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なぜ? なぜ? なぜ?

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通訳・翻訳者リレーブログ

思えば人生、“なぜ? なぜ? なぜ?”と問い続けてばかり。その繰り返しであります。

この“なぜなぜ人生”が始まったのは、小学校4年時。カナダから帰国し、日本の学校に編入学してまもない頃……。

なぜ思っていることを言わないの? なぜ真正面からぶつかっていかないの? なぜ裏表があるの? なぜクラスの中が、“仲良しグループ”に分かれているの?

でもここでは、ひとりで行動しない方がいい。どこかのグループに入っておいた方がいい。みんなが“赤”と言ったら、自分も“はい、赤で〜す”と言い、何か聞かれたら、“右に同じで〜す”と言った方がいい。
自分の思いを言ってはいけない。みんなと同じであった方がいい。とにかく目立ってはいけない。ヘラヘラしていた方がいい。その方が無難。

いじめに遭ったとか、仲間外れにされたとか、そういう哀しい経験は、一切ないのですが…。でも幼いなりに、空気を読み、そうして悟ったような気がします。

そうそう、ある同年代の仕事仲間の話。
小学校の美術の時間。絵を描いていた時、家の壁を黄色に塗ったら、“そんな色の壁はおかしい”“そんな色はあり得ない”と先生に注意され、泣く泣く色を変えた…ことがある…のだとか。忘れられない話。
なぜ先生がそんなこと言うの? なぜ黄色ではダメなの?

なぜ給食の時間に歩き回るの? なぜ牛乳を一気飲みするの? なぜパンを丸めて食べるの? なぜ早食い競争をするの?

なぜ? なぜ? なぜ?

そうして南米から帰国後の、高校3年時。大学受験シーズン。
なぜ同じ大学の複数の学科を受けるの? なぜまるで違う学科をあれこれ受けるの?
直前まで通っていた、南米アメリカンスクール友だちは、みんな将来やりたいことがはっきりしていて、希望する大学も学科も絞っていたから…。

だから……なぜ? なぜ? なぜ?

そうして入学後。
英米文学に、特に興味あったわけじゃないし〜。授業、全部は出ないし〜。バイト、忙しいし〜。それに昨夜も、医学生との合コンだったし〜。

なぜ時間&お金を無駄にしてまで、大学に通うの?

とにかくキャンパスが素敵な場所にあるし〜。有名な大学だし〜。それに遊びたいし〜!
そうして“大卒”の肩書きは、絶対に欲しいし〜! (;一_一)

それにしても…なぜ医学生ばかりが、あんなにモテたんだ?
いまでもそうなのか?

一方、教授たちはと言うと、ひたすら話すだけ。
刺激を求めて入ったのに、これには物凄くがっかり(地獄の同時通訳クラスなど、2—3の授業を除いては…)。
なぜ一方通行なのだろう? なぜ議論や話し合いをやらないのだろう?

そうして大学4年時。就職活動期。
相変わらず、やりたいこともなく、進みたい道も定まらず。女性の多くは、“一生働く”“何かを追い求める”という概念は希薄。会社選びの基準は、この時もまた、イメージ、知名度、場所! 世間体!!

な…なぜ? なぜ? なぜ?

“働くこと”に対する、自覚も意欲も拘りもない大学生。そうしてそんな相手を、どんどん採用してきた企業。それで成り立っていた“幸せな”社会。あの時代は、いったい何だったのだろう…。昨今の“就職難”の報道を聞くにつけ、あれこれ考え込んでしまいます。

なぜ女性は、“学歴”とか“地位”とか“世間体”など、そういう無形のものを、そんなに求めるのだろう?

それに昔から伝わる、“女はこうあるべき”…像。そうして“嫁に行く”“嫁を貰う”なる言い方。みんな、なにも感じないの?
大変だわなぁ、先進国…欧米でそんなこと、言った日には…。だいたいこういう言葉、日本語以外でもあるのだろうか?

なぜ専業主婦VS.外で仕事を持つ者と、比較したり対立したり、いまだにそんなことしているの?
物凄く無意味で虚しい。互いの存在を、認め合えばいいだけの話。

なぜ他のことに頭が回らないほど、長時間働かなければならないの? なぜこの国の支援体制は貧弱なの?
でも余裕が生まれさえすれば、それで男女ともに、仕事に家庭に目を向け、働く意欲も湧くのだろうか? そうすれば女性は、キャンキャン媚びず、会社を1—2年で辞めることもなくなるのか? 仕事を続けたい人は、ちゃんと続けられる社会になるのだろうか?
そうしたら、自分の足で立とうという気になるのか? 凛とした姿勢で生きられるのか?
いや、そんな単純なものではない…か? (——〆)

なぜ人種によって態度を変えるの?
アジア人を見る目、あれはなに? 自分たちもアジア人だということ、もしかして忘れている? なぜ欧米人が、いまだに持て囃されるの?

