INTERPRETATION

第127回 数字に強くなるために その1

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

通訳の場では、どんな分野であっても数字が出てくることが多いのですが、数字に対して苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。そこで、数字への苦手克服のために役立つ内容を取り上げていきたいと思います。

1.数字の変換練習

まず基礎練習として数字の変換練習をする必要があります。英語での数字の読み方は、マスターしていますか? 数字を英語に変換するサイトもありますので、大きな数字や小数点以下の読み方など、まだ自信のない桁があれば確認するとよいでしょう。とび数や、万・億 (million, billion) の単位は間違えやすいので特に繰り返して練習するとよいと思います。

2.単位

数字を正しく聞き取れて日↔英変換ができても、単位を聞き取ることを忘れては通訳として意味をなさなくなります。話題になっている数は売上高なのか、販売台数なのか、顧客数なのかなど、単位と共に理解して訳しだすことが大切です。

3.文脈

数字が出ると「急に緊張して、数値を正確に書き出してちゃんと訳すことに必死になって文脈を忘れてしまう」というのはよくあることです。もちろん私も経験済みです(苦笑)。でも、文脈から「この数値は正確に訳す必要がある」のか、それとも「大まかに捉えて流れを訳せばいい」のかを判断する必要があります。

例えば、自動車部品の開発の話では小数点以下もすべて正確に訳す必要がありますが、企業の売上高の話ではthree point one two million yenを「三百万円を少し上回った」と訳しても文脈によっては問題ないかもしれません。通訳は時間との勝負であり、そのときそのときの自分のキャパシティを考慮し、数字の細かいところまで正確に訳すことで文脈を見失う可能性があるときは状況判断をして文脈を優先させたほうがよい場合があることを念頭に入れておくとよいと思います。

4.よく出る数字

通訳の場で、よく出る数字というのがあります。一般常識的な人口や株価、経済成長率、失業率などについて世界、日本、米国、その他自分がかかわる案件と関連した国の数値を確認し、英語・日本語の両方でさっと言えるように練習しておくとよいでしょう。

また、案件ごとによく出る数字というのがあります。IRなら、担当企業の売上高、利益率、配当性向など、同じ数字が何度も出てくるので、スムーズに訳せるように準備するとよいでしょう。

5.数字と共に使われる表現

数字の出る文脈でよく使われる表現というのがあります。これは本コラム第40回第44回で連載しましたが、まだまだあるので次回から数回に分けて取り上げます。ふだんから数字が出たら、その文で使われている動詞などに注目するようにすると語彙力アップにつながるでしょう。

以上、通訳現場で数字が出てもあせらずに訳せるようになるための対策を紹介しました。お役に立てば幸いです。

2018年2月26日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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