INTERPRETATION

日経読んでますか?

上谷覚志

やりなおし!英語道場

皆さんは新聞を定期購読されていますか?気が向いたときにだけ、売店で買って読むという方もいらっしゃるかもしれませんし、もっぱらネットで情報を取っているという方もいるかもしれません。通訳現場の待ち時間、自宅から持ってこられた新聞を広げる通訳者の方もたくさんいらっしゃいます。

通訳という仕事柄、会議で予想外の話になることも珍しくありませんので、情報のアンテナを広げておくことはある意味通訳者の嗜みといえると思います。中には複数の新聞を日本語と英語で定期購読されている完全武装通訳者もいらっしゃいますが、ほとんどの方がいわゆる“積読”になっているのではないでしょうか?

私も日経新聞とNIKKEI WEEKLYを定期購読していますが、後者は教材作成用という位置づけで捉えており、教材作成という観点から使えるかどうかで読んでいます。日経は正直“一面を本当にさっと見る”という感じで、十分情報を取りきれていないのが現状です。よく考えると新聞の読み方って習ってないですよね?理想は一面から最後まで読んでいけばいいのでしょうけど、普通に読むだけでもかなり時間がかかりますし、それを毎日続けていくとなるとよほど意志が強い人でないと無理だと思います。

先週日曜日に知り合いの通訳者の紹介で、日経の読み方に関する1日セミナーに参加してきました。講師は細矢明信先生で、株式会社日経スタッフ教育事業部リーダーをされていた方です。日経をどのように読みこなし、知識を知恵に変えるかという研修をこれまで延20万人の方にされています。

書店に行けば、“日経の読み方”といった類の本はありますし、私自身学生のときに本を買って読んでみたことがあります。確かその本はXX面にはXXに関する情報があって、何曜日にXXというコラムが掲載されますといった新聞の構成を体系的に説明されていたような記憶があります。“興味のあるところを読んでください”とも書いてあったような気がします。新聞の構成を理解することは大切ですが、“ぶちゃけ構成がわかったところで結局は全部読まないといけないんだよね・・・”っていう話になってしまいますし、“好きなところ”といわれても、結局はわかるところをちょこっと読んで終わりになってしまいますよね。

この講座では、新聞の中見出しから読み始めて、次に右端の表のXXを確認するといった具合に、全部読むという前提ではなく、どこにどのような情報があり、どう読みこなしていけばいいのかまで教えてくれます。

同時に、経済やビジネスの基礎的な話もありますので、そういう分野が苦手な人にとってはすごく役に立ちます。例えば今の国債利回りからどう景気を読んだらいいのか、株価との関連は?といった統計や指数をどのように情報として捉えるかや、市況や商品市場の動きを数字から追っていくことで、エコノミストのように少し先の経済の姿を予想する方法も学べます。新聞からどのように情報を捉え、数字から見える事実を知恵に変えるのかを学べるわけです。

今回の講義は午後1時から5時までの4時間でしたが、これでは足りないくらいで、100円ちょっとの新聞にこんなにも情報が詰まっていて、これまで情報をこんなにも見落としていたのかと思い知らされました。まだ今回のセッションだけでは理解していない部分も多いので、また9月開催の終日講座を是非受けてみようと思っています。もう少し内容を自分でも整理できたら、またいつかこのコラムでもご紹介していきたいと思います。

今回は英語には関係ない内容でしたが、語学を勉強する上で背景知識の強化を切り離すことはできません。やみくもに新聞を読むよりも、書かれていることから自分が使える情報(インテリジェンス)に変えていく術があるのとないのとでは全く語学習得や会話のないように雲泥の差が出てきます。

ご興味のある方は www.niee.co.jp(この講座を企画運営されている会社のサイト)を一度ご覧ください。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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