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第30回 生きたビジネス英語攻略―電話会議編

小熊弥生

世界衝撃TOEIC攻略法

皆様、こんにちは。

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。

前回は隙間時間をどう発見して、活用するかを私の個人的な体験を元にお話させていただきました。

多くの方から大変具体的で参考になった、まだまだ使えるデッドスーペースならぬデッド時間があることがわかりましたなど、嬉しい感想をいただきました。

ありがとうございます。

さて、今回からは何回かにわけて、目的別の勉強法についてお話していきたいと思います。

私に寄せられる問い合わせから考えると、一番要望が高いのはビジネスですぐ使える実践力で、次に転職のための英語力、昇格のためのTOEICテストスコアアップ、旅行や趣味といった自分の人生楽しむための英会話、そして通訳になるための英語力と、だいたいこういう目的の人が多いようですので、それぞれどんな勉強法があるかを書いていきます。

今までも書いてきたとおり、目的だけじゃなくて、自分の性格・ライフスタイル・職業によっても勉強法は変えるべきだと私は考えているので、どうぞ読みながら自分の心の中の声に耳を傾けてみてください。

「これならできそう!楽しそう!効果有りそう!続けられそう!」というポジティブな心の声が聞こえてきたら、その勉強法は自分に合っているということなので、是非、前回発見した隙間時間で実践してくださいね。

それでは今回は、一番要望の多いビジネスの勉強法について書いていきます。

ここは通訳者としても一番お手伝いすることが多い分野なので、方法も自分の中で一番蓄積されています。

ビジネスの勉強法といっても、プロジェクトの管理だったり、契約交渉だったり、プレゼンテーション、交渉、電話会議なので使う表現も変わってきますから、今回は要望の多い電話会議のビジネス英語の攻略法をお話しましょう。

まず電話会議ですが、通訳者にとっても顔が見えない、言葉だけで伝える、かつ回線状態が悪いことも少なくなく、声が途切れる、通訳や海外から参加してるノンネーティブがいることを忘れて隠語や略語などを多用してしまう参加者が多いなど、いろいろやりにくいことが多いのも事実です。

そこで通訳である私がどう対策しているかをお伝えする事で、どう電話会議に備えたら良いか、すなわちどう電話会議で使われる英語を習得できるかを説明したいと思います。

電話会議の前にまず参加者人数、名前と肩書き、アジェンダ(議題)、目的、会議資料を確認します。そしてできるだけ前回の議事録をもらうようにしています。

参加人数と名前が分かれば、ネーティブとノンネーティブの比率が分かります。ネーティブばかりの時にはかなり早いペースで会話が進みますから、初めに自分の存在(私の場合であれば通訳として、皆さんの場合であればノンネーティブとして)を伝えておいた方が良いことが分かります。

名前と肩書きが分かれば、どういう視点で発言するか分かります。

例えば、プロジェクトマネージャーであれば、技術的な話よりもアクションアイテムと呼ばれる「宿題」を一覧にして、誰がいつまでに完了するのかを見ていますから、そういう発言が多くなります。

ディレクターなど管理職の方は、顧客会議であれば冒頭に一言挨拶するでしょうし、最後にその会社のやる気(Commitment)を伝えるでしょう。

議題(agenda)が分かれば、まさにその会議の中で出てくる論点が分かり、これでだいたいどういう話題になるのかがわかります。

製品の新発売に向けての広告戦略についてであれば、どういう媒体でどんな露出をしていくという計画を市場調査の結果を根拠として話すでしょう。

或は共同開発の契約の条件交渉ということであれば、一社が草案した契約書を見ながら、どこをどう変えてほしいかをもう一社が伝え、その意図を説明するという話になるので、目的はどちらかというと落としどころに近いイメージでしょう。

「前回で広告戦略は起用するモデルについて先方とは合意できなかったけれど、今回で合意することを目的としている。」

共同開発の契約条件交渉であれば、

「相手の変更内容の意図を理解して、自社の法務に説明できるようにすることが目的である。」

など、私の場合は、担当者の方が実際に考えている内容を会議が始まる前に口頭で確認しています。

これが分かれば、どういう方向に会議が向かって行くのかを理解することができるので、道に迷うことが無くなるのです。ナビで目的地が入ると現在地からルートを検索できるのと同じような感覚だと思います。

