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通訳者のたまごたち

モノに対するポリシー

 先日業務で担当したCBS Evening Newsで興味深いレポートがありました。それによると、最近アメリカでは「100点以下のモノで生きていけるか」という考えが流行しているのだそうです。洋服1着、お皿1枚、鉛筆1本などすべてを1アイテムととらえ、合計数100個以内で暮らせるかどうかを実践している人のレポートでした。取材を受けていたのは男性でしたが、自宅マンションは実にすっきりとしており、クロゼットにかけられていた洋服もまるでディスプレイ用オブジェのような印象を受けました。

 アメリカというと、「大きいこと・たくさん持つことは良いことだ」という価値観があります。しかし、景気後退が続き、可処分所得が減少する中、手持ちのものでどのようにやりくりするかも大きなテーマです。一方、日本でも家屋が狭い分、片付けや収納は私たちにとって永遠の課題と言えるでしょう。ただ、いずれにしてもモノの絶対量を減らさないことには、完全なる解決法にはならないと私自身は考えます。

 私は社会人になってから自分なりにモノに対するポリシーを考え続けてきました。最近は以下の3点を意識するようにしています。

1.地産地消
 食べ物であれ、グッズであれ、できる限り地元で作られたものを買うよう心がけています。野菜は近くのJAショップで買い、スーパーでも地元または近郊の農地でとれたものを選ぶようにします。無い場合は国産品を、どうしても国産品がなければ輸入品を買います。大事なのはなるべく地元で地元産のものを買うということ。地元ショップの売り上げに貢献できれば、ひいては自分たちの暮らす街が税収入で潤うからです。

2.食べるものほど安心なものを
 一時期、食品偽造が頻繁に見られたことがありました。やはり私たちにとって食べるものへの意識は大切です。私自身はきちんとしたものを食べて適度な運動をすることが自分の健康を保つことになり、病気などで通訳や指導の仕事を休まずに済むと考えています。ですので、日ごろから栄養状態が良くなるよう心がけています。
 我が家は紅茶が好きなのですが、先日、3000円するリーフティーを思い切って買ってみました。紅茶だけはやはり輸入物に頼るしかないのですが、価格こそ高額ではあったものの、実に香り高くおいしい紅茶を楽しむことができました。私たちはつい、醤油や砂糖などの調味料ほど安いものに手が伸びてしまいます。けれども毎日摂取するものこそ、多少高くても安心な材料の方が良いと私は思っています。それに「ご褒美感」も生まれますよね。
 カジュアル衣料品店で2980円のシャツは安いと思うのに、なぜ3000円の紅茶は高く思えてしまうのか。人間の心理というのも不思議なものです。

3.「いつか使うもの」は二度と使わない
 「この箱、きれいだから誰かへのプレゼント用にいつか使うかも」「頂きもののペン、もったいないからとっておこう」。こんな具合に私たちは未使用品やまだ使えそうなものについては「いつかのときのために」保管するという傾向があります。けれども、「いつか」というのは意外とやってこなかったりするものです。現にその「いつか」の日までの間に好みが変わったり、もっと良いものを自腹で購入したりというケースがあるのではないでしょうか。
 具体的な使用日が定まらないままでは、クロゼットをふさぐばかりです。それよりも、思い切ってチャリティー団体へ寄付したりフリーマーケットに出したりしてみましょう。「そのグッズを本当に必要としている人」に使ってもらう方が、広い視点でとらえれば世の中のためになります。

 私は9月の引っ越しの際、かなりのものを思い切って処分しました。たとえばフルーツ用のガラスボウル。大きい割には上げ底タイプで、果物をたくさん載せられなかったのです。その代わり、今はガラス製のスポンジケーキ皿に盛りつけています。モノというのは無いなら無いで、工夫のし甲斐があるもの。自分ならではのアイデアを生み出すのも、楽しい作業です。

 

(2010年11月1日)


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プロフィール

柴原早苗

柴原 早苗さん
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 アルク「English Journal」でBBC Newsを監修した後、現在はNHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当中。 現在は通訳学校でも後進の指導にあたる。ESAC英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)。