INTERPRETATION

第45回 コロナウィルス関連の語彙

グリーン裕美

国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。今年に入り、新型コロナウィルス関連のニュースが連日報道されていますが、残念ながら事態はますます深刻化。イタリアやイランで感染者数が急増したことでイギリスでも緊張感が高まりました。この影響で通訳業界も大きく影響を受けており、英会話で話題になることも多いでしょう。そこで今回はコロナ関連の日英表現を取り上げます。

1.「コロナ」
まず、日本語ではよく「コロナ」と略されますが、英語ではcoronaと略されたのを聞いたことがありません。また日本語では「新型コロナウィルス」と「新型」もよく使われますが、英語では「新型」にあたる“novel”は省略され、たいていの場合coronavirusと言われます。「ウイルス」と”virus[váiərəs]”の発音の違いは言うまでもないですね。最近は正式名称のCOVID-19(Covid-19とも表記)もよく使われています。偶然かもしれませんが、今日行ったスーパーではCoronaというブランドのビールが積みあがっていました(苦笑)。

2.「感染者数~名」
英語ではたいてい“~cases”で「感染者」に相当する語を言う必要はありません。またはinfect(~に感染させる:他動詞)を受動態で表すことができます。
例:世界での感染者数は83,000人を超えました。
More than 83,000 cases have been confirmed globally.
Over 83,000 people have been infected (with the virus) globally.
The number of cases now exceeds 83,000 globally.

3.「死者数」
the death toll, the number of people killed, the number of deathsなどが使われますが、単純に動詞dieを使って表すこともできます。
例:死者数は2,800名を超えました。
The death toll exceeds 2,800.
More than 2,800 have died.

4.「潜伏期間」
incubation periodが定訳ですが、思いつかなかったらbefore symptoms show(症状が出始める前)のような言い換えができます。
例:新型コロナウィルスの潜伏期間は?
How long is the coronavirus incubation period?
How long does it take before symptoms start to show?

5.「肺炎」
pneumonia
発音は[nuːmóuniə]で、pは無声音、アクセントは第2音節
例:肺炎のような症状が出たら医者の診断を受けること
Make sure to consult with a doctor if you develop pneumonia-like symptoms.

6.「伝染病」「流行」
どれくらい広がったかにより表現が異なります。一定の地域だけならepidemic。国中あるいは国外にも相当数広がるとpandemic(どちらも名・形の両方)。
伝染病が流行し始めるとその深刻度を話す際にIs it epidemic or pandemic? と話題になります。epidemicとpandemicに相当する日本語がないので「エピデミック」「パンデミック」というカタカナ語も使われますが、流行の広がり具合をイメージできるといいですね。カタカナ発音と英語はアクセントの位置が違うことにも要注意!(どちらもdeにアクセント)。

7.「(感染が)広がる」「まん延」
一番よく使われるのはspreadで、動詞でも名詞でも使われます。
例:ウイルスが広がるのを防ぐための措置
measures to prevent the virus from spreading
感染がこれほど早くまん延した理由は…
One reason for the quick spread of the virus is…

8.「不要不急」
文字通りに訳すとnot urgent or not necessaryですが、英語ではunless it is necessaryが一般的だと思います。強調する場合は、unless it is absolutely necessary。
例:不要不急の外出を控えよう
Do not travel (go out) unless it is necessary.
この表現は、暴風雨が予想されているときなどにもよく使われます。

9.「自宅待機」
self-isolation, self-isolatingやself-quarantineのほか、動詞表現を使ってisolate yourselfのようにも言えます。思い浮かばなかったらstay at home/stay homeもいいですね。
例:感染を防ぐために自宅待機が要請されている
People are asked to self-isolate to prevent the spread of the virus.
児童は今後14日自宅待機が求められている。
School children are asked to stay at home for the next 14 days.

10.「マスク」
英語ではmaskだけだとまずは「仮面用/覆面マスク」を思い浮かべる人も多いためか、感染防止のために使うマスクの場合はa face maskやa surgical maskと言うことが多いです。ただ何度も話題になるときはmaskだけで大丈夫かと思います。アジアでは当たり前のマスクも欧米では「予防には役に立たない」「重症患者が着用するもの」というイメージが強いため、それほど普及していません。それで「マスクをしている人が白い目で見られる」ということがよくあります。私は2月だけで10の空港(欧州・アフリカ)を利用しましたが、マスクをしている人はほとんど見かけませんでした。事態は急変していますが、少なくとも先週までは欧州の空港でマスクをしていると入国審査でも色々と質問されて入国しにくくなったり、周囲から冷たい目で見られたりなどの問題が実際に起きていました。海外出張される方はお気を付けください。

以上、コロナ関連の用語を取り上げました。一刻も早く、事態が収束しますように……

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2020年3月2日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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