HOME > 英語の勉強 > すぐ使える英語表現

放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第182回 「~をあてにする」

hang one's hat on ...(~をあてにする)

If you want to win the match, you should not just hang your hat on your teammates. You must also do your best.

(試合に勝ちたいならチームメイトをあてにするだけではだめだよ。君もベストを尽くさなきゃ。)

「~をあてにする」は英語の略式表現でhang one's hat on ... と言います。hatの語源はhoodと同じです。「帽子」という意味ですが、capやberetとは異なります。hatの場合、「山(crown)」と「縁(brim)」があるのです。

hatを使った英語表現は色々あります。たとえばHold on to your hat.は「帽子を飛ばさないよう注意しなさい」という意味のほかに、「聞いて驚くな、いいかい」という語義もあります。また、hang up one's hatは「他人の家などでくつろぐ」「引退する」ということです。Keep it under one's hatは「内緒にお願いします」、hat in handは「かしこまって」です。

ところでサッカー用語にhat trickがあります。これは一人の選手が3点を1試合中にゴールすることです。もとは賞として帽子が与えられたことからこのフレーズが生まれました。そう言えば、以前イギリスのテレビを観ていたとき、番組のエンドロールにHat Trick Productionsという社名がありました。会社のウェブサイトを見てみると、かわいいロゴマークが。ウサギが山高帽の中から人間を引っ張り出しているイラストです。「聴衆にサプライズを提供したい」という会社の願いが込められているそうです。


第181回 「ギリギリの生活をする」

live on the edge(ギリギリの生活をする)

We must not forget about the refugees. The have lost everything and are living on the edge.

(私たちは難民のことを忘れてはいけません。すべてを失ってしまい、ギリギリの生活をしているのです。)

live on the edgeという表現を初めて聞いたのは、車を運転していたとき。私はエンジンをかけると必ずラジオのAFN(米軍放送)をオンにします。シャドーイングをしたり同時通訳をしたりと車内でもあれこれ楽しみつつ勉強に結び付けようと思っているのです。珍しいフレーズが出てきた際には頭の中で記憶し、赤信号で止まった際、大急ぎでメモ用紙に書き出しています。上記の表現もそのようにして書きとったものです。

live on the edgeを辞書で引くと「きわどい人生を送る」「危険と隣り合わせの人生を送る」などの意味が出てきます。edge自体は「刃物の刃、縁、へり」などの他に「危険、瀬戸際」などの語義も存在します。また、動詞としても使うことができ、たとえばedge one's voiceは「語気を鋭くする」という意味です。

ところで日本語でも「エッジの利いた」という表現がありますよね。この場合のアクセントは「ジ」が強く読まれます。一方、英語のedgeは冒頭のeに強勢が来ます。考えてみればスマートフォンのLINE(ライン)も後半の「イン」が強いですよね。英語と日本語の強勢の違いを調べてみると色々あり、興味深く思います。


第180回 「維持する」

hold up (維持する)

One dollar is holding up at 105 Japanese Yen.

(1ドル105円を維持しています。)

放送通訳現場で私が難儀するのが「句動詞」。基本動詞に前置詞などを付けたフレーズです。give in、get along withなどがありますよね。意味を知っていれば問題なく訳せます。けれども語義を知らないと、非常に訳しにくいのです。同時通訳ですので、だんまりを決めてしまっては放送事故になりかねません。文脈から連想して苦し紛れの訳になることもしばしです。

先日AFNを聞いていた際、耳にしたのはhold upという句動詞。今回ご紹介するフレーズです。私は外出中にラジオを聞くことが多いのですが、そこで知った単語で未知のものがあれば、なるべく手元のメモ用紙に書くようにしています。よって、メモ帳とペンはバッグの一番取り出しやすいところに入れています。

さて、このhold upを電子辞書の「成句」機能で調べると、実に多くの語義が出てきました。「支える」「維持する」などがいずれの辞書でも上部に掲げられています。それ以外の意味もたくさんあります。たとえば、hold up a person to derision(人を笑いものにする)、That excuse doesn't hold up anymore!(その言い訳はもう通用しないんだよ!)、How are you holding up? (調子はどう?)などです。句動詞の勉強は私にとって一生続きます!


第179回 「~する余地がない」

not have the bandwidth to ...(~する余地がない)

I'm afraid I do not have the bandwidth to do the project now. Can you ask me later?

(今はそのプロジェクトをする余地がないんです。また後日、聞いてもらえますか?)

「~する余地がない」「これ以上は無理」を英語ではdo not have the bandwidth to ... と言います。bandwidth自体はラジオの周波数の「帯域幅」という意味です。他にも口語表現で「処理能力」という語義があり、この表現が生まれました。

私がこの言葉に出会ったのは、アメリカのとあるニュースサイトでした。最近のサイトは広告収入を得るために、ニュース動画を視聴する前に企業広告が流れます。そのCMの中にこのフレーズが出てきたのです。15秒ほどのCMは、急いでいるときほどまどろっこしく感じます。けれどもその中に出てくる英語や日本語を通訳してみようと考えれば、立派な勉強時間になります。「ちりも積もれば山となる(A penny saved is a penny earned)」です。

ところでラジオの「周波数」は英語でfrequencyと言います。一方、NHKラジオ第1放送を聞いていると「JOAK(ジェイ・オー・エー・ケー)」という言葉が時々聞こえてきます。このJOAKは「呼出符号」です。アメリカの呼出符号の場合、ミシシッピ川を境に東西に分けています。「WBUR」などとWで始まる場合は東側、「KWEM」などKが頭文字の場合は西側という具合です。


第178回 「突き止める」

nail down (突き止める)

Why did the sales figure drop? We need to nail down the cause..

(なぜ売上高が落ちたのだろう?原因を突き止めなければ。)


英語で「突き止める」をnail downと言います。動詞と前置詞から成り立つこのような表現を文法用語では「句動詞」と言います。実は放送通訳現場で私が一番苦労するのが句動詞。もとの動詞の意味と異なる語義になるため、全体の文脈から推測して訳すことがしばしあります。出てくるたびに辞書で調べて勉強です。

nailは「爪、くぎ」という名詞の他に、「くぎで打ちつける」「嘘を暴く」などの意味があります。今回ご紹介するnail downは決定や合意をこぎつけるというニュアンスだけでなく、無理やり人に「意向をはっきり言わせる」という語義もあります。皆さんもぜひ辞書の例文検索機能で調べて、様々な用法を身につけてください。

さて、紙版の「ジーニアス英和辞典」でnailを引くと、くぎの詳しい図が出ています。「頭部」はhead、「胴部」はshankとあり、ねじの構造も図解になっています。さらにインターネットで調べたところ、ねじには「おねじ(male screw)」と「めねじ(female screw)」なるものがあったのですね。知りませんでした!



2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。 「放送通訳者・柴原早苗のブログ」 http://sanaeshibahara.blog.
so-net.ne.jp/