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袖すりあうも……

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

大学の新学期が始まる。授業は大好きなのだが、夏休みの充電が今ひとつ上手く行かなかったので、ちょっと気が重い。資料を頭に詰め込みすぎて、あれも教えたい、これも教えたいという状況になっている。もう少し整理が必要なのだ。

練習不足のまま試合開始のゴングを鳴らされたボクサーのような気分で、尻尾が垂れ気味のまま大学へ。

大学最寄り駅のコンビニに立ち寄り、「うん、指揮官がこんなんじゃいかんな。前向きにやっていかなくちゃ」と思いながら、昼ごはんのサンドイッチと野菜ジュースなどを買い物カゴに放り込んだ。

眉間にしわを寄せてレジ打ちをしていたおじさんに、「めっきり涼しくなりましたねえ」と話しかけてみる。一瞬前のムスッとした顔がウソのようにニカッと笑ったおじさんは、「いや〜、涼しい通り越して、寒くなっちゃったよねえ!ハハハ!」と言ってくれた。

そんなやり取りで、何だか心がポッと暖かくなったような、軽やかになったような気がした。「これで今日一日、頑張れるな」という気分だ。

電車の中で押し合いへし合いしている人も、話しかけてみれば、ほとんどは気の良い人なんだろうなあ。

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いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

END