INTERPRETATION

第3回 Bandwagon Fans

木内 裕也

Bazinga!

 アメリカに留学経験のある人は、きっと多くのアメリカ人が卒業した学校や家族の通う学校に対して非常に忠誠心を持っていることに気づいたことでしょう。お正月に行われる全国高校サッカー選手権や、春夏の甲子園を除けば、なかなか高校のスポーツが数千人の観客を集めることはありません。中学校であればなおさら。大学であっても、多くの観客が集まることは、日本では珍しいです。しかしアメリカでは、大学スポーツを筆頭に、高校や中学、そして小学校のスポーツまで、試合には家族だけではなく近所の人々や卒業生が集まります。

 私の住むミシガン州には、University of MichiganとMichigan State Universityという大きな州立大学があり、フットボールやアイスホッケー、バスケットボールなどの試合には数万人の人が集まります。母校に対する思いが非常に強いため、それを利用したマーケティングも盛ん。Tシャツやトレーナーといった洋服だけではなく、家や車のアクセサリー、キャンプグッズ、毛布など、あらゆるものに大学のロゴが入って売っています。卒業生や在校生、そしてその家族はこぞってそんなグッズを購入して学校を応援します。

 しかし中には特につながりがあるわけではないけれど、「強いから」「人気があるから」という理由で応援するファンも多くいます。そんなファンを指して言うのが、Bandwagon Fansです。例えば、数年前にボストンレッドソックスがワールドシリーズで優勝しました。私はちょうどその頃ボストンに住んでいたのですが、それまで特に野球に関心を示していなかった人たちまで、突然レッドソックスファンになったものです。そんなファンもBandwagon。He jumped on the bandwagon and became a Red Sox fan. と言うことができます。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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