INTERPRETATION

Vol.3 「一つ一つ自分の中に蓄積されていくのが楽しくてしょうがない」

ハイキャリア編集部

通訳者インタビュー

【プロフィール】
須田まどかさん Madoka Suda
上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。大学時代、アルバイトで通訳を経験し、卒業後は大手保険会社に10年間勤務、再保険に関わる。通訳学校での勉強と仕事の両立をはかり、通訳志望者対象の原子力発電勉強会にも参加。2003年6月社内通訳者となり、本格的通訳デビューを果たす。

Q. もともと通訳を目指していたんでしょうか?

一つ一つが自分に蓄積されていくような仕事がしたいと常日頃思っていました。通訳者さんは皆自信に溢れていて、前向きですよね。常に勉強し続け、その結果が次に繋がっていくのは、とてもやりがいがある仕事だと思いました。自分の仕事が誰かの役にたっている事を直接実感できるのも魅力です。10年間事務をしてきましたが、これからは興味を持って前に進んで行けることをしようと、学生の頃から憧れていた通訳を目指そうと思ったんです。

Q. どのように勉強を?

通訳学校に通いました。今も継続して通っています。勤め始めて4年目から通い出したんですが、途中で一旦辞めてしまったんです。でもやっぱりどこかで気になっていて、また通い始めました。とにかく無我夢中でしたね。現在も学校の宿題と予習復習で手一杯です。その他にも、単語や言い回しを覚え、英字新聞を読むようにしています。
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Q. 通訳としての初めてのお仕事は?

学生時代にアルバイトで経験した、テレビコマーシャル撮影通訳です。そうそう、大学では通訳の授業を取っていたんですよ。撮影通訳の仕事は内容的にそれほど難しくなく、私自身もちょっと英語が出来れば出来るかな? ぐらいの気持ちでした。学生だったので、仕事というよりも、とにかくいろんな人に会うことができて楽しかったのを覚えています。

Q. 一番印象に残っているお仕事は何ですか?

これも学生の時ですが、ある美容院がイギリスに出店するときの申請通訳です。場所が大使館だったこともありますが、今までやってきた仕事とは違いましたし、会社の業務内容などを全部頭に入れておかないといけないわけです。ものすごく勉強しましたし、当日も早起きして準備しました。
一番おもしろい、という意味では今の仕事です。初めての社内通訳ですが、毎日新たな問題にぶつかり、それを何とかクリアする事が楽しいです。将来的にはフリーランスになれたらいいなと思いますが、今は社内で毎日通訳の場を与えて頂けるので、とても勉強になっています。感謝しています。

Q. 現在のお仕事について教えて頂けますか?

放送関係の会社で働いています。毎日9時半に出社し、大体一日中通訳をしています。制作部に所属しており、通訳する内容は営業戦略・人事関連・財務関連など本当に様々です。今は大分慣れて来たので、「この人とはこういう話になるな」とか、「これは同じことの繰り返しだな」とある程度予想出来ますが、どんなことを話すか全く分からない営業戦略や人事関係などだと、30分もやるとげっそりして、「もうしゃべりたくない……」という気分になりますね(笑)。でもとにかく楽しいです。
毎日同じことの繰り返しの事務作業に疑問を感じ始めていたのが、会社を辞めた原因の一つだったので、今は毎日新しいことばかりで楽しくて仕方ありません。これは何て言うんだろう?、こんなニュアンスを理解してもらえるかしらということが毎日何度もあり、怖い反面、チャレンジングです。分からないときは辞書を引いたり、例を用いて説明したりします。ほんとに毎日新しい単語を覚えますねぇ(笑)。

Q. 通訳学校に通いながら、仕事で通訳経験が積めるのはラッキーですね。

そうなんです。急成長している会社なので活気もあり、忙しいこともちっとも苦になりません。働いていてとてもおもしろいんです。上司も本当にいい方で、いつも感謝しています。役員会議の通訳に駆り出された時、ものすごく緊張して最初うまくスタート出来なかったことがあったんです。見かねた先輩通訳者が代わりに訳してくださったんですが、隣にいた上司が紙にニコちゃんマークを描いて、「がんばって!」と言ってくれました。私は本当に恵まれていると思います。

Q. これから通訳を目指す方へのメッセージをお願いします。

私もまだまだ「目指す方」なんですが……(笑)。失敗したらどうしようと思うのではなく、ひたすら前進あるのみです。(もちろん、ご迷惑をおかけしない範囲でですが。)ダメならダメでそこから何かを学ぶし、前に進めばいいんです。果敢にチャレンジしていけばいいと思います。私もそういう気持ちでやっていますから。

<編集後記>
毎日が楽しくて仕方ない、と何度もおっしゃっていましたが、須田さんの温かいお人柄は、どこに行っても愛されること間違いなし! 私が男性だったら、彼女にしたい人ナンバー1です(笑)。

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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