INTERPRETATION

「ロルフィング」

木内 裕也

Written from the mitten

 ミシガンでは雪が珍しくない季節が訪れました。4月にスタートしたサッカーシーズンも終わり近づき、暖かい地域で行われる試合での審判を担当する以外は、一気に試合数が減少する時期です。今年の冬も、長距離移動をしての試合が予定はされていますが、10月までのように、週に何試合も試合をこなす、という生活は来年の4月までお休みです。

 この時期に重要なのは、体の調子を整えること。もちろん、寒い中風邪を引かないように、と言ったことも大切ですが、4月から酷使してきた体に休息を与えると同時に、冬の間の試合に対応できる体力を維持しつつ、春のシーズン開幕をいい調子で迎えられるようにしなければなりません。来年は2月中旬に全国大会、3月末に世界大会の割り当てがありますから、そこが1つの照準となります。

 この冬は、調整の一環としてロルフィングを試してみることにしました。昨年の秋にフロリダで行われた試合で初めてロルフィングを耳にしました。一見マッサージのようですが、それよりもより体内の深い疲労を除去するのを目的としています。マッサージは筋肉にアプローチしますが、ロルフィングは筋膜に焦点を当てています。基本的なコースには、10回のセッションが含まれます。

 ミシガン州にはロルファー(ロルフィングを行う人のことです)が何名かいますが、その中でも上級ロルファーの数は限られています。私が住むランシングには通常のロルファーがいるのですが、せっかくですから上級ロルファーの治療を受けるべく、車で50分くらい走ったところにある、Milfordという街に住むロルファーの元へ通うことにしました。

 これまで3回のセッションを受けましたが、セッション前後の写真を見ると、筋膜をほぐしているために、たとえば胸部と臍の距離が目に見えて伸びているのがわかります。

 ロルフィングでは体の歪みやストレスを除去するのと同時に、自分の体に合った体の動かし方を学ぶこともできます。私の場合は、研究活動や翻訳を行っていると、とにかく机の前に何時間と座り続けることが多くあります。しかし午後のトレーニング時間になったり、試合となれば、相当量の運動を行います。また運動ではレフェリーという立場上、ただ走るのとは違った負担が体にかかります。それらを総合的に判断し、立ち方から走り方まで、アドバイスを受けることができます。

 アメリカでのロルフィングは日本で行うよりも安価ですが、それでも1セッション90ドルから120ドルします(金額はロルファーによって変わります)。しかし最初にロルフィングを教えてくれた友人によると、ロルフィングを1度うけ、必要に応じて継続することで、体の動きがまったく変わるとのこと。おすすめです。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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