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日本人は儀式好き?

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 3月といえば、日本では卒業、別れの季節です。そういえば以前、まだ娘が幼稚園に通っていたころ、園長先生に、「日本人って、儀式が好きなのでしょ」と言われたことがあります。彼女は日本人のホームステイを受け入れたことが何回かあるそうで、日本のことをいろいろとご存じでした。
 そのときは、「そうなのかな?」とピンと来なかったのですが、たしかにこちらでは、一つひとつのイベントの区切りが日本に比べて、非常にあっさりしているように思います。
 まず、幼稚園に卒園式という概念がありません。こちらの小学校は5歳になった日から入学できるので(義務教育は6歳から。最近は減ったそうだが、親の判断によっては6歳になるまで幼稚園に通わせる場合もある)、幼稚園の最後の日は4歳の最後の日ということになります。この日、幼稚園で誕生日会兼お別れ会をしたら、次の日から小学校です。1人抜けたら、翌日から幼稚園には新しい子が入ってきます(早めに登録しておいて、幼稚園からお呼びがかかるのを待つ)。つまり、幼稚園の入園式も、小学校の入学式もありません。
 つまり、小学校には、ぱらぱらと5歳になった子が入ってくるのです。7月の誕生日の子は5歳でYear0として入学し、翌年1月末の新学年からYear1です。ところが娘のように12月末生まれだったりすると、入学時点からいきなりYear1です。さらに3月、4月生まれだと、Year1を1年受けないうちに、翌年からはYear2です。卒業式は一斉なので、子供によって小学校に通う期間が異なるのです。
 これが可能なのは、クラスの中で能力別にグループを分けて授業が行われるからです。例えば1つのグループが先生についてリーディングをしている間、ほかのグループは与えられた課題をやって、思い思いに過ごします。みんながいっせいに、同じことをやる、という機会が日本に比べると非常に少ないのです。
 それに、始業式とか、終業式、という概念もありません。娘が通う学校は学年末の日は午前中で終わりますが、それ以外は基本的にすべて一緒で、朝9時に始まって、3時に終わります。どの学年も同じです。たぶん、親が迎えに来る都合もあると思いますが、日本のように学年ごとに授業時間数を変える、という発想もないのだと思います。
 ちなみに、日本の終業式に付き物の通信簿はありますが、1年に1回、最後の学期の途中に配られます。それ以外に、子供の作文やテスト結果、学力レベルなどのデータが入ったファイル(Portfolio)を1年に2回、持って帰ってきます。このあたりは学校によって違うかもしれませんが。
 そうやって考えてみると、いいとか、悪いとかでなくて、確かに日本人は「儀式好き」の面があるのかもしれないなあ、と最近思っています。
 
 
 

 

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みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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