そして会議資料。これは顔の見えない電話会議では特に重要です。そしてこれが必要な英単語の宝庫になります。出来る限り事前に入手しましょう。今はフリーランスですから、通訳エージェントが入手してくれていますが、社内通訳や個人で仕事を受ける時には必ず前日には手に入るようにしておきます。

まずはざっと目を通します。分からない単語、表現にハイライトをつけます。

最後まで目に通したら、今度は単語を調べます。ここで調べた単語が今の自分が見つけなければならない単語になります。

TOEIC必須単語が参考書でも売ってますが、これがまさに皆さんにとってのビジネス必須単語になります。

辞書で調べてもピントこない時もあるでしょう。

例えば、私がつまづいた単語はmilestone, benchmarkなどです。

Milestoneは辞書では

– マイル標石

– 歴史・人生などの画期的な出来事、重要な時点

と書いてあります。

ちょっとこれでは分かりにくいですね。

そういう時には私はGoogle先生に聞いています。

Milestone+意味で検索します。

そうすると、

プロジェクトの重要な節目という最も適した訳語も意味も分かるようになります。

こうして作る単語帳は本当に自分に今に必要な生きたビジネス英語の単語帳になるでしょう。

議事録は過去の発言が書かれている場合がほとんどです。とすると、肩書きからどんな発言をするんだろうという予測の域を超えて、実際、どう発言しているのかを知ることができます。

今は黙読がほとんどですが、慣れてなかった頃は音読をしていました。そうすると単語レベルでのインプットではなくて、表現自体を自分にインストールすることができるので、とても有効な勉強法です。

今でも自分が不慣れな分野の通訳をする時には事前に口で覚える、耳で覚えるために音読をしています。

ここまでが事前準備で、これがそのまま電話会議用の英語マスター法になるでしょう。

またグーグルで”conference call tips”と入力して検索するといろいろ電話会議でのエチケットが出てきますから、これを音読していっても沢山使える表現を学びながら、電話会議で暗黙の了解となっていることを学ぶこともできます。

http://www.fullcirc.com/community/telephonefacilitation.htm

電話会議ならではの表現については、とっさの場合にすぐ出てくるように頭の中でシミュレーションしてみることをお薦めします。

一般的な流れとしては、電話をつないでから、参加者の確認、資料の確認、アジェンダの確認、そしてプレゼン、質疑応答、課題の整理、次の行動・会議の設定という場合が多いようです。

よく使われる表現は下記のようなものがあります。

これは議事録には出てきませんが、電話会議では多用できますからどうぞ活用ください。

Who is on the call?(今参加中の方はどなたですか?)

Who just joined?(今参加したのは誰ですか?)

This is Oguma speaking.(小熊です。)

Can you hear me?(私の声聞こえてますか?)

Can you repeat what you just said?(今の発言繰り返してもらえますか?)

Sorry but your voice is breaking up.(すみません、声が途切れてました。)

Say that again?(もう一度お願いします。)

Does that make sense to you?(今ので分かりました?)

電話会議中はまったなしですから、上記のように多用する表現、そして自分の発言内容を筋トレのように繰り返して練習し、瞬発力を高めておくと良いです。

中級以上の方へのアドバイスとしては、同じ言い回しを頻繁に繰り返すと、レベルが低く見えますので、必要な表現を他の参加者の違う言い方をメモしておき、次回以降すぐ自分が言えるようにしておくと良いでしょう。

いかがでしたでしょうか?

今回は通訳の準備方法を元に、すぐに実践でき、かつ一番自分に必要な単語や表現を身につける方法をお伝えいたしました。

次回もまた目的別の勉強法をお伝えしていきたいと思います。

どうぞお楽しみに。

Written by

記事を書いた人

小熊弥生

同時通訳者。ビジネスシーンを中心に活躍し、数百億円規模の商談に多数関わってきた。アンソニー・ロビンズ(世界的ベストセラー作家)やノーベル物理学賞受賞者の来日講演、F1ドライバー(ヤルノ・トゥルーリー)の取材、アメリカ最大のプロレス団体WWEの来日記者会見など、数々のイベントでも通訳をつとめる。 短大入学時点では、英語力は平均以下だった(英検四級、TOEIC280点)。それが独自の勉強法を駆使した結果、3年後には通訳デビューを果たす。フジテレビ番組『世界衝撃映像社』に、「通訳」としてレギュラー出演。

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