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ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

ビジネス・経済・金融などの分野の翻訳や通訳でよく出てくる表現をイギリスのメディアから取り上げてお届けします。

第91回 選挙関連必須ボキャブラリー!

皆さん、こんにちは。ヨーロッパでは今年相次いで大きな選挙が予定されていますが(第76回参照)、予想外の選挙も加わりました! もうご存知かと思いますが、先週イギリス議会の解散総選挙が発表されました。そこで今回は選挙関連ニュースを読むための必須ボキャブラリーを取り上げます。ちなみに執筆現在(23日)、フランスでは大統領選挙の第1回目の投票が行われているところです(フランス選挙は第85回も参照)。

・poll:選挙の話では頻繁に出てくるこの言葉。どういう意味でしょう? 
 まずは「世論調査」の意味があります。選挙前には、世論調査の結果がよく報道されます。ただし、実施機関によって特定の候補者に有利な結果が出るように取り計らっている場合もあるので読者としては数字以外の部分にも注目をする必要があります。
 またpolls(複数形)には「投票所」という意味もあり、go to the pollsで「投票する」。「フランス、本日投票日」だとFrance goes to the pollsとも言えますが、France votesとかFrance is votingなどの表現も見かけます。
 pollは、動詞用法で「投票する、(票)を投じる」という意味でも使われます。その派生でpolling stationは「投票所」、polling day 「投票日」。

・ballot:投票所に行って、実際に記入する紙「投票用紙」がballot (paper)。それを入れる箱「投票箱」はballot box。cast a ballotで「投票する」

・cast a vote:これも「投票する」。「一票を投じる」という訳もいいかもしれません。

・postal voting:投票日に投票できないと分かっている人は前もって郵送で投票できます。日本では「不在者投票」と言われいくつかの方法で投票できるようですが、イギリスでは郵送による投票でpostal votingといわれます。

・electorate :「有権者」、「選挙民」という意味の集合名詞。常に単数形で使われます。

・turnout :多義語ですが、選挙の話で出てきたら「投票率」。フランスの大統領選では、誰に投票するかを決めかねている人が多く低い投票率(low turnout)が懸念されています。

・constituency:音節が5つもあって目や耳では理解できても割りと発音が難しいのでぜひ声に出して言ってみてください。アクセントは第2音節 "ti"。「選挙区」

・Parliament: ご存知の方も多いかと思いますが、「国会」の英語は日本の国会だとDiet、アメリカ連邦議会だとCongressですが、イギリス議会はParliament。派生して、国会議員は通常単にMP(Member of Parliamentの略)。イギリスにはHouse of Lords(貴族院)とHouse of Commons(庶民院)がありますが、解散総選挙の対象となるのは下院のHouse of Commonsのみ。ちなみに上院のHouse of Lordsは日本の参議院と異なり終身制で、選挙がありません。EUの議会はEuropean Parliament(欧州議会)。その議員はMEP(Member of European Parliament)と呼ばれます。

・The Tories:イギリスの二大政党はConservatives(保守党)、Labour(労働党)とせっかく覚えてもToriesと出てくると混乱するのでは?! これは保守党の前身の政党名ですが、今でも言いやすいからでしょうか、よく使われていて、保守党を意味します。メイ首相率いる与党です。

・Lib Dems:イギリスの「自由民主党」、つまりLiberal Democratsのことですが、ふつうLib Demsと略されます。日本の自民党は英語のフルネームはLiberal Democratic PartyでLDPと略されるので、似ているようで要注意。党の方針もイギリスの自民党は中道派で、日本の自民党とはかなり考え方が違います。2010年の総選挙では大躍進をして保守党と連立政権を組みましたが、2015年の総選挙では惨敗。議席数を57から49も減らし、第3党から第4党に脱落しました。今回の解散総選挙では、穏健な離脱(Soft Brexit)を訴えて、議席数挽回を目指しています。

・SNP:Lib Demsの代わりに議席数を延ばしたのがScottish National Party。「スコットランド国民党」または「スコットランド民族党」などと訳されます。党首(Leader)はニコラ・スタージョンという、いつも派手な色のスーツを着た女性。スコットランドはEU残留を強く希望しているため、「イギリスがEUを離脱するならもう一度スコットランド独立の是非を問う住民投票をする」と要求し、メイ首相の怒りを買っています。

以上、イギリスの選挙に偏った表現で恐縮ですが、前半の用語は都議選(the Tokyo Metropolitan Assembly election)の話を英語でするときにもお役に立てば幸いです。

実は、今週の原稿は、選挙真っただ中のパリからお届けしています。数日前に再びテロ事件があったところですが、1年半前の同時多発テロ後のような物々しい雰囲気はなく、住民はふだん通りに生活しているようですし、観光地は多くの観光客でにぎわっています。実際に現地を訪れると、報道では分からないことが実感できるなと改めて思いました。

「大統領選挙日、パリ・モンマントルの丘でくつろぐ人々」

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2017年4月24日

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プロフィール

グリーン裕美

グリーン裕美さん
結婚を機に1997年渡英して以来、フリーランス翻訳・通訳として活躍。ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。 元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。 向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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