INTERPRETATION

第2回目:パナガイド編(ヘッドフォンについて)

吉岡余真人

通訳者のための現場で役立つ同時通訳機材講座

みなさんこんにちは。

暑い夏から、やっと秋になりましたね。

でも通訳をされているみなさんは、いよいよ繁忙期ですね。

第2話以降はテーマをより具体的にし、すぐに活用できるお話をしていきますのでお楽しみに!

今回はヘッドフォンについてお話をします。

通訳をする際にみなさんはヘッドフォンをお使いになると思いますが

大きく分け、以下の3種類に大別されます。

1.オーバーヘッド型

 頭にかぶるタイプで別名ヘッドバンド型とも言われる。

 比較的大きめのサイズであるため主に室内のリスニングに用いられる。

 長所として

 ・イヤホンなどと比べるとスピーカ部分が大きいため小さな音を拾いやすく、

  表現力、解像度に優れる。

 ・装着が簡単

 短所として

 ・頭にかぶるため、髪型に影響します。

 ・長時間装着の場合、耳に圧力がかかり疲れます。

 ・人によっては耳に汗をかき、暑く感じます。

①.jpg

上の写真はテンナインで導入している、オーバーヘッド型です。

スピーカ部分が上下左右に可動し、耳への装着感を高めています。

2.インナーイヤー型

 インナーイヤーは俗にイヤホンと言われ、耳の中に差し込み聴取するタイプのヘッドホン。

 ポータブルプレーヤーを購入すれば付属する事が多い。

 長所として

 ・携帯性の良さ、省スペース性があり音漏れしにくく程度に遮音性があるため、

  外出時の音楽鑑賞用に多用される。

 ・耳の中までフィットするように設計されたものが多いため、激しい運動をしても脱落しにくい。

 短所として

 ・形態上ドライバ部位が汚れやすく、頻繁なメンテナンスが必要。

  また、耳の新陳代謝を塞ぐ形になるため、長時間つけていると違和感を覚えます。

②.jpg

3.カナル型(最近流行の密閉式)

 カナルとは外耳道(earcanal)の意味で、インナーイヤー以上に耳穴の内部までより深く差し込んで使用するヘッドホンのことです。

2-3.jpg

 長所として

 ・耳穴に挿入するため、密閉感が強くあり音声を集中して聴くことができます。

 短所として

  密閉感があるため、外部の音声が聞こえずらいので

  会議の開始をモニターしながら行う場合には片耳を外すなどの工夫が必要です。

  音楽を聴きながら寝る場合も、目覚まし時計が聞こえないことがありますので

  使用には注意が必要です。

2と3のインナータイプは衛生上の理由から、機材レンタルでは持参しておりません。

しかし、1のオーバーヘッド型と2.3のインナータイプでは、音がよく聞こえる明瞭度が全く異なります。

選択にあたっては下記の3点を考慮されてはいかがでしょうか?

1.衛生上気にならない、音もふつうに聞こえればいい方は1のオーバーヘッド型

2.音に集中されたい、でも周りの音声も確認したい方は2のインナー型

3.周りの音とは隔離し、集中したい場合、3のカナル型

また、購入の際は量販店などで、実際に自らのIpodなどで普段よく聴く音楽などで試聴してみてください。

無意識にいい音と感じるヘッドフォンが、あなたにフィットする No1です。

参考までに人間が聞こえる可聴域(聞くことができる音階)は

20Hz~20,000Hzと言われていますが、年齢を重ねると高い音声が聞こえにくくなります。

ヘッドフォンのカタログに再生周波数帯域の記載がありますが

この帯域の幅が広いほど、高性能なヘッドフォンといえますが、人間の可聴域から考え

たくさんのヘッドフォンを聞いてみてください。

私個人の感想ですが、

日本のヘッドフォンメーカーではオーディオテクニカ

海外では米国のSHUREをおすすめします。

(参考資料:http://www.enjoy.ne.jp/~k-ichikawa/kachou_ryouiki.html

ではまた次回。

Written by

記事を書いた人

吉岡余真人

東京オリンピック開催直前 1964年8月に東京葛飾金町にて産声を上げました。専門学校卒業後、稼業の理髪店を経営するが、オリンピックで開催される国際会議にあこがれ、1989年同時通訳機材会社に就職し、東京サミット、APEC大阪、ADB福岡会議の機材運営に携わる。長野オリンピックでは組織委員会にも在籍し、ローザンヌのIOC本部にも出張し、すべての会場の同時通訳機材運用を統括。第107回IOC総会、理事会、メインプレスセンター、選手村、IBC国際放送センタースポーツ調停裁判所、医事委員会などの同時通訳機材運用を統括する。
その後大手通訳会社にて通訳コーディネーターとして勤務し、社内ベンチャーで機材会社を設立。退職後2005年からは舞台を中国に移し、国際会議ディレクターにて活躍。2008年北京オリンピックでは東京五輪の招致記者会見の通訳・機材の運用に携わり中国および東南アジアでの国際会議を運営する。上海・バンコクの通訳会社にも所属し、東南アジアを駆け巡る日々を送る。
2013年から2017まで株式会社テンナイン・コミュニケーションに在籍し
2017年8月からバルビエコーポレーション株式会社を設立し現在に至る。

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