TRANSLATION

Vol.39 翻訳は天職です

ハイキャリア編集部

翻訳者インタビュー

【プロフィール】

Luca Barestra ルカ・バレストラ
イタリア出身
2009年大阪大学大学院文学研究科比較文学専攻修士課程修了
日英、日伊のフリーランス翻訳者。
いつも謙虚な姿勢で幅広い分野にわたってお仕事をお引き受けしていただいているバレストラさん。
今回は留学先の上海から翻訳イベントのために来日されると聞き、色々お話しを伺うことができました。

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Q イタリアのご出身ですが来日までのいきさつをお聞かせください。

A.高校時代から語学が好きで高校のときに英語とフランス語を勉強していました。

大学に入る時にインド・ヨーロッパ語族ではない違う言語を勉強したくなって色々考えだしました。

最終的には日本語を選んだのですが、そのきっかけは当時すでにイタリアではメジャーになっていました日本のポップカルチャーです。ヨーロッパでは本当に主流になっていて日本のアニメ、特にマンガのキャプテン翼や北斗の拳の影響が大きかったです。子どもの頃からテレビでよく見ていただけですが。おそらく私の世代の西洋人で日本に興味を持つきっかけはそんなところからが多いと思います。大きくなってからは北野武の映画に影響されて日本の文化や語学に興味を持ちました。

そういえば、昔イタリアでも「Takeshi Castle (風雲!たけし城)」を放送していたんですよ!

イタリアはフランスと同じくらいヨーロッパの中でも日本のポップカルチャーが一番はやっている国だと思います。

高校時代に学んだ先生に日本語を勉強したいと相談しましたら、イギリスのダラム大学の東アジア研究学部(現在はなくなってしまった学部だそうです)を推薦してくれました。早速インタビューを受けにいきました。その学部は20名前後の規模で、授業の内容も語学の実践にかなり特化してすぐに入学を決めました。4年間通いましたが、1年間だけ交換留学生として仙台市の東北学院大学へ行きました。20歳のときでした。

その時は全てが新鮮でしたね。不安はありましたが、故郷のイタリアからイギリスの大学へ進学するときの不安な気持ちに比べたらまったく問題ありませんでした(笑)

ホームステイも経験しましたが、大学が用意してくれたアパートに住んでいました。

この仙台での1年間は本当に充実していました。初めてきちんと日本語が話せる気がしました。年齢的にも若かったせいか、吸収力がよかったと思います(笑)今上海で中国語を勉強していますがその時のことを思うと格段に吸収力が落ちたことを実感しています(笑)

仙台での留学生活を終え、イギリスにもどり2005年に卒業しました。

友人のすすめで4年生のときに日本の文部科学省の奨学金に応募しました。

実際の奨学金をもらえるのは1年後だったのでもらえるまでの1年間は北京に留学をしていました。

奨学金をもらうと研究生という扱いになり、日本の大学の入学試験を受けることができました。2006年の秋に大阪大学大学院の文学部に入学しました。

そこで、比較文学の勉強と、翻訳理論を勉強し卒業してそのまま大阪に住んでいました。(現在は上海へ留学中)

Q. 翻訳をご職業にされようと思われたのはいつごろでしょうか。

A. 大学時代から仕事をするなら翻訳の仕事をすると決めていました。日英、日伊です。

ですので、大学院での修士課程を終えた時に、博士課程に進むか何か仕事をするか悩みました。その時に自分にはどんな仕事が向いているのか、向いていないのか、を真剣に考えたときに色々な経験を振り返ってみたときに自分には翻訳の仕事が向いていると改めて感じました。

現在は数社からお仕事をいただいておりますが、初めてフリーランスとして翻訳のお仕事をいただいたのは実はテンナインさんからだったんです。

Q. 翻訳の仕事の面白さについて教えてください。

A. 自分の大好きな語学に常に関わっていられるので全てが面白いです。

特に綺麗な日本語の原稿を翻訳をするときは綺麗な英語にするのが楽しくて仕方がないです。また、翻訳をすればするほど自分の日本語がどんどん向上していくのを実感することが面白いですね。

天職というと少し照れくさいですが(笑)翻訳の全てが本当に面白いです。

仕事の面白さとは少し違いますが、ネット環境さえ整っていればどこででも、いつでも仕事ができる「Free」なところはすごく気に入ってます(笑)

Q. 失敗談などがございましたら教えてください。

A. 結構あります(笑)最近テンナインさんからいただいたお仕事なのですが・・・・基本的にご依頼は全てお引き受けしようという姿勢を持っているのですが、分量と時間配分をきちんとわかっていないまま大量のお仕事を引き受けたことです。

自分が納得いくまでリサーチしきれなかったので本当に申し訳なかったと思います。

Q. 翻訳の合間のリフレッシュ方法はありますか。

A. 筋トレです!!(確かに鍛え抜かれた体をしていました。写真でわかりにくいのが残念です)もう一つは小説を読むことです。最近はトルストイやドフトエスキーのようなロシアの現代文学をよく読んでいます。

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Q.今後の目標はありますか?

A.将来的にはやはりフリーランス翻訳者で仕事をしていくことですが、それを考えると今の目標は一時的にどこかの企業でオンサイト翻訳者として経験を積むことです。その経験をもとに人としても成長してより良いフリーランス翻訳者になることです。

Q. 翻訳者を目指している方に向けてのメッセージ・アドバイスがありましたらお願いします。

A. 2つあります。

まずは、オンラインのリソースをきちんと活かすことです。無料でダウンロードできるものは積極的に活用するべきだと思います。

ふたつめは、人とのつながりを大切にすることです。翻訳者になるにはどうしたらいいのかまったくわからなかったのですが色々な人に相談して教えられて今日まできました。今回はJATのイベントに参加するために東京へきたのですが、積極的にそういったイベントに参加してたくさんの翻訳者さんと接して情報交換をしたり、交流をもつことは大切だと思います。

編集後記

「若い男性の翻訳者さん」に私自身興味津津だった(笑)のでどんな人かあれこれ想像(妄想に近い??)していました。イタリア人らしからぬ(失礼!)シャイな方でしたが「ちょっと照れますが、翻訳は天職です」ときっぱりとおっしゃられた姿は印象的でした。目指す翻訳者の姿に向かって今の自分に足らないものは何かを常に考え、先輩の翻訳者さんからのアドバイスを真摯に受け止めながら前進している様子は私自身も勉強になりました!お忙しいところありがとうございました!

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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