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放送通訳者直伝!すぐ使える英語表現

第137回 「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」

a laundry list (詳細なリスト、長々と書き並べたリスト)

The manager described a laundry list of projects which need to be tackled.

(部長は取り組むべきプロジェクトの詳細なリストを説明しました。)

a laundry listは「洗濯物リスト」という意味もありますが、抽象的な語義として「詳細なリスト、長々と書き並べたリスト」という意味も有します。Merriam-Websterのオンライン辞書によると、最初に使われたのは1958年だそうで、主にアメリカで使われるフレーズです。

ところでlaundryは英語の発音だと「ローンドリー」ですが、なぜか日本では「コイン・ランドリー」と言いますよね。イギリスに暮らしていたころ私はよくコイン・ランドリーを使ったのですが、お店の表示はlaundretteでした。一方、アメリカに出張した際よく見かけたのがDuds n Sudsという看板でしたね。

laundryの語源はlaunderで、「洗濯する」という意味です。launderの語源をさらに調べると、lave(洗う)から来ているとリーダーズ英和辞典には出ています。そういえばフランス語の「洗う」もlaverです。こうしてみるとヨーロッパの言語同士が近いことを感じます。


第136回 「ようやく意味が分かった」

the penny (has) dropped  ようやく意味が分かった

After a specific explanation from her, the penny dropped. Now, I can respond to her idea.

(彼女の具体的な説明でようやく意味が分かりました。これで彼女のアイデアに私からも反応できます。)

the penny (has) droppedは「ようやく意味が分かった」という意味です。主にイギリスで使われる略式表現です。hasは入れても省いても構いません。

イギリスの通貨はポンド(pound)とペンス(pence)からなっています。pennyの複数形がpenceです。ただし、「ペニー硬貨」の複数形はpenniesとなります。少々ややこしいですよね。たとえばThis notebook costs 70 pence. とは言いますが、70 penniesとは言いません。一方、細かい小銭に両替するときなどは、Please give me 10 pennies for 10 pence. (10ペンス硬貨をペニー貨10個に換えて下さい)となります。

私が過ごした1970年代のイギリスでは「シリング(Shilling)」という硬貨もありました。シリング自体は1960年代で鋳造が打ち切られたのですが、それでも流通しており、たとえば2シリング硬貨は10ペンスに相当しました。当時のイギリス硬貨は種類が多い、分厚い、重いという特徴があり、お財布があっという間に型崩れを起こしていましたね。

pennyを使ったフレーズは他にもあります。Every penny counts.(どんなに小額でも大切にせよ)、to the penny(正確に計算して)、turn up like a bad penny(歓迎されないのにしょっちゅう顔を出す)などです。ちなみにアメリカ・カナダの「1セント硬貨」もpennyです!


第135回 「多くの人を激怒させる」

stir a hornet's nest 多くの人を激怒させる

The new tax which is now under consideration may stir a hornet's nest.

(現在検討されている新しい税は、多くの人を激怒させるかもしれません。)

a hornet's nestは「大きな騒動、(大勢が怒っていて)面倒な状況」という意味です。hornetとは「スズメバチ」のこと。「スズメバチ」はその姿からyellow jacketとも言います。stir a hornet's nestは「多くの人を激怒させる」という意味です。

ところで「ハチ」にも色々な英語がありますよね。waspも「スズメバチ、ジガバチ」のことですが、一方のbeeは広い意味での「ハチ」、狭義であれば「ミツバチ」を指します。beeは「勤勉の象徴」ですが、waspは「怒りっぽい人」というニュアンスがあります。なお、bumble beeは「マルハナバチ」のことです。

hornet's nestが初めてお目見えしたのは18世紀中ごろと言われています。「ハチの巣をつついたような騒ぎを引き起こす」という状況が、この表現の語源となりました。ところでアメリカのユタ州の俗称はthe Beehive Stateです。beehiveは「ミツバチの巣箱」のことで、ユタ州の旗のデザインにもそれが描かれています。beehiveが進歩と勤勉を象徴するため、この柄が採用されたそうです。


第134回 「完全に負かす」

shipwreck 完全に負かす

Our local team shipwrecked the rival in front of sold-out crowd.

(満員の観衆の前で我が地元チームはライバルを完全に負かしました。)

今回ご紹介するshipwreckは名詞の場合「難破、沈没、難破船」といった意味を持ちます。ここでは動詞として用いられており、通常であれば「難破させる」です。ただ、この例文では「完全に負かす」ということで、試合などで相手を徹底的に負かす様子を表しています。

私がこの表現に出会ったのは、米軍放送AFNにおいてでした。AFNでは定時になるとAP Network Newsという2分間の英語ニュースが流れ、そのあと続けてFox Sports Newsが放送されます。こちらも短い番組なのですが、アメリカを始め世界の主要大会などの結果を速報しています。このshipwreckというフレーズが出てきたのも、メジャーリーグ関連のニュースでした。

ところでshipという単語の原義は「くり抜いた木の幹」です。shipを使った熟語はたくさんあります。たとえばjump ship(今の仕事を辞める)、run a tight ship(効率重視で経営する)、when one's ship comes in (出世でもしたならば)という具合です。そういえばイギリスに暮らしていたころ、BBC Radio 4で早朝にShipping Forecastという気象番組を聞いたことがあります。船舶向けの気象情報なのですが、地名とデータを淡々と読み上げるのが印象的でしたね。ちなみに日本でもラジオ第2放送で毎日夕方に「気象通報」が流れます。こちらも同様の放送です。


第133回 「優位性を保つ」

maintain an edge against ... ~に対する優位性を保つ

We should put customers first so that we can maintain our edge against our competitors.

(競合他社よりも優位でいるために私たちはお客様を第一にすべきです。)

maintain an edge against ... は「~よりも優位でいる、~に対する優位性を保つ」ということです。edgeは「端、縁」という意味のほかにan edgeと不定冠詞を付けることで「優位、強み」という意味も持ちます。edge自体はドイツ語のEcke(端)から来ています。

この表現に初めて出会ったのはAMラジオのAFN (American Forces Network)でした。AFNは米軍向け放送で、軍関連の告知番組もあります。その中でカーター国防長官が"We need to maintain our edge"と述べていたのでした。ちなみにカーター国防長官のフルネームはAshton Carter (アシュトン・カーター)ですが、アメリカのラジオやテレビニュースではAsh Carterとニックネームで読み上げることも多いようです。

ところでロンドンの北西部にEdgwareという地区があります。ロンドンの端にあるのでedgeと関係があるのではと思い、調べてみました。が、語源は「端」ではなく、サクソン時代のことば"Ecgi's weir"から来たのだそうです。Ecgiは人名で、weirは「川の堰(せき)」です。魚を取るためにEcgiが堰を作ったのではと言われています。現在のEdgwareはロンドン地下鉄Northern Lineの終点。ユダヤ系住民やヒンズー教徒、イスラム教徒なども多く暮らす多文化共生地域です。



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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
放送通訳者。獨協大学・順天堂大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。 「放送通訳者・柴原早苗のブログ」 http://sanaeshibahara.blog.
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