なぜ自分とは異なるものを、受け入れないの? なぜ異なるものを理解しようしないの? なぜ“中”と“外”、“あっち”と“こっち”と、分けて考えるの? なぜ同類だけで盛り上がりたがるの?
なぜ単純に、人間対人間の付き合いができないの?

この閉塞感は、なに??
ガラパゴス化は、なにも携帯電話に限った話ではない!

なぜ? なぜ? なぜ?

なぜ自分と他者を比べては、“勝っている”とか“負けている”とか、“幸せだ”とか“不幸だ”とか、ホッとしたり焦ったりするの?
なぜ他者を放ってはおけないの? 自分はいったい誰なん?

なぜすぐ年齢のことを気にするの?
“その年で”とか“年甲斐もなく”とか“もう年だから”…と。なぜ大学4年のあの頃、友だちの多くは、“社会人になるから、音楽はもう卒業する”なーんてこと、宣言していたのだろう?

なんだか色々と大変だわなぁ、この国は——

なぜ対話が苦手なのだろう?
まぁ仕方ないですよね。だって繰り返し書いているとおり、幼い頃から“右へ倣え”の教育を、受け続けてきたわけですから…。個よりも協調。目立ってはいけない。なのにこの期に及んで、“自己主張”やら“対話”やらの重要性を、いきなり説かれても…ね…。

なぜ英語ベタなのだろう?
これもまた、英語教育云々の問題だけではなく、この“コミュニケーション下手”にも原因があるのか? だって人と話すことが苦手な人が、外国語という道具を、上手く使いこなすことは、とっても大変なこと。苦痛でしかないでしょうから…。

なぜ群れたがるの? なぜひとりでは動けないの?
旅していると、ひとりブラブラしている外国の人は多いのに、日本の人はあまり見かけない。先日も女友だちが、“あの子、何かあったのかしら? 大丈夫

かしら?”と地元の人たちにヒソヒソ言われたと、苦笑していましたっけ…。

なぜひとりが嫌なの? ひとりは孤独だと思っているの?
“おひとりさま”という言葉が、これだけマスコミに取り上げられ、世間を賑わしているところをみると、それだけみんな、ひとりになることを恐れているのか? それともそういう状態に、偏見を持っているの?

自分と静かに向かい合う時間なくして、自分を他者を、理解することなどできないのに…。群れてばかりいると、発想の泉が枯れてしまう!!

なぜそんなに繋がっていたいの? なぜそんなに忙しくしていたいの?
誰もが幼い頃から、携帯電話を持つようになった時代。そうして日本の場合、その用途の第一位は“メール”。これが他国との大きな違い…なのだそうな。大切なコミュニケーション・ツール。メール友達の数が多いほど、安心できる。話すよりも、書くよりも、とにかく…打つ。

なぜ? なぜ? なぜ?

そうやって繋がっていられる? ちゃんと対話できている? 本当に大丈夫?

メールだと、時として言葉が直球で辛辣になる。相手の意見に耳を傾けようとはせず、一方的に攻撃し、それがだんだんエスカレートし、相手を追い込み傷つけてしまう。ネット社会の恐ろしいところ。
なぜ匿名だと、なんでも言えちゃうの?
なぜ名前を出し、面と向かい、相手の意見を尊重しつつ、気持ちを伝えることができないの??

だいたい20歳前の子供に、携帯電話など、本当に必要?
物騒なこの時代、携帯に搭載のGPS機能などは、非常にありがたいと感じてはいますが…。

なぜぶつからずに逃げてしまうの?
なぜ陰であれこれ言うの?
なぜ簡単なことをわざわざ難しくしてしまうの?
なぜすぐ損得勘定をするの?
なぜすぐ答えを出したがるの?

なぜ“こういう格好の人はこういう人だ”とか、“ああいう髪の色の人はああいう人だ”などと、見た目やイメージなどで、人を決めつけてしまうの?

なぜ人の目ばかり気にするの?
なぜ学歴とか地位とか肩書きとか、そういうモノで人を判断するの?

なぜ? なぜ? なぜ〜〜?

——疑問符で一杯の人生。

それでも、この世界に身を置くようになってから、諸々の“縛り”から解き放たれ、心が軽くなった気がします。

此処は“個”を尊重する世界。
だいたい芸術家というのは、そんな小っちゃくまとまっちゃいない。そんな狭いところでは生きていない。
固定観念や社会概念に捉われず、偏見や先入観なく、人種差別や性差別に、疑問や抵抗感を抱き続けてきた人々。それがまた、彼等の創作欲の源、活動の原動力のひとつでもあるわけで…。
だから……音楽家であり、ロックなのです。

なぜ柔軟な頭&心でもって、“なんでもアリ”…とは考えられないのだろう? それでいいのに…。

でも……
何だかんだ言っても、私はこの国が好き。しょうもないと思うところは、数多くあるけれど、それでも、そんなところをも含めて、この国が愛おしい。何処よりも。だからこその、“なぜ? なぜ? なぜ?”……なのです。
あしからず!

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記事を書いた人

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

END