83年11月3日付某新聞に「静かな変革」ー家族・海外編ーと題し「結婚も恋愛も時代遅れ」という大胆な見出しで原作者が紹介されていた。当時、私は自分の結婚生活のありようから「結婚」「恋愛」という言葉に強く興味をそそられたので、彼女の著書を読みたいと思った。英訳版の本について新聞社に問い合わせるとにべもない返事で、最後は作者に手紙を書いて手に入れた。本書は英訳版がなく、数年後、デンマーク語を習い始めた。
本書の紹介を少し。デンマークの作家スサンネ・ブレガー(b.1944)初期のベストセラー。性の目覚めから始まり数々の男性体験やフェミニストとの交流を通じて、ヒロインのセクシュアリティの探求を描いた自伝ふう小説。70年代初頭ヘンリー・ミラーとアナイス・ニンに会いに渡米したヒロインがそこで目撃したのは、試行錯誤して性の自立を求める女性たちの赤裸々な姿だった。本書は台頭する女性解放運動の空気の一端を熱くしかもユーモラスに伝えている。
原語翻訳を対象とする「デンマーク文学情報協会」翻訳料助成金への応募を思いついたとき、訳本はすでに印刷の段階だった。デンマーク語の先生が協会に電話でかけあってくれ応募できることになった。助成金をゲットし、第2版がでればそこにその旨記すことになった。なんて臨機応変に物事を処する人たちだろう、日本のマスコミから受けた対応との違いを面白い?と思った。 |