科へ行こうと決めていました。でも、翻訳するほどにまで深くかかわるきっかけが何だったかは記憶がないんです。

大学時代はスペイン語で演劇をやっていました。そのときに「自分の作品を人に見せる」ということを意識し始めたように思います。翻訳も最終的には「人に見せる」ものを作る仕事ですから、自意識過剰とかそういうことではなくて(笑)、「人の視線を気にしてモノを書く」ことの基本を知らず知らず身に付けたのかなと思います。いま、翻訳者仲間と組んでスペイン語翻訳のメルマガを発行していますが、あれもすごく役に立っています。翻訳者の方にはお勧めです(笑)。原文に縛られずに日本語を書けるので、自分の本当の日本語力を確認できますし、人の目を気にしながら書くという意味でも訓練できます。

それで、とにかく英語の音が好きでしたので・・・洋楽は黄金の80年代ど真ん中世代で、たくさん聴いて、一緒に歌っていましたし、あとセサミストリート(笑)あれも大好きでした。
(ここで同世代がゆえ、ビリー・ジョエルの思い出の曲が話題にあがったのですが・・・・肝心の曲名を誰も思い出せず、翌日全てを思いだした土川さんからYouTubeとともにメルマガさながらの爆笑メールが届きました!)
セサミストリートを録音して、大好きな箇所をつないで延々と聴いていましたね。それを聴いて情感たっぷりに真似て声に出していました。アーニーとバートの一人二役とか(笑)。今思えば我流のシャドウィングですね(笑)でもあれで、英語のリズムが身体に染み込んだのかなあと思います。翻訳でリズムって必要?と思うかもしれませんけれど、スペイン語等に比べると、英語は特にリズム感で感覚的に理解するところが大きいように感じます。いまでも、どうしても理解不能なところは何度も声に出して読んで、著者の意図を探ったりします。わかるかどうかは別ですが(笑)。

中学高校時代はそんな感じで英語に触れ、大学時代はスペイン語にどっぷりつかっていました。一年生の頃は意味もわからないのに脚本を覚えて、演劇なので当然ながら身振り手振りを加えて(笑)でもあれもスペイン語の基礎を固めるには役に立ったかなと思います。

卒業後に入社した会社では英語のマニュアルの制作をしましていた。英語以外にも得るものがすごく多くて、編集者目線で仕事をするという姿勢が身につき、今でもその時の経験がすごく役にたっていますね。3年くらい勤めて辞めてしまったのですが、少しもったいなかったな、という気もしています。でも、時に月間120時間の残業もある激務だったので・・・(笑)。この頃にはもう自分は翻訳をやっていこう!と決めていました。

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退職後は、スペイン語の講座を4〜5年受けて、その後、通信講座の講師や翻訳のお仕事を少しずついただくようになり、1999年にスペイン語の辞書を作成するという大きなプロジェクトに加わりました。結局その辞書の仕事に6年ほど従事しました。何もないところからの地道な仕事で、朝から晩まで辞書漬けの日々。苦労をすぐに忘れる人なので、記憶はすでにおぼろですが(笑)。

それが終わったときに今後の自分の進路を改めて考えました。スペイン語の辞書は作ったものの(笑)、スペイン語翻訳の需要というのはやはり少ないんですね。そう考えたときにやはり英語もやるべきなのかな、と。もともとどちらの言葉も大好きですし。それと、辞書の仕事をしたことによって金融分野に特に興味が向いたので、それ以来まっしぐらです(笑)。

最初、ビジネス英語の講座をやってみたのですが・・・経済辞書は作っても、そんな広く浅すぎる知識では金融の専門翻訳ではまったく歯が立たないことがわかり(笑)、2年かけて証券アナリストの資格をとりました。資格取得はそこそこ大変で、これまたすでに記憶はおぼろなのですが、お金と時間がかかったことは確かです(笑)。金融翻訳をするのにアナリストの資格が絶対必要というわけではありませんが、資格をとる過程で得た知識は本当に役に立つので、迷っている方にはお勧めしたいです。

Q 土川さんにとって翻訳の面白いところはどこですか。

A まず・・・私自身は何でも楽しい人なので、どこと言われても困るのですが(笑)。ありきたりかも知れませんが、やはりあぁでもない、こうでもない、と訳を考えているときですね。ぴたっとくる訳文を考え出したときは、「これでしょこれ!!」と大声あげてしまいます(笑)。

原文の内容ということで言えば、英語とスペイン語を比較してみても、同じ事件や問題を扱っているのに、その問題にあてている焦点が全然違うことが面白いですね。言語によってまったく違う見出しがついていたり、なんでこの内容でこのリード文???と驚かされたり(笑)。結論がそれですか?みたいな。辞書を作ったときに、スペイン語、英語、日本語のありとあらゆる文章をほんとにたくさん読んだがゆえの話かもしれません。そうそう、辞書を作るときは大量の原文を読まざるをえないので、これまた翻訳者の方にはお勧めです(笑)。

Q 印象に残った仕事を教えてください。

常に今やっている最新の仕事でしょうか。その時々の仕事がどれも印象に残ります。

Q リフレッシュ方法はありますか。

A 今はちょっとした豪雪地帯に住んでいるので(笑)インドアでのリフレッシュ方法が主です。でも、天文関係者の夫も私も皆既日食を見るのが大好きでして(笑)新婚旅行で行ったメキシコで皆既日食を見ました、というか・・・・それにあわせて式を挙げて旅行したと言ったほうがいいかもしれません(笑)。今まで5回ほど皆既日食を見に行ってますが、もう止められなくて。地球上の行きやすい場所で見られるとは限らず、これまたお金がかかるので、そのために仕事しているようなものかもしれません(笑)。

あとはなにせ田舎に住んでいますので(笑)年3〜4回の上京でリフレッシュしています。都会の人とは逆に、満員電車を珍しがったりして、それがリフレッシュになったりするんですよ(笑)。

Q 土川さんの今後の目標を聞かせてください。

Aやはり金融分野を極めたいですね。金融の専門家じゃないと翻訳できないよ、といわれるものを訳していきたいです。

仕事以外ですと、宇宙に行くことかな(笑)家なんかいらないから宇宙に行きたいですね。家1軒買うなら宇宙2回行けるかな、と(笑)。

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Q フリーランス翻訳者を目指している方へアドバイスをお願いします。

Aまず、ここまででだいたいおわかりと思いますが、辞書の制作を除けば私は特別なことは何もしていなくて、自分で言うものなんですが、純粋培養です(笑)。留学しなきゃだめかとか、仕事で海外に行ったことがないとだめかとか、そういう疑問をよく聞きますけれど、そんなことはまったくない!と断言できます。そういう経歴がなくていまいちいじいじしている方も(笑)、ぜひがんばってください。あ、あと、ど田舎暮らしでもいまはまったく関係ありません(笑)。

それから、以前、通信講座の講師をしていたときから感じていたことがあります。それは自分をみくびらないでほしいということです。十分実力が備わっているのに、「いや自分なんてまだまだです・・・・」という言葉を聞くと、じつに歯がゆいです。もうあと一歩踏み出せば立派な翻訳者になれるのに、と思います。もっと自分に自信を持って、「質の高い努力」と言いますか、もっと上の目標を目指してほしいなと。あとは経験だけ積めばいいのに、なぜか積まずに(苦笑)「永遠の学習者」になってしまう人がいます。自ら一歩踏み出せば、プロとの距離はグッと縮まります。それは誰かに背中を押してもらうのを待つのではなく、自分でやらなければいけないことだと思います。思い切って一歩踏み出してください。


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